白菊と薔薇 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

語感としては「薔薇と白菊」の方がいいんだけど(笑)

 

一人芝居「白菊の花束」は当然のことながら「白菊の花束」が重要なアイテムになる。

たまたまスーパーで売っていたので買ってみたんだが、菊って1本の茎からかなり枝分かれするんだね。1本の茎から花が6個くらい出てる。このくらい花があれば1本でも十分見栄えがいいんだが、しかし「花束」というからには複数必要になるのでは。そしたら花の数もかなり増えるなあ。

セリフを言いながら花を花瓶に活けることになってるので、あまり本数が多いのは困る。あとの段取りもあるし。とはいえ、「花屋さんで白菊の花束をくださいといって買ってきた」という設定に沿った本数でないとおかしいことになるし。このあたりの兼ね合いが難しいところだな。

薔薇はついで。セリフの中に「薔薇の花なら一輪でも喜んだだろうに」というのがあるので、どうなんだろうと思って買ってみた。どっちにしても私にはわからない心情ではある。

私が演じるこの役の人(名前がないので勝手にともみさんと呼んでいる)は、どういう性格なんだろうとセリフを諳んじながら考えている。

ものすごく肝っ玉母さんみたいな世話焼きの人だったのか。ちょっと反応がずれる天然の人なのか。とはいえ、まっとうに焼き餅焼いてたりもするし、菊より薔薇を喜ぶ感性の持ち主だったりする。一つだけ確かなのは、心底夫に惚れていたってことだけ。今のご時世ならSNSでフルボッコにされてもおかしくないような男なんだけど、ともみさんは好きだったんだろうなあ。

私もそういう人を思い浮かべて芝居をしている。ずっとセリフを口ずさんでいたら、どんどんエピソードがくっきりしてきて、まるで本当にあったことのように思えてくる。もしかしたら私は別の世界線でそういう人生を送っていたんじゃなかろうかとすら思う。不思議な感覚だ。

 

白菊の花言葉は「慕う」「誠実な心」

ともみさんの夫はどういうつもりでこの花を贈ってたんだろうなあ。