恋に落ちるとき | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

もうずいぶん長いこと、恋をしてないので、「恋に落ちるとき」ってどんなふうなのか忘れてしまってる。

さて、恋って、いつ、どんなときに落ちるものなんだろうね。

いわゆる「イケメン」、つまり誰が見ても、かっこいいなあとか美しい顔だなあと思うような人がいても、それが自分の好みでなかったら、たぶん恋には落ちない。

問題はその「自分の好み」なんだよなあ。

とっかかりは、どうしたって外見なんじゃなかろうか。
その人の顔だち、たたずまい、物の言い方、笑い方、そういった、表面に出ていることがとっかかりになる。

「ん?」と思う。それがとっかかり。

間違えちゃいけないのは、その基準が「世間の評価」じゃないということ。

面食いって、あまりいい意味では使われないんだけれど、行きつくところは「自分の好み」なんじゃないかと思うのだ。
自分がいいなあと思うもの、素敵だなと思うこと、美しいなと思う部分、そういうものを相手の中に見つけたときに、心が動く。

そこから相手の存在に食い込んでいくのだ。


今取り組んでいる役も、いわゆる「一目ぼれ」という状態で恋に落ちる。
こうやって言葉で説明するのは簡単なんだけど、それを舞台の上で表現することの難しさに頭を抱えている。

私が恋に落ちるときって、どんなふうだったかなあ。
それをそのまま使うわけではないんだけど、でもいちばん身近なサンプルだから。

台本を読みこんで、いっぱい想像して、必死で思い出して。

そうやって、なんとか本番のときに、お客さんに「ああ、今恋に落ちたんだね」と思ってもらえたらいいなと思う。

がんばんべえ。