ドラマ「幻鏡閣」 第15集 | 江湖笑 II

江湖笑 II

中国ドラマ・小説の各話あらすじです。完全ネタバレしております。
5/3より更新の予定は…
月曜~木曜:短劇「寵妃凰図」
金曜~土曜:短劇「難尋」
※「幻鏡閣」は4/26にて大結局です。

ドラマ「幻鏡閣」

 

第15集

 

 

 

 

 

 

 

<15> 比翼双飛()

 

 

 うたた寝していた浅夏は、夢を見てはっと目覚めた。

 雪の降る忘川の河岸で、両手両足を鎖で繋がれている女性の夢だ。もだえ苦しむ彼女の足元には、紅い彼岸花が咲いていた。

 

 

 西夏から公主、舞黎の一行が広陵城を訪れた。彼女は皇室に嫁入りする予定である。

 舞黎が皇城に入るまでの三日間、浅夏が身辺警護の任に就いた。

 一行が宿泊する駅站に赴いた浅夏は、舞黎からある頼みごとを受けた。

「浅捕頭、紅い衣服の女性を知っている?

 幻鏡閣の老板娘、曼珠のことだ。

 

 

 夜。

 曼珠を呼び出した浅夏は、舞黎を連れてひと気のない街角で落ち合った。

 曼珠は携えてきた小箱を開け、中に入っている蝶を舞黎に見せる。

「この忘情蝶を相手に向けて祈れば、あなたに対して心を動かした記憶がこの蝶に流れ込みます。相手の、あなたに心動かした記憶が永遠に消えるのです」

 無料だと言い、曼珠は不安そうな表情の舞黎に小箱を渡した。

「ありがとう」

 礼を言い、舞黎は駅站へと戻って行く。だが、浅夏は動かなかった。もの言いたげに曼珠を見つめる。

「…行かなきゃ」

 浅夏は公主を追いかけた。

 

 

 西夏公主の舞黎が貼身侍衛の郜義儒と出会ったのは十年前だ。郜義儒は少年の頃から寡黙で、辛抱強く舞黎のわがままに付き合った。ふたりきりになると彼女は公主と呼ばれるのを嫌い、名を呼んでくれと言う。

「命令よ」

 やがてふたりは恋仲になる。だからと言って、郜義儒が一線を越えることはなかった。

 舞黎の父である西夏王が皇帝に謁見するため、中原入りすることになった。周囲の目を盗んで城楼へ上がった舞黎は、一緒に中原へ行って”七彩祥雲”を見てみたいと伴をする郜義儒に話した。

「舞黎、”七彩祥雲”は見たいからと言って見れるものではないよ」

 郜義儒は落ち着いた口調で話し始めた。

 あるところに恋人同士の男女がいた。仕方なく別れることになったが、どうしても忘れられない。輪廻転生を繰り返しても、忘れられない。艱難辛苦を乗り越えても相手への愛を忘れずにいれば、或いは天界の神が哀れに思ってくれるかもしれない。そうして吉兆の”七彩祥雲”を降らせ、ふたりの仲を許すかもしれなかった。

 ”七彩祥雲”があらわれたら、私を娶りに来て。

 それが郜義儒の伝え聞く伝承だった。

「…義儒、笛を聴かせて」

 優しくほほ笑んだ郜義儒が、横笛を吹く。舞黎は目を閉じて聴き入った。そして、彼の肩にもたれる。

 

 

 

 

 

 

<16集に続く>