映画の日 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

今テレビでは「オブリビオン」が放映されていますが、それを横目でちらちら見ながら書いております。

今日は映画三昧の一日となりました。

 

まず午前中は、先日購入した「ピンクとグレー」のDVDを見ました。

劇場で見たときは必死で抑えていたのですが、家で一人で見たので思うさま涙を流して見ておりました。

あれは、前半のりばちゃんが泣ける。とにかく泣ける。あの駄目さ加減とか、いじましい嫉妬や、小さなプライドや、でもそれを振り捨ててごっちのところへ走っていく切なさとか。

演じている菅田将暉くんの演技力で完全にもっていかれました。

ちょっとした表情や、体の動きで、「りばちゃん」の気持ちがものすごく伝わってくるんですよね。

そして衝撃の後半は、これまた菅田将暉くんの演技にもっていかれました。ああ、なんてげすいんだ、なんて「芸能界」にまみれているんだ、あのふてぶてしさ、乗り切り方、すべてがすばらしい。

主演の中島裕翔くんもよかったですけどね。

 

ちょっと奮発してメイキングがついているものを買ったので、そのままメイキングも見ました。

私はメイキングを見るのが大好きです。映画をどうやって作っているのか、役者はどうやって演じているのか、撮影の合間はどうやって過ごしているのか、などが垣間見られるからです。

行定監督は、一つ一つの場面で丁寧に役者さんたちにセリフの背後などを説明していて、ああ、こんなふうに演技をつけてもらえたらどんなにいいだろうと思いながら見ていました。

 

娘も「ピンクとグレー」を見ているのですが、私が感じたような切なさは感じなかったようです。このあたりはたぶん、年齢の差だと思いますね。

「赤の他人の子どもでも、幼稚園や小学校などの運動会でがんばっている姿を見ると涙ぐんでしまう」というのは、年を取るにつれて頻出してくる現象であります。

過ぎ去ったきらめきが、どうにもこうにも胸に迫ってきて、ついつい涙ぐんでしまうのです。

一人で見たので思う存分その思いにひたれて、心が大きく動かされました。

 

夕方からは、今日公開の「君の名は」を息子と一緒に観てきました。

いやあ、これはほんとに美しい映画でしたよ。たっぷり1時間47分、物語の世界で生きることができました。楽しかったし、面白かったし、美しかったし、切なかった。

絵の美しさといったらないですね。息を飲むような美しさでした。

神木くんの声優ぶりもまたすばらしかったです。ちゃんと女の子の口調になるんだなあと。

確かにアニメーションなんですけど、途中それを忘れてしまうくらいリアルで、でもアニメーションならではの画面でもあって、実に豊かな映画でした。

 

「自分ってなんだ」「本当の自分なんてものがあるのか」というようなことを、二つの作品を見て思いました。

今稽古している芝居でも、「別の人間を演じる」とか「本当の自分を隠す」というモチーフが出てくるので、いろいろ参考になるところがありました。

 

先日、本を読んだ時にも思ったのですが、そのとき自分に必要なものには出会えるようになってるんですね。今日、この2本の映画を見て本当によかったと思います。