ちょいと復習します。
易システムでは、ある問題(問い)にたいして、
切れた線またはつながった線六本で構成されるパターン(本卦)と、
本卦から派生する同様のパターン(之卦)を無作為に取り出して、
その答えを判断します。
使う道具の違いによって、本卦から6種類の之卦が派生する方法と、
64種類の之卦が発生する方法があります。
システムの原則からいって、できれば後者を使いたいのですが、
この方法だと「変爻」が複数生じてしまうという問題があったのでした。
「変爻」は、本卦という全体状況の中の段階を示すものだから、
できればひとつにしぼりたい……
というわけなのでした。
いろいろ考えたり調べたりしましたが、
いまは「現爻」という考え方でやっています。
調べた範囲ではこのような考え方なかったので、
ぼくのオリジナルの考えかもしれません。
とはいえ、なにせ世の中は広く、システムの歴史は深く、長い。
同じことを考えている人がすでにいるかもしれません。
いや、多分いるでしょう。
そんなにたいそうな手法でもないですし。
例をもとに説明したほうがわかりやすいと思います。
「道具のアレコレ5(2005-07-30)」でご紹介した
Iching Sticksで占って、
コード番号12の「履」が本卦として出て、
初爻・二爻・四爻・五爻が変爻となり、
之卦が、コード番号78の「剥」になったとしましょう。
図を参照してください。
従来ですと、本卦のどの爻を、
本卦という「全体状況」における「段階」として
観ていいかわからない、ということが問題でした。
初爻なのか、二爻なのか、四爻なのか、五爻なのか。
朱熹説も煩雑で、あまり実用的とはいえなさそうだ、
というお話もしました(2005年08月04日「変爻が複数ある場合」)。
そこで、変爻の位置ではなく、
数に着目するのが「現爻」の考え方です。
例では4つの変爻があります。
したがってこの場合は、本卦という全体状況における4番目のステップと判断しよう、
というわけです。
実際のシステム運用では四爻の爻辞を参照することになります
(爻辞はまだこのブログでは紹介していませんが)。
例では、コード番号12の「履」の第四爻の爻辞を参照するわけです。
現爻を、なぜ変爻ではなく、「現」爻と呼ぶのかというと、
この爻(例だと第四爻)が変じて(陰なら陽、陽なら陰に反転して)、
之卦が派生するわけでは「ない」からです。
「変爻」と言った場合、
それらが反転すると之卦が得られる爻のことですから(と、ぼくは思っていますので)、
例でいうと、変爻はあくまで、「初爻・二爻・四爻・五爻」です。
現爻は、「現在の状況における段階」を特定します。
現爻はひとつで、例の場合は、コード番号12の「履」(つまり本卦)の第四爻です。
これで、本卦から之卦として64種類のパターンを派生することができ、
かつ、ひとつの「段階」=現爻を特定する方法ができました。
これにて一件落着!
といいたいところですが、そうはいきませんでした。
本卦から64種類のパターンが派生する、ということは、
派生するパターン=之卦には、
必然的に本卦それ自身のパターンも含まれているからです。
もっとカンタンにいうと、Iching Sticksのような道具で占うと、
「変爻がない」ケースもありうるということです。
このような場合、本卦という「全体状況」における「段階」は、
どう考えたらいいのでしょうか。
長くなりそうなので、続きはまた次回以降に。