ヴィーナスはまだ若くそして幼い花びら
君は不思議に思うだろうけど 中途半端に老いぼれたこの僕は
時折意味もなく眠たくなる事がある
「歳をとればそんなものでしょ」
この町の工場群、幾つもの鼻を伸ばす煤で汚れた巨大なそれから
吐き出して天空を舞うあの煙のように 彼女はあまりにふてぶてしい
いいさ 君は大事な友達 分かってもらおうなんて...きっと、烏滸がましい望みなのだろう
何処までも広く果てしなく 続いている様な錯覚に陥る 鏡張りとなったこの世界
やり玉にあげられてる無数のカプセル 昨夜もそれを噛み切って飲み干した
凸凹の体型を引きずるも 無駄なやりとりはセロハンゲームだけにした
若かりし頃を思い浮かべ 高揚を引き出して夜の掟に逆らい戯れる そんな遊びにも手をつけなんだ
なのにとても眠いのだ 意識はあるのに上の空
眠ってしまえば楽な話 分かってはいるが そう思おうとしたら シャボンが現れて瞼を開けさせる 全開じゃなくて生半可に
ヴィーナスよ、君はいくらでも起きていられるようだね
おじさんのベッドに飛び込んで はだけて揺れるその奥を じっくりと見せてくれないか
裸になって擦り合おう そうすれば暫くの間だけでも 孤独な息遣いは輪舞曲に変わる
部屋の暖は冷めてきても 構わずダンスを踊ろうじゃないか
温もりのない田舎では 眠りという名の安定剤まで 不安という文字に書き換えられる
どんなお茶やコーヒーよりも苦い表情の住人達 心に穴を持つ涙を狙らい槍玉に挙げる
悩みを行き来させる程に 誰かが落ち込んでしまったなら それが最高の笑い講さ
連なるレンガに身を隠す そういうわけにも行かないステア 昔彼等もされたのかもな
いいから早くシャツを脱ぎな 桃色のボタンをいじらせておくれ
恍惚とするまで気持ちよくなったら かわりばんこの時間だよ 昼もなく夜もなく忘れさせて
繋ぎ合わせて 虹を描こう 今日も曇りに違いないだろうけど 乾いている世を湿らせよう
ヴィーナスは何処からともなく現れる 落ち合う時間なんて決めちゃいないが
気づけばコンクリートの階段に項垂れて座る 初老のような僕の隣 優しく微笑んで座ってる
何一つ彼女は言わないけれど 咥えてくれるアイドルの様に 眠気を覚まさせ付合ってくれる