誰にも渡したくなかったよ | さやみる推しのNMB妄想小説 別館
何となく思いついた話です




(新郎様か新婦様どちらのご友人ですか?)

「あぁ、新婦の方で…」

受付を済ませ会場に行くと
見慣れた顔ぶれがいた

「彩!久しぶりー!」

「よっ」

「相変わらずクールやな
ドレスにせんかったんや」

「なんか、ちゃうなって」

「いやいや綺麗なんやから顔は」

「なんやねん顔はって」

「ハハッ相変わらず鋭いツッコミや
でも、、まぁ来てくれてよかった」

「そりゃ招待状来たからな」

「いや、、、うんそうやな」

「…大丈夫や」

「そっか、、」

気まずそうに笑う岸野
理由は簡単やった
今日の主役、花嫁の美優紀は
高校からのクラスメイト
それだけじゃなくて
高校生活…全てをかけた人
そう、彼女だった

女子校でお互い目立つ存在で
初めは何も思ってなかった
だけど一緒にいる時間が長くなればなるほど
彼女の良さをどんどん知っていって
気づいたら告白して付き合っていた
女子校という環境からか周りは寛大で
どちらかというと祝福されながら過ごしてた
けど卒業が近づき進路を考え
社会に出るんだと考えた時に怖くなった
そして

「ごめん」

「私の事嫌いになった…?」

「違うっ、美優紀のことは好きや
でもこれから先、美優紀が傷つく姿を
私は…」

「彩ちゃん…ほんまに好きならな
傷つけられてもいいって思うねん」

「…」

「分かってた
彩ちゃんはそんなことできないって
優しすぎる…」

「みゆっ…」

バシッ、、

「触らんとって
今触られたら彩ちゃんから
離れられへんくなる」

「…」

美優紀は涙を拭うと
キラキラした笑顔で私を見て
何も言わずその場を去った
そこから連絡は何も無く
お互い共通の知り合いを通して
今の状況を知るだけやった
そして数ヶ月前
招待状が私の元へきた
正直なんで私に送ってくるのか分からなかった
なんて無神経なんだとも思った
私は今でも…だなんて振った人間のくせに

(新郎新婦の入場です!)

扉が開き目をやると
ドレスに身を包んだ美優紀がいた
あまりにも綺麗で思わずみとれてしまうほどに
あの頃の美優紀はいなかった

式は進み歓談が続いていた
私もかつての同級生たちと話に花を咲かせてた

「彩」

「ん?」

「みるきーのとこいこ」

「私はいいわ」

「…みるきーが話したいって」

式場の一番奥
新郎と並んで座る美優紀
ちらっとそちらを見ると目が合った
さすがにこの状況で行かないのは
良くないかと思って仕方なく岸野と向かう

「来てくれてありがと」

「おぅ、、まぁ」

「ずっと謝りたかってん…あの」

「…」

(それでは皆様只今より
お二人の思い出の動画をご覧くださいませー!)

「…席戻るわ」

始まった動画は2人の生い立ちから
今に至るまで
高校の時の写真どれも私がいる
なんでそんな写真選んでん
卒業後の美優紀…知らない姿ばかり
そして彼と出会い付き合ってる時の写真
あんなふうに笑ってたな
この笑顔を守りたいなんてあの時はホンマに思って
めっちゃ好きなくせに大好きなくせに
ずっと隣にいて欲しいくせに
強がって別れを告げた

「かっこわる…」

式が終わり
友達たちとも一通り話して
帰路に着く

「まぁ、、、これで踏ん切りが…つかんよな
だっさホンマに」

「彩ちゃん!!」

「え、、、美優紀?」

式場からのんびり歩き始めてたら
私服に戻った美優紀が走ってきた

「なにしてんの、、、、」

「だって帰ったって聞いて」

「だからって…」

「ずっと話したかったから」

「…」

「あの時のこと、、、
私卒業してからずっとずっと
彩ちゃんに会いたかった
優しい彩ちゃんのこと分かってたそこが好きで
でも、寂しかってん
私がもし2人のことで誰かに言われたら
彩ちゃんはきっと私と離れるって
やっぱり予想通りそうなったし
そう予想出来た自分も嫌で
離れたくない!と言ってくれない彩ちゃんも
すごく嫌やった…だからあんな感じで」

「ええよあれは私が悪かったし」

「違うっ!ほんまはな
沢山お礼が言いたかった
彩ちゃんがどう思ってるかは分からないけど
私は…彩ちゃんといた時間はどれも幸せで
かけがえのないものだった
ありがとう」

「…」

「それだけ、、、」

「…ほんまは離れたくなかったよ」

「え?」

「でも、私弱いから
やっぱり美優紀を傷つけない自信が無い
同性やしな、、仕方ない
ほんまは来るつもりもなかったんや
でも私やって…美優紀と会いたかった」

「…」

「結婚おめでとう…」

「彩ちゃん」

「じゃあな」

「彩ちゃん!私は彩ちゃんのこと」

「…いつまでも私の中の1番は」

「…」

「…フッ
またな、美優紀元気で」




あのころと何も変わらない
大事なこといつも言えない
そんな私だけどそれでも




美優紀は誰にも渡したくなかった