SUV(Sport Utility Vehicle)が世界中で増えています。
家人とよく観る韓国ドラマでは、財閥の御曹司が乗るクルマがSUVです。
この風潮、日本ではそれ程ではないと思っていましたが、我が家から橋を渡った先の世田谷に行くと、妙にベンツのゲレンデ(Gクラス)に行き交うことが多くなりました。
昨年から今年にかけて、トヨタ、スズキ、ニッサン、マツダ、、、次々と新型SUVが発表されています。
今月になって、メルセデスからは、GLA、GLBが同時に発売され、ボルボの人気車種は今やXC40です。
これほどまでにSUVが好まれるには、理由があるはずなのですが、、、
そもそも、SUVという名前はどのクルマから発しているか?思い返してみると、メルセデスのゲレンデ、ローバーのレンジローバーあたりかと思います。
両車とも、軍用車を民間車両に転用した生い立ちです。
軍用車ではありませんが、これにトヨタのランクルを加えても良いかもしれません。
言ってみれば、SUV御三家といったとこです。
これらは、いずれも梯子状のフレームにエンジン駆動系足回りを装着し、その上にキャビンを載せた構造で、普通のトラックと同じ作り方です。
4輪駆動で最低地上高が高く悪路走破性が高いのが特徴です。
見かけ上も、所謂ジープ形状で角ばった形をしています。
これらの初代ともいえる御三家の後、もう少し軽く小さいSUVが出てきました。
日本製では、いすゞのビッグホーンです。
ピックアップトラックがベースのSUVで、トラックの荷台を取り去りキャビンのルーフを伸ばしたバン型のキャビンに載せ替えた成り立ちは、御三家と共通です。
御三家よりは、走りでは“軟弱”ですが、都市生活者にとっては程々に使い勝手のよいSUVとして、米国を中心にセダン市場を侵食し、日本でも遅れて売れ始めました。
私自身、駐米時代に、ビッグホーン(現地名Trooper)をファミリーカーにしていました。
通勤にも使っていましたが、週末の買物では、マットレスや大きな生木のクリスマスツリーを積み込んだんこともあります。
キャンプや家族旅行にも十分な収納スペースがあり、道路を外れた不整地でもパートタイム4駆が心強いものの、ノンターボの4気筒2Lエンジンでは、3000mを超えるような高地に行くとさすがに力不足でした。
とはいえ、総じてセダンやワゴンよりは、生活スタイルにフィットした良いクルマでした。
ビッグホーンから少し遅れて、トヨタのハイラックスサーフ、ニッサンのテラノ、三菱のパジェロなどのピックアップトラックベースのSUVが続きました。
これらのクルマは、国内ではRVとも、呼ばれていました。
Recreational vehicleから取られていましたが、米国でRVといえば、キャンピング用車両のことでまったく違うクルマのことでした。
このSUVの流れは、現在に続いているのですが、今やSUVとしてひとくくりにされているこのジャンルの主流は、多くラダーフレームを持っていません。
簡単に言えば、モノコックと呼ばれる一体型の車体構造をもつセダンをベースに、大きなタイヤをつけたうえで、少しシートレイアウトをアップライトにすることぐらいで、前後スペースを稼いだクルマがほとんどです。
このような新種のSUVをクロスオーバーと呼ぶ国もあり、そのほうが実態に近い気もします。
SUV発祥当時の御三家とは異なり、大きさもコンセプトも微妙に異なる少し変わったSUVが次々にでてくるので、ひとくくりにSUVと呼ぶのも気が引けますが、あえて定義すれば、車高が高い(1600mm以上)、最低地上高が比較的高い(150mm~200mm位)ぐらいで、付け加えれば4駆仕様を展開している、、、位のところです。
もはや、軍用車やトラック由来のオフローダーの面影はありません。
このようにしてみると、このSUVがなぜ売れるのか?
おもいつくままにあげてみると、
1.目立つから
2.カッコいいから
3.視点が高いから
4.雪道で安心だから
5.冠水路を走れるから
6.バンパーをこすりにくいから
7.荷物をたくさん積めるから
8.丈夫そうだから
9.長身者には乗り降りしやすいから
セダン・ワゴンに比べ、性能と機能で決定的に優れる点はないことから、シティユースが主のほとんどのユーザーにとっては、SUVを選ぶ必然性は無いと言えます。
一点だけ注目すべきは、異常気象による大雨や大雪には、最低地上高とキャビン床面が高いことが有利に働くことです。
ここ数年、益々酷くなる異常気象に直面してみると、この利点が購入動機になってもおかしくありません。
現に、路面冠水が日常的に起こるタイでは、4ドアキャビンを持つピックアップトラックが人気だそうです。
結局のところ、セダンやワゴンを見飽きた我々にとって、見かけが新しいクルマの一ジャンルをSUVと呼んでいるだけのようで、すでに諸外国を含めクロスオーバーと呼ばれることもあります。
その中身は、変容していきながら、近い将来、また別の名で呼ばれることになりそうな気もします。
蛇足ながら、私自身は、変容しつつあるSUV、決して嫌いではありません。