イタリアの現状の基本 
参考ブログから三つお借りする


1、経済財政  http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12225794406.html

 >イタリアのレンツィ首相は、就任後、労働規制の緩和を中心とした構造改革をガシガシと推進しています
「解雇を容易にすることで、新規雇用を促す」
 という、例の政策です。

現在、イタリアの若年層失業率は40%前後に達しており、スペイン、ギリシャに次いで悪い水準に至っています。若者の雇用を増やすために、雇用の流動性を高める、という理屈です。

さらに、レンツィ政権は銀行の不良債権問題を処理するために、銀行再編を進めています。実際、10月17日にはイタリアの銀行バンコ・ポポラーレとポポラーレ・ディ・ミラノ銀行(BPM)が合併しました。イタリア国内では、十年ぶりの大規模合併です。

何というか、レンツィ政権の構造改革は、小泉構造改革に実に似ています(まあ、基盤の思想が同じでございますので)。国民に痛みを求める、上院を「抵抗勢力」と設定しているところなど、スキームが同じなのです。

もっとも、ムッソリーニのファシスト党に支配された経験を持つイタリアは、政府が「性急な改革」ができないよう、権力の分散が図られています。現状のイタリアの政治構造では、「性急な改革」は実現しません。

というわけで、レンツィ首相は、上院議員の数を315人から100人に削減し、予算の承認権限を廃止。不信任決議も出せなくなりる上院権限の大幅な縮小を提案。さらに、国内の各州の環境や交通、エネルギーなどに関する権限も縮小する憲法改正に踏み切ったのです。

権限を中央政府に集中させることで、構造改革を実現する。そのために、国民投票に打って出る。何となく、小泉政権期の「郵政解散」を思い出します。あるいは、日本でも「首相公選制」や「参院廃止」など、権力の集中化を求める人たちがいますね。

>現在の世界の問題は、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化し、国内の規制緩和を推進する「グローバリズム・構造改革」路線と、それに抗う「グローバル化疲れ(※エマニュエル・トッド)」に陥った国民との間の政治闘争という視点で見ると、きれいに物事が理解できます。

オーストリア大統領選挙も、イタリア国民投票も、根っこの問題は同じなのです。もちろん、ブレグジットやアメリカ大統領選挙も。
現在の世界は、「グローバリズム対グローバル化疲れ」により動かされているのです。


2・不法移民による治安悪化の実態
日本では政府案に賛成か反対かだけが報道されるけれど、現地の様子を見れば、もっと実感を伴って
イタリア国民の選択が理解できる。


http://ameblo.jp/evening--primrose/entry-12227269197.html

>先月下旬イタリアのトリノでアフリカ不法移民たちが暴動を起しました。

事件が起きたのは、11月23(水),24(木)2日間に及び、警察の装甲車とフル防御服警官がようやく鎮圧しました。

 La Stampa 新聞のトリノ支局によると、アフリカ人たちは警官に岩やビンを投げつけ、道路標識や駐車中の車を破壊し、ゴミ箱をひっくり返し、通行人を襲撃し、暴動で店じまいした近くの商店に逃げている地元住民たちを威嚇しました。

 この侵略者たちは、EU艦隊が地中海で拾ってきてイタリアに連れてきた者たちで、町はずれにある以前のオリンピック選手村を不法占拠し、少なくとも1500人が住み着いています。

 この暴動ではイタリア陸軍のトラックでさえ攻撃されました。警官は全身を防御する服装で彼らの鎮圧を行いました。

 アフリカ人たちは、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンから来た者たちで、彼らの放火による炎の消火に来た消防車も攻撃し、町の通りにバリケードを築きました。

 he Libero Quotidiano新聞は、アフリカ人暴徒の何人かの言葉としてこう伝えています。

彼らは自分たちの状況に対する復讐のために暴動を起し、アラーは更に導いてくれると言っているそうです。

 水曜日の夜、彼らが不法占拠する区域の外で、3つの爆発物が爆発したということです。

Libero Quotidiano紙は手紙爆弾だと言っていますが、それは可能性としては低く、警察の捜査結果を待たなくてはなりません。

また誰が爆発させたかはわかっていませんが、Libero Quotidiano紙は、この爆発が暴動の主な動機だと言っているアフリカ人たちが何人かいると述べています。

 Libero Quotidiano紙は、1人のアフリカ人の発言を次のように伝えています。

おまえたちイタリア人はおまえたちの子供にちゃんと言っておけ!

我々は犬じゃないと。

やつらを黙らせておけ!俺たちの我慢は遅かれ早かれもう限界だ。

ガソリン缶をお前たちの窓に叩きつけてやる!

もう一人のアフリカ人もこう言いました。

俺たちの誰かの死は、ほかのやつらの死を意味する。

バタクランは疎外されたことへの復讐だ!

(昨年11月パリのバタクラン劇場テロ事件のことを言っています)

やじるし

African Invader Mass Attack in Turin(NOVEMBER 25, 2016 THE NEW OBSERVER)

 

イタリアでは地中海経由の不法移民たちがあちらこちらで悪行を重ねており、昨年12月には、Wi-Fiとメイドを要求して暴動も起こしています。

母国の親族とSkypeが出来ないと言って、無料Wi-Fiがないことに抗議、また自分たちの宿泊施設を掃除するメイドを寄こせと言い、直ちに要求が通らないということで騒ぎました。

 通りに出て大声でわめき、通行人に罵声を浴びせ、ゴミ箱を投げ飛ばし、中のものを道路にばら撒き、最後は警察に宿泊施設に押し戻され鎮圧されました。

 



左翼新聞は自分達の意に反する主張は大衆迎合とし、自分達の意見が採用されなければ民意無視と言う。


http://ameblo.jp/nadesikorin-fight/entry-12225953312.html
>「極右」だとか「大衆迎合」とか言うけど、「民意の反映」のことでしょ!
国民投票で反対側に回ったのが「五つ星運動」。
この新しい政党の主張は「EU脱退」ですから
ここをきちんと伝えないとイタリア国民の本当の民意が見えてきません。

......レンツィ首相 が国民投票で求めたのは「上院の権限を大幅に縮小するための憲法改正案」。具体的には、「改憲案は上院の定数を選挙で選ぶ315人から地方の代表者ら100人に減らし、内閣承認や立法に関する権限をほとんどなくす内容」だったわけ。これって事実上の「二院制廃止」であり「下院独裁」への道ですよね。そこで思い出してほしいのがレンツィ首相の前職。そう、民主党の書記長。まさか上院廃止を社会主義建設のためと言わないよね。
次のイタリア総選挙で「EU離脱」が大きな争点になるでしょう。なぜなら「EU加盟」こそが「移民・難民流入の原因」だからです。左翼が大好きな「人道主義」の最大の欠陥は、自国民に犠牲を強いるエセ人道主義だということ。要するに「革命側」には古い人間は不必要なんです。「移民反対=右翼、移民賛成=左翼」の構図を見れば明らか。「イタリアも自国民第一の政策に舵を切った」と見るのがイタリア国民投票の正しい見方だと思います。
     
  

日本での実際の報道。
これでイタリアの現地事情が腑に落ちるだろうか?

イタリア首相が辞意 国民投票で改憲否決
2016/12/5 12:40  日本経済新聞

 【ローマ=原克彦、竹内康雄】イタリアは4日に投開票した国民投票で、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正案を否決した。
政治の安定に向け改正案可決を目指したレンツィ首相は5日未明(日本時間同日午前)、辞任する意向を表明した。
多額の不良債権を抱える伊銀行の経営健全化が遅れ、欧州が一段と不安定になる懸念もある。

 伊内務省によると国民投票は約6万3千カ所ある開票区のほぼすべてが開票を終えた時点で反対が59.6%、賛成が40.4%だった。投票率は67%だった。

 レンツィ首相は開票開始から1時間半ほど後に記者会見し、「反対派の勝利は明白だ」と敗北を認めた。「すべての責任をとる」とも述べ、5日中にマッタレッラ大統領に辞表を提出する考えを明らかにした。

 改憲案は上院の定数を選挙で選ぶ315人から地方の代表者ら100人に減らし、内閣承認や立法に関する権限をほとんどなくす内容だった。同国では上院と下院がほぼ同等の権限を持ち、多数派が異なる「ねじれ」が生じると政権交代が起きやすい。法案の審議も遅れがちで、経済活性化に必要な規制緩和などを進めにくいのを是正する狙いがあった。

改憲案は4月に議会を通過したが、国民投票はレンツィ首相が「否決されれば辞任する」と公言したことで政権への信任投票へと一変。欧州連合(EU)懐疑派の新興政党「五つ星運動」など野党は反対運動を強化し、国会のチェック機能が低下することなどを問題点に挙げて反対票を投じるよう呼びかけた。

 当初から反対派が多いとみられた南部に加え、賛成派優勢とされた北部でも反対派が票数を伸ばした。有権者が景気回復の鈍さに不満を抱えたことに加え、改憲で下院と首相が強くなりすぎることを不安視したとみられる。伊憲法は過去に独裁者ムッソリーニが台頭した反省から、権力の分散を重視した経緯がある。

レンツィ氏辞任を受け、マッタレッラ大統領は次の首相を指名するか、総選挙に向けて議会を解散するかを決める。いずれにしても労働市場改革などを推し進めてきた現政権の改革路線が後退するのは必至。政治への不安が経営不振に陥った銀行の再建計画など金融問題に飛び火すれば、欧州債務危機の再燃につながりかねない。

 英国が6月の国民投票でEUからの離脱を決め、米国では11月の大統領選で反エスタブリッシュメント(支配階層)を象徴するトランプ氏が勝利。こうした流れが波及し、イタリアでも国民の不満が投票に反映されたとの見方もある。各国で右派勢力が台頭する中、来年に仏大統領やドイツ議会選を控える欧州は新たな試練を迎えた。



EU結束維持の瀬戸際、
伊国民投票否決 反移民派に勢い


2016/12/5 12:37

日本経済新聞 電子版

 【ローマ=竹内康雄】6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定に続き、イタリアでも憲法改正を問う国民投票が否決され、EUの将来は一段と不透明になってきた。EU再建を唱えてきたレンツィ氏の辞任は、欧州全体で反EU、反移民を掲げる勢力を勢いづけかねない。欧州は結束を維持できるかの瀬戸際に立たされている。

 「民主主義が勝った。さよなら、レンツィ首相」。国民投票の大勢が判明した5日未明、新興政党「五つ星運動」を率いるコメディアンのベッペ・グリッロ氏はブログにこう記した。右翼政党、北部同盟のマッテオ・サルビニ氏は記者会見で「すぐに総選挙を実施すべきだ」と迫った。

 いずれもEUに懐疑的な勢力で、既存政党の政権運営に反対してきた。政権を誰が担うかは5日以降、マッタレッラ大統領を中心に協議されるが、親EUだったレンツィ路線の修正は避けられそうにない。総選挙になれば、反EU勢力が支持を伸ばすとみられている。

レンツィ首相への事実上の信任投票となった今回の国民投票。同首相は改革を進めてきたものの、景気は回復せず、失業率は高止まりしたまま。国民は改革の成果を実感できず、政権への不満は強まっていた。新興政党はこれを「グローバル化を進めた結果」「大企業優遇」などと批判し、支持を広げてきた。

 イタリアでは「移民が職を奪っている」「欧州委員会が緊縮財政を無理強いした」といった内向きの主張も根強く、大衆迎合的な動きが一段と広がる可能性がある。

 伊首相辞任が今後、欧州他国にどんな影響を与えるかも焦点だ。欧州では17年3月にオランダ議会選、4~5月に仏大統領選、秋にドイツ議会選と主要国で選挙が続く。

 仏極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首は「伊国民はレンツィ氏とEUを否定した。国民の声に耳を傾けねばならない」とツイートした。ルペン氏は仏大統領選の有力候補。反EU感情を自身の選挙にもつなげたいとの思惑がにじむ。

 ドイツでも排外主義を唱える民族主義政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進が予想されている。

     
イタリア国民投票「否決」より怖い慢性疾患

2016/12/2 0:33

日本経済新聞

【NQNロンドン=菊池亜矢】イタリアは4日、憲法改正の是非を問う国民投票を実施する。改憲否決となれば、レンツィ首相の去就を巡る政局の混乱が通貨ユーロやイタリア国債の売りの引き金になるとの懸念がくすぶる。もっとも、市場はすでに否決シナリオをある程度織り込んでおり、欧州市場ウオッチャーの間では短期的に市場が大きく混乱するとの見方は意外と多くない。

 改憲は議会上院の権限を大幅に縮小する内容だ。改革の加速を狙ったレンツィ氏が否決されれば辞任すると示唆したことから、現政権の信任投票の色合いが強い。レンツィ氏が辞任し、次期首相が安定した政権を確立できないと、2017年早期の総選挙実施が現実味を帯びる。選挙になればポピュリズム政党「五つ星運動」が躍進し、公約しているユーロ圏からの離脱の是非を問う国民投票が実施される可能性が出てくる--ブレグジット、トランプ次期米大統領の誕生と続く既存の政治に対する「NO」の声が、ユーロ圏の崩壊のリスクを呼び込むというのが市場が想定する最悪シナリオだろう。

 ただ、今回の国民投票はブレグジットやトランプ氏当選と決定的な違いがある。世論調査などから「否決」がメーンシナリオになっていることだ。否決自体はサプライズではなく、市場はすでにある程度、結果を織り込み済み。短期的には「否決の結果自体に一段のユーロ売りをけん引する力はない」(野村インターナショナルのジョーダン・ロチェスター氏)という。ある欧州在勤の外為ディーラーは「間近に迫ったから注目を集めているが、相場への影響は来年のフランス大統領選などに比べると相対的に小さい」と話す。イタリア10年物国債利回りは2%前後と、足元で上昇が一服している。ダンスケバンクは11月30日付リポートで、否決とレンツィ氏辞任を基本シナリオとしたうえで「イタリア国債の大量売りはない」との見通しを示した。
(イタリア国民の生活や未来よりも、売りがあるかどうかが焦点なのは、さすが、無責任な日経だなと思う。いや、金融市場はほんと、自己利益だけだから。難民を作っているのは自分たちでもあるのに。)

国民投票直後に政局が一気に流動化するリスクが小さいとみられていることも、「否決」のインパクトを小さくしそうだ。背景にあるのは、7月に施行された新選挙法の修正問題だ。選挙で勝利した第1党に絶対的な過半数が与えられる仕組みに対して、権限一極集中を招きかねないとの懸念が広がっている。「与党民主党の上級メンバーらは、次回の選挙前の必要措置として選挙法の改正を約束している。改憲が否決されれば現在の立法制度が変わらないため、選挙法の改正が遅れ、早期選挙は難しくなる」(ロチェスター氏)という。


否決とその後の政局の混乱が想定内に収まれば、ユーロ・イタリア国債への売りも限定的になる可能性が高い。裏返せば、市場が改めて最悪シナリオを織り込まされるのは、選挙法の修正に着手できないほど政局が流動化し、想定外に早期の総選挙が実施される可能性が出てきた場合に限られるだろう。

もっとも、結果的に今回のイベントが想定内で消化されたとしても、欧州市場の慢性疾患である「イタリアリスク」が小さくなるわけではない。否決でレンツィ政権が揺らげば、EUとの協調や構造改革路線にブレーキがかかるのは必至。政局混乱が長期化すれば、とりわけ不良債権問題を抱えるイタリアの銀行改革が暗礁に乗り上げることも想定される。18年予定の総選挙に向け、「五つ星」が勢いづくのも想像に難くない。

欧州では同日にオーストリアでやり直し大統領選も実施される。第2次世界大戦後初めて極右政党の大統領が誕生する可能性は否定できず、来春のフランス大統領選、来秋のドイツの総選挙と2017年も政治イベントは続く。欧州発の政治リスクにどう向き合うかが、向こう1年の市場関係者の課題になりそうだ。



イタリア、ESMに150億ユーロの支援要請へ
=スタンパ紙

[ミラノ 7日 ロイター] - イタリア政府が、ユーロ圏の金融安定網である欧州安定メカニズム(ESM)に150億ユーロの融資を求める方針だと、7日付のイタリア紙スタンパが財務省筋2人の話として報じた。

この要請は、銀行大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)(BMPS.MI)だけでなく、他の国内銀行の支援にも活用するという。

融資を受けた場合、イタリアは財政緊縮策を求めらる。また、レンツィ首相辞任を受けて樹立される新たな政権は、年末までに融資活用に関する法案を通す必要がある。
(これが本当の国の借金(負債)というもの。他国や他機関に、国家が融資を頼んで、それを返済しなければいけない。
日本のシャッキンが~~~という理論とは根本的に違うのに。日本国は貸し付ける立場。)


<イタリア国民投票>
既成政治不信の波 EU正念場続く

毎日新聞 12/6(火)
【ローマ福島良典、ブリュッセル八田浩輔、ロンドン三沢耕平】4日に投開票された国民投票で憲法改正を否決したイタリアでは5日未明、「反対派」を率いた新興政治団体「五つ星運動」の指導者たちが「小さなダビデが巨人・ゴリアテを倒した」と声を上げ、欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票(6月)やトランプ次期米大統領誕生(11月)に続くポピュリズム(大衆迎合主義)の勝利を祝った。

 レンツィ首相の狙いは短命内閣の続いた政治の安定と経済の活性化だったが、イタリア紙スタンパのマウリツィオ・モリナーリ代表は「貧困化した中産階級、失業中の若者、移民に脅かされていると感じる労働者ら『反抗の民』が反対票を投じた」と分析した。

 賛成票が反対票を上回ったのは20州のうち豊かな北部3州のみ。貧しい南部は反対票が7割前後を占めた。

 EUは争点ではなかったが、「五つ星」など反対陣営の大半はEU懐疑派だ。「イタリアがユーロ圏やEUから離脱する方向に漂流する破局的なシナリオ」(ローマ社会科学国際自由大学のクリスティアン・ブラースベルク教授)への懸念も出ている。

 イタリアに限らず欧州で左派・右派を問わず急進的な主張が受け入れられる背景には、中間層以下の閉塞(へいそく)感や若年層の高失業率などに起因した政治不信がある。

 欧州では2014年の欧州議会選挙で極右やポピュリズム勢力が従来の2倍以上の議席を獲得。英国では国民投票でEU離脱を決めた。こうした状況の中で、EUは17年に主要加盟国の大型選挙を続けて迎える。3月に総選挙を迎えるオランダでは、イスラム排斥を掲げる極右の自由党が支持率首位を争う。フランス大統領選では極右政党「国民戦線」のルペン党首が一定の支持を得ており、既成政党とEUの正念場は続く。

 一方、ユーロ圏3位の規模を誇るイタリア経済への不安もある。経済停滞の要因でもある銀行の不良債権問題だ。イタリア銀行(中央銀行)によると、不良債権の総額は3600億ユーロ(約44兆円)。レンツィ首相はその解消に向けて大手行の資本増強を進めてきたが、市場では「銀行救済プランが遅れる可能性がある」(在英エコノミスト)との懸念が出ている。

 イタリア以外にも南欧の銀行の多くが健全とはほど遠い状態にあり、不安が飛び火すれば欧州全体が危機に陥る可能性もある。



オーストリア大統領選、
親EU派が勝利 極右候補敗れる

[ウィーン 4日 ロイター] - オーストリアで4日行われた大統領選では、「緑の党」前党首で親欧州連合(EU)派のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が極右政党「自由党」のノルベルト・ホーファー氏に勝利した。

事前の世論調査では接戦が予想されていた。英国のEU離脱をめぐる国民投票や米大統領選と同様、大衆主義の波に乗って移民反対派のホーファー氏が勝利し、EU加盟国で初めてとなる極右系の国家元首が誕生するかどうかが注目されたが、実現しなかった。

調査会社SORAによると、投票所で投票された票の99%の集計結果を含めた予測では、得票率はファン・デア・ベレン氏が53.3%、ホーファー氏が46.7%となった。誤差は0.4%ポイント。

ホーファー氏は、投票が締め切られて1時間もたたないうちに敗北を認めた。また、次の大統領選に再び出馬する意向を示した。

今回の選挙は5月に行われた大統領選決選投票の再投票。5月の投票ではファン・デア・ベレン氏が僅差で勝利したが、開票方法に問題があったとして当選は無効とされ、やり直しが決まっていた。



<オーストリア大統領選>有権者、
大衆迎合に反感 左派勝利

毎日新聞 12/6(火)

【ウィーン三木幸治】4日に投開票されたオーストリア大統領選の決選投票で当選確実となった左派・緑の党出身のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン元党首(72)が同日夜に記者会見し、英国の欧州連合(EU)離脱決定や米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利などポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭が指摘される中で「オーストリアは希望と変化のサインを示した」と語った。

 決選投票は難民保護を訴えるファン・デア・ベレン氏に、難民らの排斥を主張した極右・自由党のノルベルト・ホーファー国民議会議員(45)が挑んだが、EU初の極右政党出身の大統領は誕生しなかった。専門家は、米大統領選でのトランプ氏の勝利が「(ファン・デア・ベレン氏を有利にする)反ポピュリスト感情を生んだ」と指摘した。

 内務省によると、開票率約85%でファン・デア・ベレン氏の得票率は51.7%、ホーファー氏の得票率48.3%。

 ファン・デア・ベレン氏は記者会見で、5月の決選投票で約3万票だったホーファー氏との票差が「約30万票に広がった」と強調した。一方、ホーファー氏は地元メディアのインタビューに「この機会を生かせなくて残念だ。(2018年の)議会選でいい結果を出せるようにしたい」と述べた。また、ホーファー氏が所属する自由党のシュトラッヘ党首は「全ての政党がホーファー氏と対立し、ホーファー氏を『ナチス』と呼ぶなど中傷もあった。だが、大統領選で接戦に持ち込んだことは歴史的な快挙だ」と強調した。

 極右政党に詳しいオーストリア抵抗運動資料センターのベルンハルト・バイディンガー研究員は「トランプ氏の勝利に危機感を持った有権者が(極右の勝利を防ぐため)ファン・デア・ベレン氏に投票したとみられる」と分析した。

 5月の決選投票ではファン・デア・ベレン氏が小差でホーファー氏を破ったが、自由党は「不在者投票の開票で不正があった」として憲法裁判所に提訴。裁判所は、訴えの一部を認め、選挙やり直しを命じていた。