ドラマ「難尋」 第4集 | 江湖笑 II

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ドラマ「難尋」

 

第4集

 

 

 

 

 

 

 

<4>

 

 

 琴桑の報告によると、先日の死士と昨夜の男たちは同一の毒を飲んでいた。

「それから、朔雲世子が我々を探っております」

「勝手にさせておけ」

 琴桑が庭で報告していると、新しい衣服に着替えた鳳鳶が出てきた。

 琴桑は少夫人と声を掛けて挨拶する。違うと鳳鳶が言うと、にっこり笑って建物の中へ入って行った。

 鳳鳶は、石榴の木に水をやっている赫連曦に、世子府に戻りたい旨を話した。

「婚礼を挙げないとしても、昔旧に恩を返さねばならないわ」

 連理枝の捜索と霖川族への贖罪はそれからだと言う。

 

 

 鳳鳶の命が狙われているのは明白だ。赫連曦は彼女と一緒に世子府へ向かった。

 彼らが世子府に着いたのは、ちょうど阿笙が南枝苑の場所を昔旧に報告したところだった。

 昔旧や雲衛が警戒し、赫連曦を取り囲む。鳳鳶が彼の身分を明かしても、三年前に死んだはずだと信じなかった。

 鳳鳶に促された赫連曦が口を開いた。霖川族であることを証明するため、彼は十年前の出来事を語る。

 十年前、戦いで負傷した朔雲大君は霖川に迷い込んだ。一か月ほど療養し、傷が癒えた大君は霖川の民に朔雲まで送ってもらったという話だ。

 確かに十年前、昔旧の父である大君は失踪した時期があった。これはごく限られた一部の者しか知らない事実だ。

 昔旧はとりあえず彼を信じることにした。

 

 

「絶対に婚礼を挙げる!

 別室で婚礼の取りやめを話した鳳鳶だったが、昔旧に拒絶されてしまった。

 これ以上、朔雲に迷惑はかけられないこと、鳳鳶が赫連曦の妻だったかもしれないことを言うが、昔旧は意志を曲げなかった。

 

 

 ところで、朔雲には天乩術なる秘術がある。昨夜、婚姻の証に昔旧が贈ろうとした、あの天乩雲盤を使用して行う術だ。

 天乩術を使えば過去も未来も見えるという。ただし歴代の大君は一生に一度しか使用できなかった。

 そのため、いくら鳳鳶の過去を取り戻してやりたくても、彼女をよそ者と嫌う大君が協力してくれるはずがなかった。

 そこで昔旧は敵対心をねじ伏せ、赫連曦にしばらく世子府へ逗留してほしいと話した。昨夜の礼と、鳳鳶の記憶を取り戻す方法を模索するためだ。

 だが、あっさりと赫連曦に却下される。世子府の防備では死士の襲撃を防げないと判断したのだ。結果、昔旧が南枝苑へ行くことになった。

 ところがいざ三人で向かおうとしたところに、昔旧が大君から呼び出される。赫連曦と鳳鳶は先に望月山へと出発した。

 

 

 主上と呼ばれる男は、白い小石を眺めた。

 この小石は赫連曦が持つ樹心と同じものである。樹心と同化した者は彼のように超人的な力を発揮できる。

 しかし、同化の方法が分からなかった。

 男は霖川族の血を引く朔雲族を捜せと部下に命じる。霖川族の血が樹心を発動させる要因だと考えたのだ。

 

 

 天乩雲盤を勝手に持ち出し、結婚の証としたことが大君にバレた。しかも、留守にしているあいだに鳳鳶と婚礼を挙げようとしたことも大君に知られる。

 激怒した大君は呼び出した息子に抜き身の剣を投げつけた。

 昔旧も黙っていない。剣を抜いて父に歯向かう。が、簡単に蹴り飛ばされてしまった。

「結婚を中止するなら、許してやろう」

「絶対に嫌だ! 罰ならいくらでも受けてやる!

 阿笙が仲を取り持とうとしても無駄だった。昔旧は地下牢に収監された。

 

 

 こうなることは鳳鳶にも容易に想像がついた。鳳鳶は朔雲に戻って昔旧を救い出したかったが、しかし赫連曦が許さない。彼女はまた南枝苑の一室に軟禁された。

 

 

 夜。

 河のほとりで琴を爪弾きながら、赫連曦は物思いにふけっていた。

 鳳鳶は残酷な方法で霖川族を滅ぼし、封印した張本人だ。だが記憶を失っているとはいえ、今の彼女の言動に残忍さは感じられない。むしろ芯が強く、優しさと思いやりに満ちている。

 そんな彼女から、どうやって連理枝を奪い返せばよいのか。

 琴桑が近づいてきた。手に街で買った石榴の果実をふたつ持っている。彼女はひとつを赫連曦に渡し、もうひとつを鳳鳶に渡してよいか訊ねた。

「おまえの命の恩人だから、好きにすればいい」

 赫連曦はついでのように、琴桑から見た鳳鳶について訊いてみた。

「私は霖川族滅亡の経緯を知っているわけではありませんし、そもそも部族外の人間です。あれこれ言う資格はありません。けれども少夫人は悪い人に見えません」

 琴桑ははっきりと答えた。

 

 

 赫連曦がなおも考え事をしていたら、廊下を歩く鳳鳶の姿が見えた。赫連曦に用事があって、部屋を訪ねるらしい。

 琴桑が彼女を見つけ、石榴の果実を差し出す。すると鳳鳶は果実をふたつに割り、一方を琴桑に返した。

「あなたの分よ」

「少夫人、以前、石榴はこうやって食べると教えていただきましたね」

 ひと粒石榴の身を取った琴桑は、それを宙に放った。そして器用に口で受け止める。

 この食べ方は、かつて赫連曦が鳳鳶に教えた食べ方だ。あの時、なかなか口に入らず笑い合った光景が赫連曦のまぶたに浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

<5集に続く>