燃料電池は、1969年月着陸を果たしたアポロにすでに積まれていました。

それから、約半世紀を経て今、燃料電池車である2代目MIRAIがTOYOTAから発売されました。

走行時に排出するのは水だけなので、クリーンで二酸化を排出しません。

走行距離も長く、水素充填時間も短く、水素ステーションさえ身近にあれば、高価格を除いて使い勝手上大きな問題はありません。

 

すでに言われているように、水素を作りだし供給するためのネットワークを新に創出するには、多大なインフラ投資が必要になることを除き、悪い点は無さそうですが、燃料電池車自体にも隠れた欠点がありそうです。

 

燃料電池は水素と酸素を反応させて電力を作ります。鉛電池やリチウムイオン電池が充放電を行うのに対し 燃料電池は単なる“発電機”です。

従って、燃料電池自体に、一般道路で電費削減に効果の大きい“減速時エネルギー回収”ができません。

結局MIRAIは、HEVと同様、2次電池であるリチウムイオンバッテリーを積んでいます。内燃機関こそ積んでいませんが、HEVと同じと言えなくもありません。

バッテリーとモーターだけのシンプルな構成のBEVに対して見劣りする点です。

 

もう一つの欠点は、水素が大気圧下では気体である点です。走行距離を稼ぎながらコンパクトに搭載するには、700気圧にまで昇圧して高圧タンクに収める必要があります。この昇圧工程はクルマの外で行われているとはいえ、無視できないエネルギー損失が不可避です。

 

この二つのポイントは、エネルギー効率の観点から燃料電池車の欠点といえます。

 

とはいえ、長距離走行を行う大型商用車においては、燃料電池が現状のバッテリーを想定するかぎり、BEVより実用的です。

燃料電池車は、多分このカテゴリーで一定のシェアを築きそうに見えます。

 

国は今、水素社会の実現に向けてロードマップを描いているのですが、個人的には疑問を感じています。

エネルギー調達の多様化と脱炭素社会実現のために、水素が一定の役割を果たすべきことには同意できますが、国が描く“過大なシナリオ”は実現不可能に思えます。

 

脱炭素社会の実現に向けて、今もっとも必要なのは、再生可能エネルギーとそれを可能とする大容量蓄電装置を含む電力ネットワークの創出で、そのためにも全個体電池を含む2次電池こそがキーテクノロジーだと思えます。