待機のとき | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

としいたけさんが言ってる。今週は「待ちの姿勢」でいることが多いんだそうだ。

まあ、当たってるよなあ。今週はとにかく「待ち」の時期。

 

4月から始まる台本の到着を待ってる。今月末までには!と言ってたけどどうなるのかな。

6月の公演で使う小道具製作。自分のスケジュールとかもろもろ含めて問い合わせ中で返答を待ってる。

4月から始まる新学期にむけて、おはなし会の出番を待ってる。

いろいろ待ってるなあ。

よくしいたけ占いで「蟹座は短気」って書かれるんだけど、確かに短気なところはある。

即決したいんだよね。それはつまり、保留が苦手ということでもある。

じっくり自分の中で熟成したり、考慮し続けることがしんどいのだ。下手したら考えてる間に飽きちゃったりする。

保持が苦手だから、ラインやメールも即レスしてしまう。目に付いた途端に処理しないと、どんどん後回しになったり、忘れちゃったり、嫌気が差したりしてしまう。その瞬間の気持ちで決めてしまうほうが楽なのだ。

 

たまにそれで失敗したりもするので、最近は多少考えるようにはなってきたし、だめだとわかったときに潔く謝って辞退させてもらえるようになってきた。

前は、いったん引き受けたことは自分を犠牲にしてでも、なんとしてもやり遂げなくてはいけないと強く思っていた。時間がないなら無理矢理ひねり出す、とかそういう感じ。なおかつ、それで余裕がなくなって人に当たり散らすのはよくないと思っていたから、なんとか取り繕って笑顔を見せ続けるようなやり方をしてきた。

そこには、一種「見捨てられ不安」のような気持ちもあったと思う。

断ったら、NOと言ったら、できないと言ったら、そこで見切りをつけられてしまう。見捨てられてしまう。そう思ってた。だから、たいていのことは、笑顔で「ああ、いいですよ、なんとかしますよ」と言ってきた。

 

でもなー。やっぱりできないことはできないんだよ、ということを思い知った。

去年の今頃に。体調がおかしくなるくらい鬱々としてしまうことがあって、ものすごく心苦しかったんだけど「できないです」と言って手放した。

やってみたら案外簡単なことだった。それで縁が切れる人たちとは結局それまでだったのだということもわかったし、そうじゃない人とはちゃんとつながっていられることもわかった。

なんというか、自分が腹をくくって覚悟すればどうってことはなかったのだ。

 

それでも、途中でやめることには抵抗があるので、それなら最初からちゃんと線引きすればいいのだということもわかってきた。できないとわかったら早めに対処する。

 

 

3月が終わるまでに今日を入れてあと3日ある。この3日間はエアポケットに落ちたようにぽっかりと空白である。何の予定もない。この「何もなさ」にちょっと動揺する部分もあるんだけど、いやいや貴重な充電時間だし、ゆっくり物事を考えたり、次のことを準備するために必要な時間だと思うようにしてる。

 

積ん読していた本が順調に消化できて、ようやくあと1冊になった。

そうそう、一つショックなことがあった。

桂望実さんの新しい文庫が出たので(「じゃないほうの渡辺」)いそいそと購入して読み始めたのだが、奥付を見たときにものすごいショックを受けた。この文庫は、「オーディションが終わらない」というタイトルで出版された単行本の文庫化だというのだ。

何がショックだったかって、読み終わるまでまったく気づかなかったことがショックだった。だって単行本読んでるんだよ。買って読んでるのだ。なのに、最初から最後まで一度も「あれ?これ読んだことがあるぞ」と思わなかった自分に衝撃を受けた。なんでだ。そんなことあるのか。

たいていは数ページ読んで「あれ?」と気づくのだが、今回は奥付を見るまで一切そういうことは思わなかった。それがショックだった。だぶって買ったこともショックだけどさ。気づかないなんて。記憶力の減退を思い知らされた気がする。

言い訳するとしたら、単行本の方は初読したあと一度も再読してないのだ。だから覚えてなかったのだ……というのも苦しい言い訳だな。覚えてるやつは1回しか読んでなくても覚えてるからな。やれやれだ。

文庫化するときにタイトルが変更されることはよくあるんだけど、どっかに記しておいてほしいよなあと思う。加筆訂正があるならそのことも書いててほしい。ダブるのはけっこうつらいのよ。