冬季オリンピックスピードスケートのパシュート競技の決勝を観ました。女子チーム3人の隊列は、最終周まで一糸乱れぬ見事さでしたが、惜しくも最終周の転倒で銀メダルに終わりました。前回の冬季オリンピックの後、空気抵抗低減効果がパシュートの記録に表れているという主旨でブログを書きました。

 

今回もそこは同じですが、後ろを滑るスケーターが前を滑るスケーターの“お尻を押す”様子が写しだされていて目を引きました。テレビ解説によれば、空気抵抗負荷のかかる前を滑るスケーターを補助するためだそうです。ここまでくると、トラックでいえば、隊列走行ではなく連結走行に近いです。

 

トラックの代表的な連結形態は、一般的に“トレーラー”とよばれ、前を走るトラクターが、連結器で繋がったトレーラーを牽引するものです。トラクターが主で、トレーラーは従で、トラクターのブレーキ操作に反応する以外の仕事はありません。これに対して、超重量連結車両では、パワードーリーと呼ばれるトレーラー側にエンジンと駆動輪を持つ連結形態や、トレーラーの後ろからドローバーを介してトラクターがトレーラーを押すことで先頭のトラクターと協調して走行する形態もあります。これらは、今回パシュート競技に見られるようになった“お尻を押す”と同じものです。

 

そもそも、トラックの隊列走行の目指すところは、本来行先の異なる独立したトラックが一次的に“隊列”を組むことで、この間のエネルギー消費を低減しつつ後続車両の運転注意負荷を軽減するものです。行先が同じなら、機械的に連結された所謂“トレーラー”で十分ですし、究極は鉄道へのモーダルシフトが理にかないます。

 

あくまで独立した車両が、一次的に行うこの、トラックの隊列走行を、私は“仮想連結”と言い換えられると思っています。

 

今、多くの車両に装備されるようになったアダプティブオートクルーズも、私見では“仮想連結”に含まれます。理想的には、後続車はなんの注意も要せずに追走できることですが、現在の技術は、光学センサーやレーダーを使ってやっとの思いで前走車を追いかけているのが実情です。時代が進み、車車間通信も使えるようになれば、前走車の意思を遅滞なく後続車に伝えることができるようになり、トラックの隊列走行が目指していることが、一般の乗用車でも実現できるようになるでしょう。

 

パシュートの“お尻を押す”動作は、もしかしたら、前のスケーターの様子を知るのにも役立っているのかもしれません。だとしたら、これはトラック隊列走行の車車間通信そのものです。