思いがけないトラブルっていうのはあるもので。
朝、ダイニングの天井灯がつかなくなった。いったん消したあとにもう一度スイッチを押したら、オレンジ色の電灯しかつかなかったのだ。
やれやれ、このタイミングで切れるのかよ、とがっくり。確かにね、前回交換したときに、ひよって蛍光灯を使ってしまいましたよ。LEDに交換しようかなと思わなくもなかったんだけど、ちょっと値が張るしなあと思ったのを覚えている。
で、案の定切れてしまい、交換せざるを得なくなったわけだ。
2027年度から蛍光灯の製造が止まる(禁止だっけ?)ということは知っている。いつかLEDに移行しなくてはいけないこともわかっていた。それがこのタイミングなのか。
とはいえ、ここが暗いといろいろ困るので、仕方なく交換することにしたのだった。
ところが、近くの家電量販店で相談していたらなんと、店内のシステムがダウンしたというではないか。在庫の確認もできないようだった。ふうむ。なんというか、便利になるっていうのは別の不便を抱えることでもあるんだなあ、なんてことを思いながら、仕方なく別の店へ出向いた。
その店ではシステムはお元気だったようで、さっくりと一体型のライトを購入することができた。
実は数年前にこのタイプに変えようかと思っていた時期がある。値段も手ごろだし、なにより取り換え作業がとても簡単そうなのである。器具ごと交換するタイプで、しかも取り付けは2段階でオーケーと書いてある。アダプタをつけてそこに取り付ければOKだというのだ。
でもなんかそのときは怖気づいてしまって、まだ販売されていた蛍光灯でお茶を濁してしまったのだった。
しかし2027年を来年に控えた今、もはや躊躇している余地はないのだ。
事前に撮影しておいた家の照明具の写真を店員さんに見せて作業工程を確認し、ドキドキしながら家に帰った。
カバーはすでに取り外してあったので、さっそく天井に張り付いた照明具を外す作業に取り掛かる。店員さんは写真の中の緑のボタンを指さして、「これを二つ同時に押せば器具は外れるはずです」と言っていた。それを思い出して緑のボタンを押してみると、カチッと音がして簡単に器具が外れてきた。え、こんなに簡単に外れるの? あまりのあっけなさに意表を突かれてしまった。アダプタを取り換えて、シーリングライトを装着する。試運転。スーッと白い光が広がる。
えーっと。これで作業終了です。ですか?ってなるくらいあっけなかった。
別の部屋の天井灯を交換するときは業者に頼んだ。作業工程に自信がなかったからだ。でもその人も「こんな簡単な作業を依頼して大丈夫か?」むしろ心配してくれた。今回自分でやってみて、その人の気持ちがわかった気がする。確かにあまりにも簡単な作業で、工賃を払うのがもったいないくらいなのだ。
まあでも、「電気のこと」っていうだけで漠然とした不安が付きまとうっていうこともあるからね。一度は専門の人に頼みたいじゃないの。
しかし今回は、時間の余裕がなかった。担当の住宅会社はお休みで、関係業者を手配してもらうにも時間がかかる。切れたのが朝だったからまだよかったけど、夜までにはなんとかしたい。
そうなったらもう、自分でやるしかないのである。自助努力。
そうしてやってみたら、思いのほか簡単な作業だった。なあんだ。私にもできたんだ。
こうやって自信ってものが積み重なっていくのだね。
たかだか電灯の交換に、ずいぶんな手間と思考を重ねたという、「なんて日だ」の顛末。
もう一つ「なんて日だ」案件があって。
軽自動車税の支払いに、ふと気まぐれを起こして郵便局の窓口を利用した。いつもはコンビニでさくっと支払っているのだが、お金をおろすついでに支払いをしようと思ったのだ。
窓口で申し込み(申請用紙?)を書いて待っていると、ほかの局員(女性)がいそいそと近づいてきた。たまたま局内にはほかに客がおらず、まあ狙い撃ちである。
その人は、郵便局で取り扱っている食品の取り寄せチラシを持ってきた。ウナギのチラシだった。大変おいしそうなウナギをお得に取り寄せられるということで、とても熱心に勧誘してきた。うな玉で食べるとおいしいですよ、などと言ってそれはそれは熱心だった。
まあでもお高いわけですよ。私はそういうお高い食べ物をお取り寄せするという発想も習慣もないので、はあ、はあ、と気のない返事を繰り返していた。もしかしたらその場で申し込みをさせたかったのかもしれない。そんな空気もちらりと感じたのだが、あえてそこは空気を読まず、「とってもいいですねえ。検討してみます」という雰囲気で対抗した。
らちが明かないと見たのか、その人は別のチラシを見せた。今度は涼し気なみかんゼリーのチラシだった。私は柑橘類が苦手なので、ウナギよりもっと興味がなかったのだが、その人は全然めげずに説明を続ける。ちょっと凍らせておくとお客様が来た時にさっと出せてしかもおしゃれですよ、とか、お友達にちょっとプレゼントしたりするのにも重宝しますよ、などという。
どちらも私の生活にはまず訪れないような場面の話ばかりで、でもそういうことが日常茶飯事な人もいるんだなあという、ある種の感慨にふけりつつ話を聞いていた。
かなり脈なしの雰囲気は出していたと思うのだが、まあノルマでもあるのかな、その人はさらにもう一枚のチラシを出して説明を始めようとした。「しらすはお好きですか」
ほんというと、しらすは大好きである。でも好きだっていうとまた説明が長くなるかなと思って「それほど好きではないです」と答えてみた。それであきらめてくれるかと思ったのだが甘かった。そうですか~と受け流してそのまま説明が続いたのだった。なんだ結局全部説明するのね。
どう考えてももう支払いの手続きは終わってるはずだった。けっこうな時間が経っていたのだから。でも窓口の人もたぶんその勧誘が終わるのを待っていたのだろう。小さい局で、ほかに利用者もいない空白の時間帯。ここで一つでも売り上げがでればラッキーという局面だったのだろう。最後の最後に、領収書とともに、その食品の申し込み用紙も手渡された。
私がこういうものを利用するタイプの人間だったらよかったのになあ。残念ながらそうではなかったので、にっこり笑って受け取ったチラシと申し込み用紙はそのまま処分してしまった。
それでも、あんなにウナギの話をされたもんだから、気持ちが、舌がウナギになってしまったんだろう。お昼ごはんに、スーパーの安いウナギ弁当を買ってしまったのだった。
うなぎ、大好きなんだけど、昨今は食べるにしてもいろいろ複雑な心境になるのよね。自分なりの妥協策として、安い(たぶん中国産とかの)パックのうな重とかに手を出してしまう。忸怩たる思いである。
今日はさくっと簡単に用事を済ませる予定だった。時間の余裕はあるはずだった。
まったく、なんて日だ。気持ちがばたついて困ってしまう。