最近、自動運転の実用化が、どのカテゴリーでいつ頃実現しそうか?意見交換の機会がありました。
結論は、カテゴリーによらず、早くても2035年以降だろうという意見で一致しました。
いうまでもなく、ここでいう自動運転とは、いつでもどこでも使える自動運転車のことです。
数年前までは、もっと早く実現しそうという観測が大勢でしたが、他の多くの新技術実用化の例にもれず、やってみると次々と難題が湧きでて当初の楽観的な目論見が外れるのは、自動運転も例外ではありません。
とはいえ、ADAS(高度運転支援システム)として、すでに“部分的自動運転“が市販車に盛り込まれているのも確かで、この流れが止まることはありません。
来年中には、高速道路で手放し運転が可能なモデルが次々に世にでることになりそうです。
こんな実情をみれば、数年先には完全自動運転も可能になりそうだと考える人もいるでしょうが、自動車しか走らない高速道路をドライバーがいつでも運転を換われる前提での“自動運転”と、歩行者や自転車が行き交う一般道路で、酷い西日で目がくらんでしまいそうな日や、大雨で視界が限られる深夜でもうまく走れなければならない“完全自動運転”では、その困難さでは雲泥の違いがあります。
この辺りの認識は、自動運転開発に携わる人々の共通理解だと感じました。
大型商用車に限れば、部分的な自動運転の実用化は目の前であるという認識も一致しました。
人里離れた鉱山では、すでに大型ダンプトラックが無人で運転されています。
空港内のリムジンバスや、ターミナル間シャトルバスの自動運転が最初に実用化される代表的な例で、運転される空間を限ることで、混合交通の難しさを避けられるからです。
空間を限っても、なお実用的でありうるのが大型商用車の世界とも言えます。
議論の中で、少し認識が違うかなと感じたのは大型商用車の自動運転についてです。
大型車は質量が大きいがゆえに、走り曲がり止まる性能が乗用車とは根本的に異なり、自動運転の開発に関しても特有の難しいがあるに違いないという議論です。
私自身は、この議論を聞いて、全面的には同意できませんでした。
質量が大きいことに起因する大型商用車の走りに関して、それが乗用車と同じでないことは、実際に開発に携わり、運転したこともある身としてよく理解していますが、難しさの本質は混合交通にこそ起因すると思えるからです。
かつて、現役エンジニア駆け出しの頃、試験車の実路試験中、ベテランのテストドライバーから、“流れを作るつもりで運転しろ!”と一喝されたことがあります。
その本意は、そもそも動きの鈍い大型トラックなのに、周囲のチョコチョコと速度と進路を変える乗用車の動きに眼をとられ、落ち着きの無い忙しい運転が不安全運転になっているという指摘でした。
混合交通の中では、乗用車と大型トラックは、お互いの運動性能に大きな違いがあることを理解した上で運転することが大事で、それが自動運転であっても同じです。
難しさは、大型車側だけにあるのではなく、乗用車側にも、平等に存在すべきものです。
とはいえ、より動きの鈍い大きい車両を運転する側が、より多く先を読み、より多くの余裕をもった運転をすべきであることは、手動であろうが自動であろうが、変わりません。