'24年1月23日 新幹線架線トラブル 溶接部設計不良 疲労破断 解析 | ICARUS GARAGE

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標記について、破断ロッドの画像も出てきたので解析。

事故、破断の状況は下記の通り。

 

 新幹線トラブル 「架線を引っ張る装置」の破断が原因か

23日、東北・上越・北陸新幹線大宮駅近くで起きた架線トラブルについてJR東日本は「架線を引っ張る装置が壊れたことが原因と推定される」と明らかにしました。 23日の架線トラブルでは新幹線283本が運休するなど、およそ12万人に影響が出ましたが24日は始発からほぼ平常運転に戻りました。 トラブルの原因についてJR東日本は、架線を引っ張るおよそ1.3トンの重りを支える「重錘ロッド」と呼ばれる鉄製の棒が破断したため架線が垂れ下がったと推定されると明らかにしました。 破断した「重錘ロッド」は1985年に上野-大宮駅間が開業したときから38年あまり使っているということですが壊れた原因はわかっていません。

 

▼図1:架線重錘の構造は下記の通り。1.3トンの錘を使った架線に張力を張る構造。

▼図2:重錘のワイヤーは、支柱上部の二段プーリーを介して図から見ておおよそプーリー比5倍で、荷重5トン程度まで荷重アップされ、張力が掛けられている。

▼図3:公表された破断した重錘(ウエイト)上部のロッド。Ω形状下で完全破断。破断面に突起が見えるので見やすく加工する。

▼図4:上の目玉部は断面の凸と下のロッド部端面凹があるので、下のロッドを軸で180度回すとこんな感じでピッタリ合う。

▼図5:上の図では見にくいので、拡大し画像処理してみる。目玉破断部Aと、ロッド破断部Bが一致する。

破断起点はA~Bで、この位置は、目玉をベンディング(折り返し)加工して、溶接した端点が起点。1.3トンと車一台分と大きな荷重がかかる部分であり、ビードもかなり大きいので、溶接開始、終了部で大きなアンダーカット(溶け込み凹みエッジ)があったと推定される。アンダーカットの削除などの処理はなされていなさそう。

ロッド部断面Sに対して、目玉ロッド折り返し部は断面がS×2と2倍になり、この部位で応力が急変化し、応力集中がある。

▼図6:ロッド側は断面画像もあったので見ると、大きな力で引っ張りくびれ(ボトルネック=コーラビン形状)が出来て破断する一発破断の断面ではない。右下凹みの起点から錆が発生しているが比較的新しそうな発錆。

うっすらと貝殻模様も見えるので疲労破断。ロッド1本から2本に変わる旧断面変化との右下溶接アンダーカット部の応力集中部位を起点とする疲労破断。起点から破断が徐々に広がったが、破断は急激に広がり、ここ数年程度で急激に疲労亀裂が広がったと推定される。

▼図7:上図の断面を見易く画像解析。起点は2か所の溶接ビードのアンダーカットの①の2か所。そこから②の方向へ亀裂が広がり、疲労初期に亀裂に雨水が入り込み錆が発生、初期の部位は、貝殻模様が細かい。亀裂が広がるにつれ、有効実断面も減少し応力が上がり、亀裂の進行も早くなり、③と目の粗い貝殻模様となり、最後④の部位で1.3トンに耐えられず一発で最終破断。それが1月23日。

 
【原因・対策】列車が架線を通る際や強風などの張力変化の振動が危険部位を疲労破断させた原因。
38年と使用期間が長いので、20年程度が交換が安全。また断面の急変化とビードのアンダーカットがあるので、それを減らす設計が必要。旧変化断面とビードアンダーカットの機械削除という手段があるが、部品の数とコストからして不適。もっと太いロッドを使い、短期間でロッドを定期交換するのが良い。
既存重錘ロッドにも亀裂が入っている可能性が高いので、設置時期の長いものから順に、亀裂に赤色を染み込ませ亀裂を確認するカラーチェックで亀裂を確認をすべき。
よくあるトラブル。