演劇と評価 | 10月の蝉

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本題の前に、今日のアクセス数おかしくないか? 何があったんだ(笑)

 

さて。本題。

演劇における評価には、「観劇後の感想」と「チケット代」の2種類がある。他にもあるけどとりあえずこの二つについて考えてみる。

なぜこれを考えようと思ったかというに、今私のTwitterのタイムラインで、「観劇後に酷評をSNSにあげたらしく、ちょっと荒れている」という話題と、チケット代についての話題がたくさん流れてくるからである。どっちも非常に複雑で難しい問題なんだけど、がんばって考えてみよう。

 

演劇をプロとアマチュアにわけるのは実はとても難しい。

何をもってプロと認定するのかが決まっていないからだ。まあおおむね、それを職業としている人はプロなのだと認定してもいいと思うんだが、それだって「日本では演劇で飯を食うことは困難である」という認識が定着しているため、ほんとにそうなのかと考え始めるとわからなくなる。

ましてや精神論で分けようとすると泥沼にはまるため、ここでは、「主に」演劇に関わることで生活している人と、他に職業を持っていて、仕事以外の時間を演劇に当てている人という基準で考えてみる。

テレビで活躍している人とか、舞台が話題になり高額のチケットが即座に売りきれるような人はたぶんプロだ思う。

プロの場合は批評の専門家がいて、それなりに評価がくだる。良い作品であるとかそうでもないとか。賞を獲ったりすると「良い作品である」ということになるのだろう。

一方で、観客からは忌憚のない感想が寄せられることもある。まあプロなんだからいい評価も悪い評価も甘んじて受け止めるべきだと思われている。

では、アマチュアの場合はどうか。

アマチュアにもいろいろあって、限りなくプロに近い劇団もあれば、社会人劇団と呼ばれる存在もあり、さらには趣味としての演劇を楽しむ集団もあり、はたまた学生演劇というジャンルもある。高校演劇もここに入る。

この場合の評価は難しい。観客は身内や知り合いが多く、「厳しい評価」が求められているかどうかすら不明である。どうしたって「またどこかで会うかもしれない人」が出ている芝居を酷評するにはそれなりの覚悟がいる。

思うことは自由だ。その舞台を観た後で「いまいちだったなあ」と思うことだってあるだろう。問題はそれをSNSなどの不特定多数の人が見るであろう場で公表してしまうことだと私は思っている。

昨今はなんでもSNSにあげてしまうけれども、それが果たしていいことなのだろうかと思うのだ。腹をくくって、つまり批評したあとにその芝居に関わって質の向上に関わるくらいのつもりがあって言うならまだいい。でも単なる自分の感想、面白くなかったつまらなかった、ここが悪いあそこが悪いと言い放つだけのことを、なぜSNSで言わなくちゃいけないんだろうか。

「SNSで褒め合ってるのは気持ち悪い」と言う人もいるけど、こきおろしていたり悪口めいた言い方を見かけるほうがよっぽど気持ち悪い。相手のことを思っているというなら、直接言えばいいのだ。

アンケート用紙に書くとか、役者や演出家に直接言うとか、改善(と自分が思うこと)のためならそれくらいの覚悟を持って言うべきだと思っている。

 

これがチケット代の問題ともからんでくる。

正直言ってクオリティーが低いなあと思う(アマチュアの)芝居を、半分義理で観たりすることもあるんだが、これでこの金額取るんだねー、と思う時がある。

チケット代ってどうやって決定しているのか私はよくわかっていないのだが、アマチュア(社会人)劇団の場合、参加費や団費を集めてそれで運営していることが多いと思う。少なくとも私の周辺ではそういうやり方が多い。そこからもろもろの経費を考えてチケット代を決定しているんだろうが、たまに「さすがに高くないか?」と思う公演もあったりするのだ。

 

チケット代が高くて、でも内容はそれほどでもない公演を観てしまった時は気持ちの持ちように困る。払ったチケット代が役者のギャラになるわけでもないので、もうこれは応援費だなと思うようにしている。

あー、これ、自分が関わってきた環境がそういうものだったというだけのことなのかな。

少なくとも私は芝居に出てギャラをもらったことは数えるほどしかない。というか、まあ実質ほぼない。そういうもんだと思ってやってきた。道楽なのだから、と。

だから、Twitterで流れてくる(おそらく)演劇界の話を読んでもピンと来ないことが多いのだろう。

昔、市民ミュージカルに参加したとき、安くない参加費を払った。そのうえで「お客さんからお金をいただくのだから、アマチュアだという甘えは持ってはいけない」と言われた。

いや、言いたいことはわかるよ。アマチュアだから下手でも許してねというのは、有料公演では言ってはいけないことだ。でも、なーんとなく釈然としない思いは残ったよね。たぶん心構えの問題なのだとは思うんだけども。

 

最近は、あんまり得意じゃないな、好みじゃないなとわかった所の芝居は観に行かないようになった。でもそれは、単に私の好みじゃないというだけのこと。好きで観ている人もたくさんいるのだ。だからこそ、私が好きで観ているものを、公の場でこき下ろす人がいるのはいやだなあと思う。そういうのはさ、自分一人でやってくれよと思う。日記に書くとか、クローズドな場でしゃべるとか。

 

まあ、難しいやね。

次回の改善につながるような的確な批判ならありがたく受け取りたいと思う。

そうじゃないなら、良かった探しをしてもらいたいし、自分もそうしたいなと思う。