フレンチ@予約困難店「フロリレージュ」2回目のディナーで思うこと。 | 里井真由美オフィシャルブログ Powered by Ameba

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フードジャーナリスト。テレビや雑誌、webで活躍中。全国47都道府県、世界20ヶ国以上を着物で食べ歩きグルメ誌に連載中。日本の食文化に精通し、農林水産省 食料・農業・農村政策審議会委員に任命される。

レストランは、1度ではわからない事が多い。

言い換えたら、
2度以上でわかる事が多い。
1度だと「わかってない事もわかってない」、そんな気がする。

今回2度目の フロリレージュ (3月に移転OPEN)
前回の記事はコチラ → 記事 ランチ@フロリレージュ

初回はランチで2人。OPENしてすぐ行きカウンター席で頂いた。
2回目はディナーを(半)個室で6人で頂く。
前回のランチとは状況が違いすぎ、これを2度目と呼んでいいものか?とも思いつつ・・


半個室の席から見た店内。

個室は厨房の横、カウンター席からは真逆の目線になる
逆から見るので、厨房の独特の臨場感がある
(奥の方はやや全景が見づらいが)




例えば。ランチもディナーも行ったフレンチでは、

カンテサンスはディナーをおすすめしたい、
ロブションはランチからおすすめしたい

レフェルヴェソンスやナリサワはどちらもおすすめ

お店によって何となくある。
フロリレージュはまだ模索中~
「ランチもディナーもどちらもいい」
「人数多くなっても、カウンターかな。うーん」 という辺りでまだウロウロ。



ディナーは13品。
カードにはテーマと食材のみが明記されています。



皆から人気高かったのだけご紹介しようと思ったけど、
後から皆で話したら、全員が全員、印象的なメニューが違って面白かった。

(ウンチク述べるわけではなく、あれがおいしかった、これが良かったとワイワイ言うだけ。誤解無きように)


①投影 ヤングコーン (女性ライターさんに好印象)

 
焼きたてをすくって食べる
コーンパンケーキを食べてるかのよう
 ほこほこ食感はまさに女性好み

②連鎖  キャビア (パティシエE氏が好印象)
山羊ミルクチーズにキャビア、上からロゼワインベースのソース
酸味の扱いがとても上手、まったりした後にスッと抜ける感じ
「ここに和のエッセンス、みょうがを添えるセンスがすごい!(E氏)」

③戸惑い 烏賊 (味では1番人気)


なんなんだ?
と、食べ手が戸惑う見た目。

(シェフの意図は別の観点ですが)

わしゃっ。
イカスミの衣を割ると とろ~ん


サクッ(衣)、とろ~ん(中)、むちっ(添えた麦)、パリッ(揚バジル)

食感の戸惑いも絶妙。とにかくおいしい。


④風車 帆立

半生の火入れがおいしい

あれれ、何で風車?
確認ミスね、次回への宿題だわ。

⑤はしり 鮎

味では、これも人気

旬のはしり、鮎
今年の初鮎を頂けて感謝

 肝とおだし香る泡ソース、
鮎を一度ほぐして固めたような食感、緑が薫る味、おいしい

⑥分かち合う 塊肉
ホロホロ鶏を全員で頂く

女性2人は丁度良いと言い、
男性2名には「もう少しパンチがほしい」とのこと。

⑦本質 海老

ちょうどコースの真ん中。
私がパンチ受けて印象に残ったのはこのメニューだった。

まず、キンキンに冷やされたスプーンが出された。
次に、海老がポンッと登場。




「??」




サービスの人が真っ白のシャーベット状のものを
シャクシャクかき混ぜながら側に立つ。


「上からかけますね。ガスパチョです。
まわりから海老を冷やす感じです。
一緒に召し上がってください。
中の海老の甘みを探りながら感じてほしいです」


ガツンッと、衝撃だった。



海老が妙に甘い。




廻りがキンキンに冷え 舌が少しちりちりしている。
そのせいか、海老のとろみも濃厚に感じた。

海老に「何か(熱や味)を加え甘みを引き出す」のではない。
廻りからの感覚で、海老の本質を感じとる。

そんな料理ってあまり知らないかも。

スペイン El Bulli で、
お豆腐と氷の料理を食べた、あの感覚?

味はあるか無いかくらい繊細だ。
軽い酸味を感じる。


酸味? 
あ、そっか。さっき「ガスパチョ」って言ってたっけ。

え?ガスパチョ?何で白いの?


トマトの上澄みだけの「トマトウォーター」とか、
あんな感じ?



おいしさとクエスチョンマークでいっぱいのワクワク感。


これがあるからディナーは面白い。

だって、流れとしては、ここでは例えば「グラニテ」とか、中休みでもいいタイミング。
この後まだ魚も肉もあるし、デザート入れて6品続くわけだし。


でも、あえて「本質」で「海老」。
しかもこんなスゴイ食べさせ方が出て来た。
シェフの想いの深さがじんわり伝わってくる。



川手シェフの想いを全て食べようと、意欲がわく。


「任せて!まだまだ食べるわよー。これだからディナーは面白い。」
なんて食べ手として張り切っちゃいそう。


そう。単に品数が多いだけじゃない。
こんなストーリーが感じられるからディナーは面白いんだ。

フレンチって、夜は重いかなーと思いがちだけど、
絶対1回はディナーも食べるべきだと思う。


そして、あと6品続きます。




⑧出逢い 鰹
Kシェフが印象的だった料理。
鰹をメインで堂々と扱う(前菜で多い)センスがすごい、とのこと。
⑨原点 鳩
鳩に見立てて身体のところはスライスした蕪。

⑩薫り 花 チーズ

温かいチーズでワインに合う

⑪予感 マンゴー
パッションフルーツとの一体感がいい

⑫再生 ミルク

ランチでも頂き、また食べたかったデセール
皆からの印象も良かった

熱い銅板ケースに胡麻

とろ~りミルク
胡麻油をちょんちょん

廻りの熱で微妙なゆる加減。胡麻のいい薫り
スペシャリテの1つだと思う


⑬不朽  卵・米

メニューカードを見て
「最後は卵かけご飯?」とYさんの冗談も楽しく
カスタードです


フロリレージュ
13品、川手シェフの想い
単に品数が多いだけじゃない、ストーリーがある。

ランチではわからない。
やっぱりディナーも来て良かった。


そして次は、もう一度「ランチでカウンター」の予約。
すでにワクワク楽しみ!