街はずれの
田んぼの中の施設
99になる祖母。
こづかいを渡せなかったことを
何度も何度もわびる。
いいんだよ、ばあちゃん
どうせ何十年も前のことだし。
それに
どうせわかってないし
カネの意味なんて。
手紙がだせないことを
今度は泣きながら
何度も何度もわびる。
いいんだよ、ばあちゃん
どうせ字なんぞ読めないし。
それに
どうせなくしちまうし
手紙なんて。
玄関に昼下がりのタクシー。
たった今思い出した。
洗面所の排水口を掃除しながら、
あの軒下の燕の巣を。
排水口は
ひどい悪臭と汚れで、
親鳥は巣のまわりを
いそがしく飛び回っていた。
からみついた髪の毛と水垢を
キッチンペーパーで丁寧に拭き取り、
あれは昨年と
同じ光景なのだろうか。
洗剤を念入りに吹き付け、
たぶんそうだ。
そしてそれは
来年も続くのか。
しばらく時間をおいて
夏のプールの匂いを流す。
おそらくは。
来年もかわりなく続く。
おそらくは。
(当初タイトル、「人生はクソだ」を改題)