さて。昨日の続きです。
鳥居をくぐって、800年余という長い時間の積み重なりを静かに表している杉並木を歩いて行くと、まず小さな祠が真ん中に祭ってあるのに出会います。
パンフレットによると、これは「波多志神社」といい、この神社の創祀者である伴直真貞公の霊が祀られているのだそうです。
一礼して、脇を通りぬけ、さらに先へ進みます。
すると左手に手水舎が見えてきます。
この手水舎の龍がものすごくかっこよかったんですよ。
ヒゲの一本一本がとても鋭くて、姿も凛としていました。
息子は「神龍だ!」と喜んでましたが。
鉢もきれいに磨いてあって、お水の透明度が際立っていました。
手と口を清めたら、随神門をくぐります。両脇に、右大臣と左大臣が座っています。
白いお顔がちょっと不気味でしたね。夜見たらなんかにやっと笑いそうな感じで。
そして拝殿へと進みます。
拝殿の前には「ヒイラ石」というものがありました。
パンフによれば、「『三代実録』にいう浅間神社を始めて祀った古代祭祀の石閣」なんだそうです。石でできたお社みたいです。苔むして丸みを帯びた姿は時の流れを感じさせます。
拝殿から、奥の本殿が見えて、荘厳な気持ちになりましたね。
お参りを済ませて、境内を歩いてみました。
境内地にある七本杉は、天然記念物なんだそうです。そして樹齢なんと1200年。
そのあまりの時の長さに、頭がくらくらしました。
とてつもない大きさ太さの杉が七本、立ち並んでいるのです。
木というのは、そこにいるだけで何かしら感じるものがありますね。
私はあまりスピリチュアルなことは言いたくないのですが、それでも、境内地の中に流れている空気は明らかに他とは違う感じがしました。木が醸し出す雰囲気っていうんですかね。
七本の中で、これだけがペアになっているもの。
立て札には「父母」と銘がありました。縁結びのパワースポットになってるそうですよ。
いくつかの末社も祀られていて、荘厳な雰囲気でした。
神社に来ると、アニミズムということを強く感じます。
万物にたましいが宿る、という考え方に親近感を覚えるんですね。
私はお寺より神社の方が好きなんですが、それは、こういった神社の佇まいが好きなのかもしれません。人が作ったものを拝むというよりは、今ここにあるすべてに手を合わせる、という感覚。
この神社は非常に歴史のある神社なんですね。
今回の思いつき旅行の中で、もっとも意義のある探訪でした。
神社の周囲にもたくさんの大木があるんですが、そのうちの一本の根本がすごいことになっていました。
真ん中にある線の重なりは、おそらく隣り合っていた木の根元付近の年輪と思われます。
根っこ同士が絡まり合っていたのでしょうか。そして片方だけなくなってしまった。
入り込んでいた根元部分だけがこんなふうに残ったのでしょう。
なんとも不思議な光景です。
河口浅間神社は、湖の北、少し山に入ったところにあります。
周辺はとても静かな町並みでした。
なんだか、違うところへ来てしまったような、そんな非現実的な気持ちになりました。
神社を出た私たちは、今度は河口大橋を渡らずに、湖の東岸を走ることにしました。
その話は、次回に。