会社を辞めてから、
左手首に腕時計をつけることはなくなった。
時計はケッコウ好きで、
いくつかもっているし、
昇進祝いに後輩がくれたものもある。
だけど、
ほとんど使っていない。
興味もなくなってしまった。
今はなにをするにせよ、
バカっ早く腰を上げるようにしている。
たとえば、
学校も9時から行けばいいのだが、
大抵8時前には近くのコーヒーショップにいる。
試験前は試験勉強をするが、
普段はだらだら本を読んでいる。
バカっ早いので、時計を気にする必要はない。
代わりに、自分の身体感覚を気にする。
腹具合とか、気分とか、
現れては消える
うたかたのような想念たちの質……
とか。
本当は日の出とともに起きて、
日の入りとともに寝たいところ。
だけど、日の出の方はともかく
(時々、日の出前に起きることもある)、
さすがに日の入りとともに寝ることはできない。
カイシャに勤めていたころは、
7時半に起きて40分に出て、9時半までに入って、
21時から、遅いときは0時近くまで、非人間的な仕事して、
メシ食って帰って、風呂はいって、寝るのは2時ごろ。
すべてが切羽詰っていて、
すべてがギリギリだった。
ひとことでいうと、
なんだかよくわからない状態。
もうごめんだ。
それを思えば、
日の入りに就寝できないことなど……
悩みのうちには入らない。
カラスじゃあるまいし。
あ、カイシャを辞めて変わったことが、もうひとつあった。
お金がぜんぜんなくなった。
貯金もない。
おかげで、
のんだくれて終電におくれて、ホテルに泊まるとか、
無意味な贅沢をすることもなくなった。
めだたしめでたし。
※タイトルは吉田秋生氏の同名コミックより