『うさぎドロップ』松山ケンイチ＆芦田愛菜 インタビュー
子供と女性が苦手な独身サラリーマンが、とつじょ6歳の少女と生活を始めるドタバタ＆ハートフルな本作で、イクメン青年を演じる松山ケンイチと、天才子役としてブレイク中の芦田愛菜が撮影秘話を語った。
「楽しい日々の思い出が詰まった作品」SABU監督ワールド健在！
―― 完成した映画をご覧になった感想を教えてください。
松山ケンイチ（以下、松山）：撮影では、愛菜ちゃんが発する言葉にリアクションをとることを意識しながら演じたので、完成した作品を観たときは、楽しい日々の思い出が詰まった、「思い出のアルバム」を見ているような気持ちになりました。なので、まだ一つの作品として客観的にとらえられないところがあるのですが、愛情たっぷりの映画ということはわかります（笑）。
―― SABU監督はこれまでもユニークな作品をたくさん撮っていますが、初めて一緒にお仕事されていかがでしたか。
松山：SABU監督のこれまでの作品を観て、男がちゃんとかっこよく描かれているなと思いました。もちろんダメなところも含めて、地に足がついたカッコよさがあるような気がします。それで興味があったのですが、今回のダイキチというキャラクターも男らしいところがすごくカッコいいし、好きです。走るシーンもたくさんあって、SABUワールドは健在だなと思いました。
アドリブも入ったお気に入りシーン
―― 楽しい撮影だったようですが、お気に入りのシーンはどこでしょうか？
松山：お気に入りのシーンは、愛菜ちゃん演じるりんが、おねしょのくだりから（松山演じる）ダイキチも死ぬのかという話に変わっていくところです。
芦田愛菜（以下、芦田）：あれは、おねしょじゃなくて汗ですよ！
松山：そうそう、そういうふうにりんが言うくだりがあって、あのシーンが大好きです。愛菜ちゃんのアドリブもちょっと入っているし、新しいものが生まれた瞬間でした。
芦田：わたしが好きなシーンは、お遊戯会のシーンです。みんなで練習したのも楽しかったですし、お衣装もかわいかったです。キラキラって踊るダンスが楽しかったです。
松山：お遊戯会は最後の方のシーンですが、暮らし始めたころのりんは笑顔を見せなかったけど、一緒に支え合って生活してきて、お互いに成長して......。踊っているりんは本当に幸せそうな満面の笑顔で、周りには友達がいて、観ていると心が温かくなる本当にいいシーンでした。
―― 逆に、演じるのが難しかったシーンはありましたか？
芦田：お墓で泣くシーンです。
松山：あのシーンも、いいシーンだったね。大人たちも感動してもらい泣きしている人もいましたから。そうだ、おじいちゃんを僕がやっているってわかってた？
芦田：わかっていました！
松山：えー本当？ 「おじいちゃんだよ、よろしくね」って言ったら、「？」って顔して見ていたでしょ。
芦田：顔が松山さんに似過ぎていて、不思議だったけど、あいさつしたときの声でちょっとわかっちゃった！
愛菜ちゃんに叱られた（？）松山ケンイチ
―― 松山さんに質問です。芦田さんと共演をして、驚かされたこと、気付かされたことを教えてください。
松山：愛菜ちゃんは、1か月に本を60冊くらい読むらしいんです。大人が読むような難しい本も読むと聞いて、「すごい小学生だな！」と思いました。あとは、音だけを録るシーンで、愛菜ちゃんに話し掛けたら、終わったときに「松山さん、知っていますか。録音しているときはしゃべっちゃいけないんですよ」って言われたんです（笑）。
芦田：そんなこと言いましたっけ？
松山：言った、言った。ごはん食べているシーンで怒られたんだよ。
芦田：ええ～、もう忘れちゃいました。
松山：「確かにな」って反省しました。愛菜ちゃんの言っていることは正しいです（笑）。
―― 芦田さんは松山さんと共演して、どんな印象を持ちましたか？
芦田：優しくて休み時間も遊んでくれました。ずっと「いえーい、やっほー」って感じで、毎日とっても楽しかったです。
松山：（コウキ役の）瑠生亮くんは最初、目も合わせなかったんだよ。でも僕と愛菜ちゃんが遊んでいたら入ってきて、それで仲良くなったんだよね。
共同生活の大変さ、楽しさがわかった撮影
―― 劇中、2人のやりとりがとても自然でしたが、どんな方法で撮影したのですか。
芦田：台本はなくて、セリフだけ覚えました。最初に、このシーンはどんなシーンなのかっていうことを教えてもらって、りんちゃんは何を思って、どう動くのかっていうことを監督さんと一緒に考えながら練習しました。
―― 松山さんにとっては子育てをする"イクメン"役は初めてですよね。
松山：子育てという感覚はあまりなかったですね。愛菜ちゃんとは、年齢がだいぶ離れていますけど、人との共同生活の大変さもわかったし、一人でいるのとは違って、時間の使い方が変わっていくところも面白かったです。撮影中は毎日が楽しかったです。
―― 最後に、これから映画をご覧になる方に、メッセージをお願いします。
松山：今回は愛菜ちゃんが台本を読んでいないということもあって、リアルな感情が表現されていて、そこが観る人を感動させると思います。全体のテーマが「愛情」ということもあり、ダイキチがりんにかける愛情、りんがダイキチに持っている愛情以外にも、たくさんの愛情が描かれています。いろんな人とつながっていることも認識させてくれる、とてもポジティブな映画です。それに、愛菜ちゃんが本当にかわいいので、癒やされると思います。
芦田：夏のとっても暑い中、みんな頑張って撮影しました。ぜひ観てくださいね。
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