ドラマ「幻鏡閣」 第14集 | 江湖笑 II

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月曜~木曜:ドラマ「南城宴」(前後編)
土曜:短劇「玉奴嬌」(各1集)

ドラマ「幻鏡閣」

 

第14集

 

 

 

 

 

 

 

<14> 無心将軍()

 

 

 将軍府は悲しみに包まれていた。

 甲冑姿のまま家廟に駆け込んだ甄景は、白莘蓉の位牌を前にして涙を流す。

 実は、何者かが白莘蓉の飲む薬湯に毒を盛ったのだ。幻鏡閣の鏡には女性の手元しか映っていなかったので、犯人は分からない。

 呆然と立ち尽くす甄景のそばへ、白璐茜が泣きながら近寄る。甄景は彼女を押しやった。

 白璐茜が床に倒れる。

「新夫人、大丈夫ですか!?

 甄景が留守をしているあいだに、白璐茜は姉の後釜に座っていた。当然のごとく、甄景は激怒した。

「誰が新夫人だ! 私の妻は永遠に白莘蓉だけだ!

「でも、阿姊が私たちの仲を見て…」

「どこからそんな話が湧いてきた!? おまえを可哀想に思って住まわせてやったのに!

 可哀想と言われて自尊心の傷付いた白璐茜が、とうとう本音をぶちまけた。

「なぜ阿姊が私を将軍府に入れたと思う? 夫婦仲の良さを見せつけるためよ! もともとあなたと婚約していたのは私だったわ! 庶子が将軍夫人なんて、釣り合わないわよ!

 言い合っているところへ、白莘蓉の侍女、小蘭がすすり泣きながらやってきた。ふたつに割れた玉佩を甄景に差し出す。

「夫人は傷心が過ぎて亡くなったと、医者が申しておりました」

「ほら、聞いたでしょ!? 阿姊の心を傷付けたのはあなたよ! 白莘蓉を追いつめて殺したのは、あなたなのよ!

 白璐茜が勝ち誇ったようにケラケラ笑う。甄景は愕然とした。

「私は彼女の思いをひとつも分かっていなかった…」

 きみのそばへ行きたい。

 滂沱の涙を流す甄景は、剣を抜くと一気に自らの腹に突き立てた。

「将軍!!

 ばったりと甄景が倒れる。白璐茜はその場にへたり込んだ。

「死んじゃった… 白莘蓉、あんたのせいよ! あっちの世界で喜んでいるかしら!

 白璐茜は狂ったように笑い続けた。

 

 

 ところで、白莘蓉に毒を盛ったのは誰だったのか。

 甄景が将軍府を留守にする以前から、白莘蓉は自分がもう長く生きられないことを悟っていた。

 亡くなるその夜、白莘蓉は玉佩をふたつに割り、小蘭に託した。

「将軍が帰ってきたら、必ず渡して」

 そうして白莘蓉は、妹を陥れるために先の無いその身を利用したのである。

 白璐茜、たったひとりで寂しく生きていけばいいわ。

 

 

 その後、悲劇の元凶が自身にあると悟った白璐茜は、深く後悔した。

 幻鏡閣には彼女が納めに来た甄景の剣が安置されている。

 もしも白璐茜が手巾で姉の自尊心を刺激しなければ、結末は変わっていたかもしれない。

 救いのない事件の結末を知り、浅夏と小七はどんよりとした気分に陥った。

 人の心も愛も、他人がどうこうできるものではないのだ。

 

 

 

 

 

 

<15集に続く>