この時期にぴったりな
短編やと思います
((かんぱーーーい!))
今日はバイトの送別会
今年の主役はもちろん
「みんな頑張れよー」
そう彼
山本彩くん
バイトリーダーでみんなからの
信頼も厚くて
バイトからだけでもなく
店長や本社の人からも
就職しないか持ちかけられてた
でも彼は教師になるため断ってた
(彩くん行かんとってやー)
(いややぁー!!)
みんな酔いが回ってきたのか
大胆になってきて
彩くんに抱きついたりして
見てられない...
「ふぅ...」
そうちょうど一年前やった
私がバイトを始めたときは
何にもわからんくて
迷惑かけて心が折れかけてた
もう辞めたいそんなときやった
(おいっお前酒まだか!)
「すいません
今ご用意...キャッ」
(お姉ちゃんいいお尻してるやん)
「やめ...」
(ええんか?お客様やで?)
「っ...」
ガチャンッ
(イデデデッ!!)
「お客様?
うちはそういう店でないので」
ドンッ!!
「とっとと帰れ!」
(な、なんやねんっ!!)
「大丈夫?」
「すいませ...大丈夫ですから!」
「あ!」
恥ずかしい最悪
あれくらいのこと
軽くかわせないとアカンのに
「やっぱり向いてない...」
「美優紀ちゃんっ!」
「...先輩?」
「あーよかった
大丈夫?
しんどいやんな?」
「大丈夫...です」
「そっか
ごめんな?
嫌な思いしたよな」
「...なんで」
「え?」
「なんで先輩
いつもそんなに優しいんですか?」
「そうか?
意識してないけど」
「それならチャラいですね」
「そんなことない
でも心配はする
だって嫌な気持ちしてることくらい
俺にやって分かるから」
「ごめんなさい
やっぱり私辞めます」
「...なんで?」
「向いてないから
迷惑かけて私」
「嫌や」
「え...?」
「美優紀ちゃん頑張ってること
俺はよくわかってる
周りの子やって
そうやと思ってる
これからやんか
そんな事言わんとって?」
「...私なんか」
「だから、聞こえてる?
俺、辞めて欲しくない」
「先輩...」
「また明日頑張ればいい
それが無理なら
次でええやん?
次あるんやからさ、な?」
「...はいっ」
入ったばかりのバイト
それやのに先輩は
私を引き止めてくれて
そのあともずっと気にかけてくれた
そのお陰でだいぶ慣れて
新人の教育を任せられるほど...
全部先輩のおかげ
「でもみんなの先輩やし」
夜風に吹かれながら
オレンジジュース
もう少し大人なら
お酒、飲めたのに
「酔った?」
「え...?先輩」
「なんてオレンジジュースじゃ無理やな」
「なんで...」
「フフフッ美優紀ちゃんと
話したかったから
抜けてきた
おらんくなるからさ
どうした?気分悪い?」
「違います
ただ...なんか」
「ん?」
「先輩...ホンマにおらんくなるんやって」
「あー...そうやな
でもまぁたまには遊びに来るし
困ったことがあれば...」
その言葉
周りの子達にも言ってた
分かりきったこと
先輩はみんなに平等なんやから
私だけ特別...なんてわけない
「美優紀ちゃん?」
「いえ...先輩
今までありがとうございました」
「ん?あぁこちらこそ」
「先輩のおかげで
やめなくて済んで
やめなくてよかったって
思ってます!」
「...正しかった」
「え?」
「俺、美優紀ちゃん引き止めたの
少し気になってたとこあってさ
無理に止めたんちゃうかって
でもそう言ってもらえて
よかったありがとう」
「先輩...」
「美優紀ちゃん俺」
(彩くん二次会ー!)
(早く!)
「あー」
「行ってください
私はもう帰りますから」
「あ、待って
タクシー拾うから
流石に危ないって」
「あぁ...」
先輩はタクシー止めてくれて
お金渡してくれてた
「いいのに...」
「俺がしたいから
美優紀ちゃんあのな...」
「先輩、頑張ってください
私、先生になった先輩みたいです」
「っ...」
(扉閉めますねー)
さよなら...私の...
ガシッ!!
「待ってください
やっぱ俺も乗ります」
「え、先輩
二次会...」
「出してくださいっ」
(は、はいっ)
「先輩っ、ねぇ」
「...」
(ありがとうございましたー)
先輩はその後何も言わずに
タクシーに乗って
家の近くに着いた
「先輩...」
「あーー!!!」
「え」
「あー!ごめんな!
俺何してるんやろ
酔ってのか?
ホンマに何も考えてないやんかぁ」
わぁわぁいう先輩
いつも冷静な先輩しか見たことなくて
こんなの初めてで
少し笑ってしまった
「なんで笑うんよ」
「可愛かったから...」
「可愛いって
情けないやろ?」
「取り乱してる先輩
可愛いです」
「はぁ美優紀ちゃんって
ホンマにずるいよな」
「え...」
私ひどいことしたんかな?
今までに何かしてた?
「美優紀ちゃんさ
俺のこと優しい言うてたやん」
「はい...」
「それ皆に優しいわけちゃうから
そんな誰にでも優しくできんから」
「じゃあ...」
「美優紀ちゃんやから...
とか言うたらキモい?」
「へ...」
「気づいたのは最近やけど
でも初めてあった時からきっと
無意識に優しくしてたんや
でも気づいてからは
意識して優しくしてた」
「どういうことで...」
「好きだ。」
「え...」
「美優紀ちゃんのこと
好きなんや」
「う、そ...」
「ごめんな?
俺いい人なんかとちゃう
汚いやつや
美優紀ちゃんに好かれたくて」
「...」
「じゃあ気をつけて
送別会来てくれてありがとう」
「...最低」
「え」
「最低や」
「...ごめんな性格悪く、」
「今ここでどっか行ったら
嫌いになる」
「それ」
「先輩は
好きな先輩のままでいて」
「好きって...うぉっ///」
ギューッ
「先輩にあった時から
先輩のことが
好き...」
「っ///」
「これからもっと頑張る
そしたら先輩
もっと好きになってください」
「...ったく
喜んで」