<ウグムチ戦闘>

 

ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
254. チ・ティ峙(とうげ)の語源と変遷
 
 
 
 
私は根っからの学者タイプなのでしょうか?
それとも子供っ気が中々抜けないのでしょうか?
ひとつの事が気になると夜も眠れず(眠ってますが:笑)、とことん探し当てたくなります。
 

<神田古書街>

 

昔なら図書館や本屋に行くしかスベが無く、泣き寝入り?お蔵入りするしか有りませんでしたが、現在では幸いネットの発達で、探して居れば何かしら端緒が掴めます。
探し物にはネット程、痒(かゆ)い所に手が届くアイテムは有りません。
そう言う意味でも今や私に取ってスマホは身体の一部(笑)かの様な役割を果たして居ます。

 

<ウグムチ=ウグムティ>

 

ついでに言えばSUICAなど電子マネーもスマホに組み込まれて居るので、小銭を持たない私に取って、財布は忘れてもスマホは持ち忘れ不可です。
 
今回ドラマ『緑豆の花』を視聴しながら農民戦争の最終激戦地となった『ウグムチ牛禁峠』の語源が知りたくて堪らなくなりました。

 

 

幾ら調べど、中々納得の行く答えに突き当たりません。
 
しかし、やっと端緒を見つける事が出来ました(❣️笑)
興味深い事実も分かったので、今回のワンポイントコラムは我が国の言葉の変遷と語源について少々語らせて頂きます。
 
ウグムチ牛禁峙の語源など私以外に興味有る人が居るとは思えず、その意味では他愛無く、少々退屈かも知れませんが、お付き合い下さる方、どうぞよろしくお願いします。

 

<ウグムチ=ウグムティ>

 

冒頭のウグムチ牛禁峙とは峠(とうげ)の名前で、朝鮮語で우금치 と書きます。
そしてタイトルにも載せた様に『ウグムティ우금티』とも呼ばれます。
そもそも後者の方が本名です。
 
余談ですが、ドラマ『緑豆の花』の元の題名は『ウグムティ우금티』で、放送直前に変更されました。
確かに『緑豆ノクトゥ』と聞けばチョンボンジュン全琫準将軍が浮かび、甲午農民戦争のお話と連想出来ますが、『ウグムティ우금티』とされると私の様な歴史オタクしか連想が出来ません(笑)。

 

<ドラマ 緑豆の花>

 

その私でさえウグムチ우금치じゃ無くて、何でウグムティ우금티なの?と訝(いぶか)しみました。
方言?それとも?
しかし、ここには深い意味が込められて居たのでした。
 
結論から言うと、日帝期に日本が精密な地図を作る際にそれまで『ウグムティ우금티』と呼ばれた地名を漢字で書き取る為、『ウグムチ牛禁峙』と名前を変更しました。

 

 

特に朝鮮語で「峠(とうげ)」「丘」を指す言葉「ティ티」には漢字が無いので「峙」「チ치」と読ませました。
この漢字は朝鮮のみで使用される漢字です。
 

 

ちなみに峠(とうげ)と言う固有語は他にも「コゲ고개」 「ジェ재」など有ります。
これらは嶺(みね)の高さや険峻さによってリョン령嶺, ヒョン현峴, チ치峙,ジェ재,クァン관關などに区分されましたが、ついでなのでオマケで簡単に違いを述べます。
 
リョン령嶺・クァン관關は規模や通行量が多く、重要な要衝地を指した様です。

ヒョン()リョン()よりワンランク下の峠を表した模様です。

チ・ティ치・티()は少々険峻な丘を指しました。

固有語のジェ재やコゲ고개は一般に使用され、漢字語に代わって行った模様です。

元はジェが一般的なとうげを指し、その後コゲ古介と言った様に方言が標準語化されて一般化されたと見られます。

 
ちなみに「ウグム」と言う地名には「牛禁」と言う言葉を載せて『ウグムチ牛禁峙』としました。

 

<戦闘絵図>

 

「ウグム」の意味も突き止めました。
ウグムとは牛とは無関係で、「小川が激しく流れる急で狭い山の谷 」と言う意味の固有語です。
「峠が牛の形をしてたから」とか「険しくて牛の通行が禁じられたから」だとかの故事を期待して居ましたが、物の見事砕け散りました(笑)。
 
『ウグムチ牛禁峠』とはその様に、険しい峠と言う意味だと言えるでしょう。

 

<歴史画>

 

我が国の歴史で純粋な固有語を大々的に漢字語に表記を変更した事が2度有りました。
1度は唐の文物を収容した新羅チンフン真興王の時で、もう1度は先に述べた様に、日本が近代測量を以って地図を新たに作る際に、全ての地名を漢字で表記した時でした。
 
しかし、固有語を漢字語に変えながら、元の名前とは全く違う意味の文字が使われたりもしました。
例えば『マ마』と言う字は大きいと言う意味の言葉ですが、その発音が同じという理由で家畜の「マ馬」をその文字に変えました。
 

<農民戦争 史跡地>

 

表題の「ウグムチ」の様に、「上」を意味する固有語「ウ」を家畜「ウ牛」の文字に変えたりもしました。
 
以前、地理篇でテジョン大田を紹介する際に元の名前が「ハン(大きい)パッ(田んぼ)」だったのが漢字化されて『大田』となった事を述べましたが、新しい地名を作っても、地名は保守性が強いので中々昔の名前が簡単に消えません。
 
↓↓↓大田テジョンの記事はコチラ↓↓

 

日本でも「アキハバラ秋葉原」の江戸時代の元の名前が「秋葉ヶ原アキバガッパラ」だったのは有名で、その名残りが「アキバ」と言う略語に残って居ます。

 

<秋葉原 市街>

 

同じ様に、今でも漢字の名前と固有語の名前、タイトルの様に「ウグムティ」「ウグムチ」が一緒に使われることがたくさん見られるそうです。
 
「ウグムティ牛禁峠」は峠(とうげ)の名前で有ると同時に歴史史跡です。
甲午農民戦争の最後の激戦地だった為、ここは国家史跡地(第387号)に指定されて居ます。

 

<ウグムチ記念碑>

 

『東学農民戦争記念事業会』の人々は、昔から専門家の考証を経て、この峠(とうげ)の名前を「ウグムチ우금치」と呼ばず「ウグムティ우금티」と呼んで居ます。
何故か「ウグムティ우금티」と呼ぶと歴史の重みを感じるから不思議です。
 
現在、歴史の見直しが進んで居ますが、歴史用語や地名なども混乱をきたさない範囲で見直しが進み、本来の名前を取り戻せると良いです。
 
ドラマ緑豆の花レビューはコチラ

 

 

<ドラマ緑豆の花>

 

<参考文献>
오마이뉴스 우금치가 아니라 우금티입니다
Oxford Languades  우금

 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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