イギリスにおける穀類と芋類

妻が最近Youtubeを見ていて、「なぜイギリスではじゃが芋を大量に食べるの?」という疑問を言ってきました。

 

このチャネルのYuzzy氏は、日本からイギリスの高校に留学し、学生寮の『ジャガイモ地獄』に閉口していたそうです。

 

そもそも、じゃが芋は新大陸の作物。

イギリスに持ち込まれたのは、コロンブスの新大陸発見以降です。

1586年にトーマス・ハリオットという学者が、アメリカの東海岸の島でじゃが芋を見かけたのが、イギリスがじゃが芋に出会った最初だそうです。

1586年のこの日、トーマス・ハリオット卿はプリマスでボートを降りました。彼は、現代のノースカロライナ州のロアノーク島にあるウォルターローリー卿のイギリス植民地から戻ったばかりで、そこで野生生物とジャガイモの詳細な研究を行いました。

(Google翻訳)

 

中世イギリスの食生活を見ても、もちろんじゃが芋は入っていません。

中世イギリスのほとんどの人はパンを食べました。人々は小麦粉から作られた白パンを好みました。しかし、村の裕福な農民と領主だけが、白パンを作るのに必要な小麦を育てることができました。小麦は、大量の肥料を与えられた土壌でしか育てられなかったので、農民は通常、代わりにライ麦と大麦を育てました。

(Google翻訳)

 

日本における穀類と芋類

おそらく、ライ麦や大麦よりじゃが芋の方がさらに土地の条件が悪くても育つので、イギリスの庶民はじゃが芋中心の食生活になっていったのでしょう。

イギリスの作物の生産性の推移が分かる資料があればよかったのですが、見つからなかったので現代日本の単収で比較してみることにしました。

 

土地利用型作物に関する資料(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/attach/pdf/1009_kikaku-35.pdf

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10aあたり単収 全国 平成30年

水稲 529kg/10a
小麦 361kg/10a
二条大麦 318kg/10a
六条大麦 225kg/10a
はだか麦 258kg/10a
大豆 167kg/10a
さとうきび 5,290kg/10a
てん菜 6,300kg/10a
でんぷん原料用かんしょ 2,346kg/10a
でんぷん原料用ばれいしょ 3,430kg/10a

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やはり麦類より、芋類(甘藷=さつま芋、馬鈴薯=じゃが芋)の生産性が圧倒的に高いですね。

 

余談ですが、さとうきび・てん菜といった砂糖原料の生産性は、さらに高いですね。

お米中心の食事が後退し、ポテトチップスと砂糖まみれのお菓子に置き換わっていくのは、経済原理に即しているのかもしれません。

 

食料輸入がストップしたら

日本では食の洋食化や農業従事者の高齢化で、食料自給率が問題になっていることを意識している方は多いでしょう。

私たちが江戸時代や戦前のように、、、

お米やうどんの主食中心に、副菜ちょっとの和食生活に戻れば、、、

食料完全自給は達成できるのでしょうか。

 

このブログの一汁一菜を押すスタンスからすると、そうであってくれれば嬉しいのですが、、、

 

ところが、先ほどの作物ごとの単収からも予想されますが、そういう単純な話ではないようです。

農林水産省は、国内生産のみで、米・小麦中心の食生活をするとどうなるか試算しています。

 

米・小麦中心のメニューでは、再生利用可能な荒廃農地にも作付けしたと仮定してさえ、1人・1日あたり1,727kcalしか供給できません。

(しかも、下に引用するような質素な副食で!)

 

 

資料中では推定エネルギー必要量2,169kcalとされています。

夫(わたし)のようなデスクワークなら2,000kcalで済むかもしれません。

それでも273kcal不足します。これは、御飯約1膳分に相当します。

1日だけならともかく、毎日ではやせ細りそうな気がします。

 

農業が今より元気だった昭和40年代でさえ、米・小麦中心の作付けでは2,010~2,074kcalしか供給できなかっただろうと計算されています。

 

これを、いも類中心のメニューを前提に作付けすると、1人・1日あたり2,546kcalが収穫できるということです。

 

引用元:農林水産省 食料・農業・農村基本計画参考資料

 

日本いも類研究会のWebサイトによると、日本にじゃが芋がもたらされたのはイギリスとほぼ同じ1600年ごろ、さつま芋は1597年だそうです。

江戸時代には芋類が、特にさつま芋が救荒作物として穀類の不作を補ってきました。

 

 

 

たとえ輸入がすべてストップする事態になっても、しばらく持ちこたえることができれば日本は人口が減ります。

農地単位面積あたりの人口が減るのです。

2019年には1億2630万人いる総人口が、国土交通省の推計では2045年ごろには1億人になるそうです。

 

そうすれば、米・小麦中心の食生活・作付けでも十分なエネルギー供給が可能になります。

1,727kcal×1.2630億人=2,169kcal×1億人

 

わたしの行動

わたしはやっぱりご飯・味噌汁・漬物という食事が好きです。

 

しかし、日本人は米を食べなければという偏狭なアイデンティティは持たないように注意していきたいです。

米を大事にして食べながら、雑穀や芋でよく補うことを心がけます。

 

また、輸入がストップしないように、隣人たちの心情に対する想像力を持ちたいです。

ネットで外国人にヘイトスピーチをしたり、根拠や思いやりのない批判をしたりするのを避けます。