バレエはすべてが美しい | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

キエフ・クラシック・バレエを観てきました。

チャイコフスキーの夢の3大バレエという公演で、この夏、日本中を公演しまくるらしい。すげえ。

ちなみに明日は練馬だそうです。

演目は「くるみ割り人形 第2幕より」、「白鳥の湖 第1幕第2場より」、「眠れる森の美女 ハイライト」の3つ。

本物のバレエを観たのは初めてだったので、大変感動いたしました。

観ながらふと思い出したのが「コーラスライン」のワンシーン。不遇な少女時代に出会ったバレエに対する夢と憧れを切々と歌いあげるシーンです。ここ、なんか泣けちゃうんですよね。

ほんとに、舞台を観ている間だけは現実を忘れていられます。

 

今回は、公演直前の稽古を見学させてもらえるというオプションがついてまして、それも拝見いたしました。

ステージ上にバーを設置して、ウォーミングアップのバーレッスンとセンターレッスンを見学。

これ見てて恐ろしいことに気が付きました。

いつも教室でやってる足の動きがあちこちで出てくるんです。

あー、先生がイメージしているのはこの形か、と初めて納得がいったんですが、同時に恐ろしさもこみ上げてきました。いやいやいやいや、大人の初心者ができることじゃないですよ。それなのにできないと「なぜできないのだ」と怒られる。改めてその理不尽さを実感し、思わず隣にいた同じ教室に通う人に愚痴ってしまいました(笑)。

何年にもわたって鍛錬を続けているバレエダンサーの人たちは、まるで足(脚)が別の生き物のように動きます。つま先までピンと伸びたきれいな足の甲の形、自由自在に形が決まる足。棒を突き刺したように安定する足。もう足にしか目がいきませんでしたよ。美しい。実に美しかったです。

 

そしていよいよ本番が始まります。

抜粋のステージなので、セットは背景の書き割りだけ。若干チープな感じがしましたが、まあそれは仕方ないことで。

衣装は息をのむほどきれいでしたよ。やっぱりあのチュチュってやつは特別ですね。

発表会でチュチュが着られなかったから教室をやめた子どもがいる、という話もむべなるかな。

ライトを浴びて、金糸銀糸がキラキラ光り、ふわっと広がったスカートがゆらゆら揺れるのを観ているだけでも楽しかったです。

もちろん、踊りも素敵でしたよ。

特に「白鳥の湖」のオデットの腕のしなやかな動きは、ほんとうに優雅に羽ばたく白鳥の羽根のようでした。コールドもよかったなあ。一糸乱れず、ピタッと動きを止めている姿は非常に美しかったです。

 

会場には、バレエをやっているらしき女の子たちがたくさんいました。あちこちのバレエ教室の生徒さんがきていたようです。きっとみんな、憧れをいっそうかきたてられたんじゃないでしょうかね。

将来のある人たちにとっては意義のある2時間だったと思います。

 

私もねえ。改めてやっぱりバレエはいいなあと思いました。思いましたが同時に、私がやっていいことじゃないなあとも思いました。人には向き不向きってもんがあるんですよ。少なくとも「本格的なバレエ」は私には無理だということが(いろんな意味で)よおくわかりました。

もうちょっとゆるく、お楽しみ的な感じでバレエと触れ合っていく方が、もろもろよろしいのではないか、としみじみ思った次第であります。

 

それにしても。

ただ座って観てただけなのに、なんでこんなに疲れるのか。たぶん脳内であの動きを追っかけてたからでしょうね。現実の肉体では再現不可能ですけど、脳内イメージだけならなんでもできちゃいますからね。

 

バレエはすべてが美しい。まさにそのとおりでした。