ドラマ「青雀成凰」 第18集 | 江湖笑 II

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ドラマ「青雀成凰」

 

第18集

 

 

 

 

 

 

 

<18> 譲我陪你把這出戯演完

 

 

 雲煥はひとり書斎にこもった。

 虎口の紅いほくろを見つめる。

 ”同心蠱”など無くても、きみを狂おしいほどに愛しているというのに。

 

 

 厳詢蒼にもらった丸薬ひと粒では、思ったほど慕王は回復しなかった。青澄は黒い風呂敷包みを持って、厳詢蒼を匿っている秘密部屋へ行く。

「私をここから出してくれるなら、お手伝いしましょう」

 薬は雪深い山に自生する金蓮蕊という植物を使用しているという。人をやって採りに行かせるわけにはいかない。

 躊躇したものの、青澄は青雀から預かった手紙を彼の前に投げた。

 今夜、子の刻に衛兵が交代するので、そこを狙って一緒に逃げましょう。

 一読した厳詢蒼は、手紙を袖の中に入れた。

「あなたたちって怪しいわね。でも、私の夫は鵲夫人に夢中よ。父王が回復しなかったら、ふたりは慕王府を乗っ取るかもしれないわ」

「あなたはなぜ夫を取り返さないのですか?

 厳詢蒼が青澄の頬に手を近づける。青澄ははっとして顔をそむけた。

 青澄は持参した風呂敷包みを厳詢蒼のほうへ押しやった。

「…去るも留まるも、あなた次第よ」

 すでに秘密部屋の番兵は遠ざけていると言う。

 

 

 青澄から連絡があった。子の刻に厳詢蒼が青雀の居室へ忍んで来るという。扉を三回敲く音が合図だ。

 いらいらして待っていた青雀は、合図の音を聞いて扉を開けた。

 廊下に黒ずくめで仮面を被った男性が立っている。彼の足元には番兵が倒れていた。

 男性は無言で青雀の手を引き、居室から連れ出した。

 

 

 ところが、男性は厳詢蒼ではなかった。

 短く発した声を聞き、まさかと思った青雀は恐る恐る彼の仮面を外す。雲煥だった。

「厳詢蒼はどこ!?

「ヤツにはきみを守れない」

 厳詢蒼と雲煥は入れ替わっていたのだ。

「ヤツは無事だ。今夜からまる一日、私に付き合ってくれたら、後はどこへなりと去るがいい」

 今夜は指一本触れる気は無いから、と雲煥は青雀の耳元でささやいた。

 

 

 あらかじめ雲煥が準備した馬車に揺られて、ふたりは夜の街へ出かけた。

 部屋がひとつしかない宿に泊まる。

「とんだ聖人君主だこと」

「最後の一日だ、眠るなんて勿体ない」

 不意に雲煥の顔がこわばった。険しい表情で青雀を引き寄せ、彼女の口元を手で覆う。

 扉の向こうに人影が見える。影は布張りの格子から、催眠作用のある煙を室内に吹き入れようとしている。

「眩暈がするわ…」

「眠り薬だ。息を止めろ」

「もう、無理…」

 雲煥は口移しで青雀に空気を送り込んでやった。

 

 

 

 

 

 

<19集に続く>