<ドラマ アランサト>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
123. 初の小説「金鰲新話」❷
 
 
 
 
 
クモシヌァの2回目です。
 
↓↓1回目はコチラ↓↓↓
今回は2話見ようと思いましたが長い為、
1話だけ見ます。
金時習が仕掛けたダヴィンチコードが隠されて居ると言われて居ますのでご推理下さい。
謎解きは文末に記します。
 
2.李生窺牆伝리생규장전
リセンキュジャンジョン
 
 
開城のラクタギョ駱駝橋の下に、
リセン李生という18歳のチョンガー(独身男性)が住んで居ましたが、容姿淡麗で学業優秀でした。
 
一方、ソンジュクリ善竹里にチェラン崔娘という16歳のリャンバンの乙女が住み、
こちらも優雅で、詩文にも堪能しており、世間は二人を賛美しました。 
 
リセンは学校に行く時には必ずチェランの家の北塀を通りますが、ある日偶然塀の中をのぞき見ると、綺麗な女性が針を持つ手を止め詞を詠んで居ました。 
 
 
あの彼は何処の
 도련님トリョンニム(貴公子)でしょう
私がツバメなら塀を乗り越え
     会いに行くでしょうに
 
リセンは彼女が詠んだ詩を聞いて心がそわそわして耐え切れず、彼女に詞を書いて塀の中に投げ入れました。 
 
思い焦がれ人を悩ませず
雨風の様に会えば良いでは無いか?
 
チェランはそれを見て喜び、サッと詩を書いて塀の外に投げました。
 
貴方様願わくば、
夕暮れ時にお会いしましょう
 
リセンは日が暮れると
チェランの家に行きました。
桃の木の枝一つが塀の上に現れました。
チェランです。
リセンは塀を乗り越え入りチェランと
会いました。
 
 
チェランが詩を詠います。
 
桃の花咲き華やかで
おしどり枕の上の月光も綺麗です
(愛を契りましょう)
 
リセンが答えます。
 
春の便りが漏れると
無情な風雨に晒されて哀れではないか
(バレた時が怖い)
 
チェランは顔色を変えました。
「あなたと夫婦になろうと言うのに
なんて言葉を。
女の私が平気なのに殿方がそんな心配を
されるのですか?
後で秘密が漏れても私一人で責任を取ります。」
 
その言葉にリセンは覚悟し、2人は宴を広げ詩を交わしました。
その家はチェランの両親が建ててくれた蓮池のそばの離れで、彼女は1人暮らしでした。
2人は100年の契りを満喫して、時を忘れ過ごしました。
 
 
数日後、リセンは家に帰りましたが、その日以来夜ごと彼女に会いに行く日々が続きます。
 
ある日は父がリセンを叱りました。
「夕暮れ時に家を出て早朝に帰還とはどういう事か?
私もしつけを責められ、その娘の家門をも汚すのだから、罪が少なくない。
嶺南(慶尚道)の農村に下り農作業を監督して来るのだ。むやみに帰って来るでは無いぞ」
 
父は翌日すぐに息子を蔚州(今のウルサン)に行かせました。
 
チェランが待てど暮らせどリセンは来らず、調べてみると嶺南の農村に下ったとの事。
チェランは倒れて食べ物も喉に通らず
言葉さえ出ません。
彼女の両親は驚き慌てましたが、娘がリセンと交わした詩を見つけて膝を打ちました。
 
両親の問いにチェランは経緯(いきさつ)を隠さず正直に告白しました。
知った両親はもはや病気の原因を問わず、
仲人を立てリセンの家に送りました。
 
リセンの父親はチェ氏の家柄が良い事を知り一度は断りますが、チェランの父親は再び仲人を
送り、リセンの父親もついに折れました。
 
 
二人は婚礼の儀を執り行い、互いに愛と礼節を守り暮らしました。
その翌年リセンは科挙に受かり、高い官職に上がって名前を世に放ちます。
 
辛丑年にホンゴン紅巾賊が開京(ケソン)を
侵奪し、王様が福州(安東)に避難する事変が起こりました。
奴らは建物を破壊し、人畜を全滅させ枚の民は方々(ほうぼう)に散りました。
 
リセンの家族も山奥に隠れましたが、盗賊が剣を持って後を追って迫りました。
リセンはやっと逃げましたがチェランは捕えられて貞操を奪われそうになりました。
 
 
チェランは叫びました。
「このチャングィ倀鬼め!
私がたとえ狼の餌食になろうとも貴様などに身をくれてやるものか!」
奴は彼女を無惨に殺してしまいました。
 
リセンは野原をさすらい盗賊が既に去ったニュースを知り故郷を訪ねました。
チェランの家に着くと、そこはうら寂しく、ネズミがはびこり鳥の鳴き声が聞こえるだけでした。
 
悲しい気持ちを耐え切れず、
彼は小さな屋根部屋に上がって涙を浮かべため息を深く吸い、日が暮れるまでぼんやり座って昔を思い浮かべました。
 
 
夜になって月光が梁を照らす頃、
廊下で足音がしました。
チェランでした。
 
リセンは彼女が死んだ事を知っていたので不思議に思い尋ねました。「君はどこに避難して無事だったのか?」
 
チェランは彼の手を握って号泣しました。
「私は幼くして婦女の教えを覚え、貴方と一生の契りを結びました。
災難に会っても貞操を失ってはいませんが、体は泥の上で散り去りました。
 
身体を失い霊魂が宿る処が無い事ほど悔しい事がございましょうや。
願わくば生まれ変わり、貴方との昔の固い誓いを無駄にしたくは無いのですがいかがお考えでしょう?」
 
 
リセンは喜んで
「それこそが私の願いだ」と言い、二人は楽しく話を交わしました。
 
リセンはまた尋ねました。
「家産はどうなったのか?」
 
チェランは答えます。
「1つも失う事なく谷に埋めて置きました。」
「その後、我々二人の親の遺骨はどうなったのか?」
「仕方なく捨てて置いて居ます。」
 
2人の情は昔と少しも変わりませんでした。
翌日、彼らは以前住んでいた場所を訪れ、埋めた財宝を探して、それを売って親の遺骨を収め五冠山のふもとに合葬しました。
葬儀を行った後、リセンがチェランと暮らしを始めると、バラバラに散った奴僕達も再び集まって来ました。
 
リセンはその後、人の仕事を全て忘れてしまったかの様に門を固く閉じ、チェランと愉しく過ごしました。
 
ある日の夕方、チェランが言います。
「世が儚(はかな)く、3年の期日もすぐに終わるので、この悲しみはどう堪えれば良いでしょう?」「何を言って居るのだ?」
リセンは驚き聞き返します。
 
チェランは
「あの世行きは避ける事が出来ません。
天の縁(えにし)が定めた事、どうしてこれ以上生ける人を誘惑する事ができるでしょうか?」
 
 
チェランは詩を詠いますが
涙が溢れて続きません。
 
リセンも悲しみ「君と一緒に地下に行く事こそあれ、どうやって無意味に余生を一人長らえよう」と嘆きます。
チェランは
「あなたの寿命はまだ残って居て、私はすでに鬼の名簿に載っているので、未練を持てば冥府の法に背き、罪科が心配です。
私の遺骨がまだそこらに散って居ますので、お慈悲を下さるのなら遺骨を拾って下さい。」
と言葉を終えるや否や、姿を消して
しまいました。
 
リセンは彼女が求めたように遺骨を収め親の墓の隣に葬った後、すぐに病気になって世を去ってしまいました。
話を聞いた人たちは感心し、2人の美しい操を賞賛しました。
 
                      –終わり–
 
このお話しは「金鰲新話」で1番有名です。
長くなるので「改悪」しましたが、2人が詩を詠い合い交わす会話が隠喩法を駆使して居て美しいので本文を読んで頂きたい程です。
 
ダヴィンチコードの答えですが、
リセンとチェランの2人は生六臣 死六臣を表したと言われて居て、リセンが生六臣を、チェランが死六臣を意味すると言われて居ます。
 
↓↓生六臣 死六臣はコチラ↓↓↓
物語の中で一番政治的なお話しと
言えるでしょう。
 
朝鮮王朝版ロミオとジュリエットとも呼ばれて居ます。
 
 
ここでリセンセン生とは儒生(儒学者)一般を指します。
現在で言えばリ君位の意味です。
チェランラン娘も同じで、現代韓国でならチェヤン嬢、共和国ならチェドンム、日本で言えばチェさん位の意味です。
 
↓↓↓3回目です↓↓
<参考文献>
나무위키 
한국민족문화대사전 
이생규장전과 해설
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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