ドラマ「我才不要当王妃」
第7集
<第7集>
暗殺組織から連絡が来た。
突然、王瑞秋の目の前に飛び出してきた手負いの黒装束男は、彼女に密書を渡すした。王瑞秋が受け取ると同時に、孟義の賊を追えという声が聞こえる。とっさに隠れた王瑞秋は、男が引きずられていくのを黙って見送る。
見つからずに済んで安堵したその時、うしろから肩を叩かれた。驚いて飛び上がる。
「瑞秋、師父が呼んでるよ。…何それ?」
師兄の王飛だ。王瑞秋は彼の見ている前で密書を広げた。
明日の賞花宴へ向かう途中、絶情谷で手を下す。おまえは確実に崇六を連れ出せ。崇六が死ねば任務完了だ。
一読した王飛は、王瑞秋が暗殺を引き受けたのかと思って驚いた。
「考えてみてよ。師兄は殺し屋?」
「おまえが殺し屋だろ?」
「違うってば! 師兄が殺し屋じゃないのに、なんで私が殺し屋なのよ!」
しょうもないことで言い争っている場合ではない。密書を崇六に見せて疑いを晴らさないと。
ところが、王飛はその大事な証拠で鼻をかんでしまった。
「何すんのよ!」
「軽率な行動は慎めって、師父が言ってた。それから…」
「それから、何!?」
「王府から逃げようなんて考えるなって」
捕えた侵入者が自死した。崇六は、男が王瑞秋と連絡を取ったはずだと推察する。
「あの仲間ふたりは刺客ではないようだな」
崇六から見て、王十三と王飛のふたりはただのコソ泥だと思われた。
「それから、命じられた噂を流しておきました」
崇六は恐妻家だという噂を流した、と孟義は報告する。
明日は賞花宴へ出かける日だ。密書の存在を知らない崇六でも、暗殺組織が襲ってくる場所が絶情谷だろうと察しがついた。
崇六はそれに乗じて王瑞秋を始末するつもりだ。そして、葬儀に訪れた慰問客に憔悴しきった彼の姿を見せつけるのだ。
袁利に呼ばれた崇六と王瑞秋が大廰へ行くと、王十三と王飛が待っていた。
王十三は王飛を助手にして、”婚姻調解大師”の実践を始める。
「男女の縁は月老が決定し、赤い糸で結ばれる」
王十三はまず王瑞秋に赤い縄を渡し、崇六を縛らせた。書物と見比べながら、左側をきつく縛っているのは夫を信用していない証拠で、右側が緩いのは逃げたい気持ちのあらわれだと言う。
次は崇六が王瑞秋を縛る番だ。縛り具合を検査した王十三は、相手を束縛しすぎると逃げられるぞと忠告する。
それを終えると、今度はふたりきりで質問し合う場を設けた。質問された側ははいかいいえで答え、答えたくない場合は酒を飲む。
向かい合って座ったふたりは、王瑞秋の質問から始めた。
「私の王妃は気に入らない?」
「ああ。二度と王妃になりたくないか?」
「ええ。私が王妃じゃなかったら、殺さない?」
「ああ。今日、おまえは私を騙していないか?」
王瑞秋は黙って酒を飲んだ。
「もしも大人しく王妃を演じたら、あのふたりを解放してくれる?」
今度は崇六が酒を飲む。王瑞秋は酒を飲んで腹立ちを誤魔化した。
「あのふたりを解放したら、大人しく王妃を演じるか?」
「大人しく王妃を演じる私を信じられるの?」
崇六は酒を飲む。やけくそで王瑞秋は何杯も酒をあおった。
こんなに杯を重ねたのに、なんで酔わないんだろう。
「私ね、あんたを騙してないわ」
王瑞秋は例の密書を彼に見せた。
「私にとっては王妃の身分が大事なの。殺し屋じゃないわ」
<第8集に続く>