EU委員会が、これまで認めてこなかったe-fuelを認める決定をしました。
まだ、委員会レベルでの決定とはいえ、最終的に内燃機関の延命につながる決定といえそうです。
クルマのBEV化ならまだしも、大型商用車、船舶、航空機となるとリチウムイオンバッテリーのエネルギー密度では実用にたえるとは思えません。
エネルギー密度が桁違いに大きい液体燃料のe-fuelが認知されることで、これらのセクターにとっての現実的な選択肢が増えたことになります。
e-fuelは、再生可能エネルギーで水を電気分解して得られた水素と大気中の二酸化炭素から合成するので、燃焼時に放出されるに二酸化炭素と差し引きゼロになるという理屈です。
今まで積み上げられてきた内燃機関技術と製造設備、液体燃料配送システムはそのまま使い続けることができるので、自動車、船舶、航空機にとどまらず、多くの産業セクターで歓迎されると思います。
とはいえ、クルマの例で考えると、再生エネルギー由来の電力を蓄電した電気エネルギーでモーターを駆動するBEVと比べると、e-fuelは燃料製造に多くの手間とコストが余計にかかり、現状、リチウムイオン電池と比べてコストメリットはありません。
今後、電池の技術革新とe-fuelの製造方法の革新を見通してみても、高級車は別として日常の足として使うクルマに限ればe-fuelを燃料とする内燃機関に勝算はないでしょう。
カーボンニュートラル社会実現への道筋の中で考えても、e-fuelに大きな意味はなさそうです。
燃料合成技術の進歩は期待できるとしても、再生可能エネルギーを使って製造することに変わりがないからです。
エネルギーを貯蔵する手段としてe-fuelが手ごろで便利とはいえ、キーとなるのは、やはり再生可能エネルギーです。
国土の狭さ、日射量、風力発電の立地など諸外国に比較して不利な条件下とはいえ、再生可能エネルギーで立ち遅れている日本にとって、今回EU委員会の決定は、一時的には基幹産業である自動車産業の助けにはなりますが、長期的には大きな意味を持ちえないと思います。