一般的に、多くの工業製品は、用途を同じくする一連の製品名に記号を使います。
記号によって、容量やサイズの並びを明瞭に示すためです。
これが、ことクルマになると、そうでもなくなります。
トヨタやホンダの日系メーカー、GMなどの米国メーカーの車名に、ほとんど記号は使われていませんが、ドイツをはじめ西欧のメーカーで多く記号が使われています。
この違いは、どこから来ているのかと思いをめぐらせてみると、そもそもクルマの造り方に由来してそうだと気づきます。
記号化された車名を持つカーメーカーは、小型車から大型車まで共通する設計思想で貫かれた製品群を造りだしています。
車名が記号化されていないメーカーのクルマに、設計思想やデザインの一貫性を感じにくいのは、私だけではないでしょう。
最近、愛車ベンツB170の修理代車にE200を借りました。
3日程日常の足にしたのですが、それはまさに最近試乗したC200の大型版でした。
エンジン駆動系が同じとは言え、驚く程、乗り味が似ています。
違いは、回頭時にマスの大きさを感じる点と、駐車スペースに入れるときの長さに閉口した点位しかないと言っていいかもしれません。
よく、メルセデスの運転席からの視界がどのモデルも似ていると言われますが、共通するのは視界だけではありません。
スイッチ類の配置も、多くはクラスをまたいで共通化されています。
部品・システムを共有するだけでなく、設計思想を共通に、小さなクラスから大きなクラスまで展開しています。
商用車開発畑育ちの私からみると、開発効率、生産効率だけでなく、ユーザーメリットからも、設計思想を共有する製品群を持つのが、極めて自然な姿だと感じます。
技術革新や最新設計手法を効率的に展開するためにも、設計思想を共有する一連の製品群を持っている方が有利ではないでしょうか?
最近マツダが車名の記号化を進めているのは、この方向を目指しているように思えます。
正直、全てのカーメーカーにとって、これが正しい選択なのかどうか、確信があるわけではありません。
今や世界でもっとも支持されているブランドである、トヨタ、VWに、このこだわりがあるようには思えません。
そもそも、年間1000万台超を生産する巨大メーカーにはそぐわないという声も聞こえてきそうです。
車名の記号化が、ユーザー層を固定化するディメリットもありそうです。
ドイツの高級車ブランドだからこそできるのだと言われそうな気もします。
私がまだ子供で自家用車ブームの1960年代、カローラから始まるカーライフは、“いつかはクラウン”で頂点に達するというCMが一世を風靡していました。
クルマの階層を、消費者に伝えるためだけであれば、アルファベットや数字で並べなくてもいいのかもしれませんが、クルマを造る時点ですでに、“車名の記号化”の実質的な恩恵があるはずだと、思わずにはいられません。