シュラバランバ | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

 娘が、彼氏の浮気に気付いて、シュラバを演じてきた、と。

そんなことを言ってました。

あの彼氏が浮気をねえ、とか、あの娘がシュラバをねえ、とかいろいろ笑いのツボはあったんですけども。

やはりいちばんひっかかったのは、娘が浮気に対してブチギレた、という点でした。

もっと言うなら、「ブチギレた」という点でしょうか。

嫉妬からなのか、所有権の侵害に対する怒りなのか知りませんが、それを相手にぶつける、というところに、私の心はひっかかったようです。

話を、「浮気」に限定して考えてみます。

よく、「オンナの勘はスルドイ」といいますが、私の勘はまったく鈍いです。いまだかつて、相手の浮気に気付いたことがない。ふつうに隠してやられたら、まず気付きません。されたことがないわけじゃありません。別れ話が出てから、「実はあの時に・・・」と聞かされたことが何度あったことか。

あからさまに二股かけられてたのに気付かなかったこともあります。さすがに相手も呆れてました。やや確信犯的に二股かけてたらしく、絶対私が気付いてると思って行動してたそうです。気づかなくて悪かったよー。

まあ、「オンナ」として欠陥品なのかもしれませんし、ややアスペルガーなとこがあるのやもしれません。空気読めないのよねえ。人の気持ちを読み取るのが下手です。

なので、伝説のようにいわれている「女の勘」てやつも、どうやら持ち合わせていないようです。とにかく、私は浮気に気付かない。ので、「なんで浮気すんのよ、きー!」という修羅場はやったことがありません。

嫉妬心がないわけじゃないです。心の中が地獄の業火で燃え盛ったことはあります。ウキームキー!と枕をかみしめたことだってあります。

ただそれが、相手に向かっていかない。

これは、私が長年にわたって抱えている、「きちんと怒りを表現できない」という問題のせいなんですけどね。

私が正直に怒りの感情をぶつけることができるのは、子供だけ。それもある程度大きくなったらだめです。怖い。

だから、彼氏に向かってブチギレたあげく、再びつきあいを続けていける娘に対して心から「すごいなあ」と思います。あたしだったら、その時点で終わってるもんな。

あと、嫉妬についても、やきもちやかないわけじゃないけど、実は滅多にやかない。記憶にあるだけでも、2人しかいないもんな。他の女の人としゃべってるだけで、胸がきりきりしたっていう人は。それ以外は、意外と冷静だった。ふうん、てなもんで。

なんでだろう。あんまり好きじゃなかったとか? いや、そんなことないと思うけど。仕方ないよなあ、とか思ってたような気がする。

逆の話で、やきもち焼かれるのがすごくキライ。キライっていうか、わかんないから。何怒ってんの?とか思う。

相手が急に不機嫌になったりして、理由を聞くとどうもやきもち焼いてるらしい、と。そういう時すごく困るなあ。好きだから怒るんだよ、と言われても、私には理解できないのさ。私の中では「怒る=嫌い」という公式が成り立っているらしい。

いろいろ訓練して、なんとかその公式を崩そうとして、まあ、一部崩れたりもしてるんですけど、やはり恋愛関係などでは無意識に出ますね。

そんなわけで、素直に怒りを表現できた娘に敬意を表したいと思います。

それにしても「わたしは怒っているのだー」と表現することがなんでこんなに怖いんだろう。解けない謎。