バイデン政権誕生以降、脱炭素の動きが急になってきました。

 

これに呼応するように、自動車会社からの発言に、“カーボンニュートラル”という言葉が目だって増えた印象です。

端的に“温暖化ガス排出量が差し引きゼロ”なら、いいでしょうという考え方です。

分かりやすい例が、ポルシェの“水素ガソリン”です。

再生可能電力で製造した水素と、大気中から回収した2酸化炭素を合成した“水素ガソリン”で既存のガソリンエンジンを動かすというものです。

水素ガソリンとはいえ、主成分は炭化水素のCなので、走行時には普通のガソリンエンジンと同じくたくさんの2酸化炭素を排出するのですが、もともと大気中から回収しているので、差し引きゼロという理屈です。

さすがに、これだけ手間暇かければ、コストも上がるので、一般大衆車向けというわけにはいかず、高価な燃料を買ってでも、“エンジンの躍動”を楽しみたい向きには受けるに違いなく、ポルシェとしては、911にこの“水素ガソリン”仕様を設定して、売り出したいようです。

 

我が国でいえば、最近トヨタが、水素エンジンで耐久レースに出場すると発表しました。

社長の独断専行にもみえますが、これは気体水素を燃料にしたエンジンで、MIRAIの燃料電池:FCとは違い、ガソリンの替わりに気体水素を燃料にします。

昔から研究されてはきていますが、商品化にはまだ多くの困難が伴うはずです。

 

もともと、トヨタは単なるバッテリーEV:BEV化一本槍には反対の立場で、HEVやFCに力をいれてきました。

カーボンニュートラルに向けた全方位戦略は、傍目には非効率にも見えますが、これもその一つで、巨大リソースを持つからこその方針です。

マツダ、ホンダも“水素ガソリン”の類のカーボンニュートラルに、興味を持っているようです。

 

商用車を含めた輸送セクターのカーボンニュートラルに向けた動きの中で、BEVが主流であることは確かですが、水素の使い方も燃料電池:FCによる発電だけでなく、燃やすほうにも可能性が残っているようです。

 

人類は、木を燃やして暖を取ることからはじめ、化石燃料を燃やすことを覚えて急速に工業化しました。この間燃やされていたのは、一貫して炭素:Cでした。

今後は、FCも含め、“水素:Hを効率的に燃やす“方法を探求することになりそうです。