「HEARTBREAKER」の後に何を書こうか考えたがアトランダムに展開していこうと思っている。食べたい時に食べたいものを美味しく頂くのと同じ理由で。そんでもって「GUILTY」なのだが、このLP「擦りきれる」程聴いた。しかし、実際はレコードが駄目になることは稀で大抵はレコード針の方を新品に換えてやるといい音が復活する。ただ、中学生の頃はまだまだ劣悪なプレーヤーと針を使ってる友人がいて、「戦いの歌」(NIEL YOUNG)のシングル盤を貸して返って来た時は良い針に換えてもレコードの溝を削る不快な音は消えなかった。こういうのを文字通り「擦り切れる」というのだろう。蛇足、蛇足。
「GUILTY」は80年の発売。好きな女の子に思いが通じず、アルバイトに明け暮れていた学生時代に針を落とし、以後数年間、事あるごとに繰り返し聴いた。星降る夏の夜、海に向かう車の中でカーステレオの音量をアップして、闇に続く道を一人突き進んだこともある。あの頃、甘くて、切なくて気持ちが溶けそうにさえなった。そんな特別な演出効果をもたらしてくれたのは今考えるとやっぱりBARBRA STREISAND の細くて、なめらかで、美しい声とBARRY GIBB の好ましいファルセットのコーラスが醸し出すソフトでメロウなLOVE SONG の浪漫に満ちた世界のおかげに違いない。
曲は全てGIBB 兄弟の作品。まあ、私に言わせれば要はBEE GEES の ALBUM みたいなものだけどBARBRAが歌うことで艶が出て、箔がついた。これを一流というのだろう。それまでBEE GEES をヒットメーカーとか、お子ちゃまグループなどと揶揄(やゆ)してた一部の音楽評論家には是非聴かせてやりたいもんだって、当時も今も思ってる。映画「SGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」の興業的失敗については当時知る術もなかったが、あの映画を境としてRSO 帝国は崩壊へと向かい、BEE GEES の面々もそれぞれの活動へと向かうわけで、時間的順番からいうとROBIN がJIMMY RUFFINのALBUM 「SUNRISE」をプロデュースし、発表した( 5月)後、同じ80年の 9月BARRY もこのアルバムを発表するに至っている。
英米独で「WOMAN IN LOVE」は1位、「GUILTY」についても米では 3位、英では34位だが独では15位とチャートを賑わしたのみならず、グラミー賞のベストポップボーカルパフォーマンスでの入賞に輝いている。ALBUMは2000万枚以上のセールスともいわれ、米ではコロンビア、英でCBSレーベルで発売されている訳だが、BGML(ビー・ジーズ メーリングリスト)での「ギブ兄弟物語」(TALES OF THE BROTHERS GIBBの日本語訳)によればROBERT STIGWOODはデュエット曲の印税半分とプロデューサー料金額をしっかりと受け取ることになったという。ROBERTとBEE GEESの関係が不穏なものに変わっていく一つの材料にはなったのだろうと思う。
(下の写真、関連のものを集めてみたが、きっとまだどこかに眠っているだろう。こんなにあってどうする? 1番右はイエローキャット盤 GUILTY DEMO 95年ぐらいだったか、これを見つけた時は狂喜乱舞! LP 1番左はハーフスピード録音盤)

このALBUMに関しては嬉しかったのは日本盤だ。今さらながらだが、日本盤独自のライナーノーツを丹念に眺めてみると実に親切に解説されており、日本語訳までしっかりと掲載してある。鈴木道子氏のALBUM評を抜粋してみると「ここでのバーブラは女になりきって愛を歌っている。それは理屈を越えた女。男への従属とか女の自立とかを越えた恋の女を甘美に歌っているのだ。……それほどバーブラの愛の世界は美しく、きく者の主体性を奪ってしまう魅惑にみちている。そして時に、この甘美さは官能的なのか、いやそれとも、ひょっとして精神性がひそんでいるんじゃないかと感じさせるような不思議な魅力さえそなえているのに、当惑をおぼえたりする」。妥当で正直な感想だと思う。
MAURICEが背中の病気で入院している間にBARRY とROBINが「WOMAN IN LOVE」「RUN WILD」「PROMISES」「LIFE STORY」を書き、「GUILTY」は 3人で作った。私が大好きな「LOVE INSIDE」は「GUILTY」のプロジェクトのために書かれた曲でなく「SPIRITS HAVING FLOWN」の時期に作られた曲だそうだが、このALBUMにこそ、ぴったりフィットしているではないか。名曲「WOMAN IN LOVE」では「STAY’N ALIVE」のドラム・ループを使用したのでSTEVE GADD氏の名とともにBERNARD LUPE(バーナード・ループ) の名が記されているのは面白い。「RUN WILD」も大好きな曲の1つ。また、「GUILTY」のBEAT をアイランドBEATというのだそうだがこういった素晴らしい曲を仕上げたのは例によってALBBY GALUTEN & KARL RICHARDSON とのコラボ。「MAIN COURSE」以来のチームワークは素晴らしいの一言に尽きる。
さて、CDについてだが実は下の写真のCDはSONY が1982年10月 1日に発売した世界最初のCDである(勿論、日本初)。CBS SONY プレス国内初版「 1A 1」の初回ロット。最初に作られたCDソフトは全50タイトル。そのうちロック・ジャズ部門では17のALBUMが選ばれた。第 1号はBILLY JOEL の「ニューヨーク52番街」(35DP-1)だった。「GUILTY」は 7番(35DP-7)となる。余談だが当初、ソフトの値段はデジタル録音音源によるものが 1枚3800円、アナログ録音音源によるものが3500円だった。帯も箱型になっているのが特徴だ。

この時から既に33年目。25年目の2005年、続編とも言うべき「GUILTY PLEASURES」が発売されたが、この時同時に「ギルティー 25周年アニバーサリー」としてリマスターされたDUAL DISC(両面使用)盤が初回生産限定盤として発売されている。流石にリマスターされた盤での音は洗練されている。音圧も高く、特に最後の「MAKE IT LIKE A MEMORY(想い出のように)」のピアノ音やらリードギター音などラストにふさわしい圧巻として初回にはなかった迫力感に満ちていて、この曲を個人的に再評価するに至ったことは我ながら嬉しい。この盤に関してはリマスター盤が音的にはお薦めできようか。日本盤は流石にDUAL DISC という訳にもいかず、 2枚組で発売されたが25周年記念ということで限定盤扱い。今や多少のプレミアがついている。やはりその時、無理してでも購入しておくのがベストなのだろうと思う。
(下の写真は2012年に出たハードカバー、ブックレットタイプの「GUILTY」)

重要な宝物の紹介を忘れていました! 2011年 7月に SPICKS & SPECKS というトリビュートバンドがサルサミュージシャンのロヒータスさんと東日本大震災のトリビュートライブを東京・渋谷でやった時、BARRY GIBB がチャリティーとして提供してくれたサイン入りCD。(下の写真・右側)左は25周年記念の日本盤。続編の「GUILTY PLEASURES」についてはまた書かせて下さい。
あ~、オーストラリアに飛んでってBARRY GBB のコンサートに行きたいよ~。1人になってしまった BEE GEE に「ありがとう!」って伝えたい!
