ドラマ「青雀成凰」 第12集 | 江湖笑 II

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ドラマ「青雀成凰」

 

第12集

 

 

 

 

 

 

 

<12> 彩雲易琉璃脆

 

 

 雲煥はすでに鵲児がかつての恋人、青雀だと確信している。青雀も、彼が感付いているだろうことは承知している。それでも、青雀は事実を認めようとしなかった。

 青雀は、あずま屋で泥酔する雲煥の前に立った。

「あなたの青青は死んだわ。ここにいるのはあなたの岳母よ」

「慕王など、さっさと殺してやる! そして、堂々ときみを妻に迎えるのだ!

「では、なぜ早く手を下さないの?

 慕王を殺したいが、そうできない事情が彼にはあった。公金横領事件だ。

「こんな話はよそう。…以前、私はきみに申し訳ないことをした。もう二度ときみを離したくない。いっそのこと、一緒に地獄に落ちよう!

 泥酔した雲煥は、いきなり青雀の唇を奪った。青雀は彼の頬を平手打ちする。

「私はもう青青じゃないわ! 愛しているふりは結構よ!

 再度、青雀は雲煥を打つ。

「いいこと、私はあなたの岳母なのよ!

「…もう一度、打て」

 青雀は三度、彼の頬を張った。

 突然、雲煥は青雀を抱き上げた。書斎へ入り、足で扉を閉める。

 無理やり口づけられた青雀は、雲煥の唇に噛みついた。それが余計に雲煥の情動へ油を注ぐ。

 雲煥は肩に青雀を担ぎあげると、寝台へ下ろした。服を脱ぎ始める。

「将軍は昔の恋人の面影を私に見ているのね」

 雲煥、平穏な時には夜を共にできなかったのに、皮肉なものだわ。

 一方の雲煥も思う。きみが別人を装うならば、どこまでも付き合ってやろう。

 青雀は寝台に彼を押し倒した。密かに”同心蠱”を口に含み、雲煥に口づける。彼が夢中になっているうちに、青雀は脱ぎ捨てられた帯から玉佩を盗った。

 

 

 翌朝、昨夜の言動を謝罪する雲煥に、青雀は冷たく接した。

 ”同心蠱”の影響だろう、雲煥は償いのために何でもするつもりになっている。青雀が望むならば慕王と青澄を転居させてもいいし、新たに別邸を建ててもいいと言う。

 

 

 慕王の診察で王府を訪れた厳詢蒼に、青澄は居丈高な態度で父親の容体を訊いた。厳詢蒼は一か月ほどで目覚めるだろうと答える。

「神医としての腕は確かなのに、鵲夫人との関係は曖昧なままなのね」

「もう過去のことですから」

 青澄の挑発に厳詢蒼は乗らなかった。

「父王が目覚めたら、あなたたちを水に沈めてやるんだから!

 青澄は厳詢蒼を指さした。

 古来より、中国では不貞を働いた者を竹籠に押し込めて水に沈めるという私刑がある。

 厳詢蒼は指さした青澄の手首をつかみ、引き寄せた。半回転した青澄が彼の懐に収まる。

「…心火太旺、肝臃気滞。処方箋を書いておきますので、薬を飲んでみて下さい」

 厳詢蒼は青澄の脈を取って冷静に診断する。うしろから抱かれた格好になる青澄は、どぎまぎして思わず本心が漏れた。

「どうして皆あの女が好きなの? もちろん、私の容貌なんて彼女美貌の足もとにも及ばないけれど…」

「誰が足もとにも及ばないなどと言ったのですか?

 自己嫌悪の塊だった青澄は、はっとして厳詢蒼を見た。

 

 

 あの夜以来、雲煥は人目をはばからなくなった。どこにでもあらわれ、青雀についてくる。

 今日は出かけようとする青雀の馬車に凧が乗せてあり、雲煥は彼女をある場所に連れて行った。

 二重城壁のあいだにある通路だ。ここは雲煥が青雀を刺した場所だ。

 雲煥は背後から手を添えて、青雀と一緒に凧を上げる。

「昔、凧上げが好きな娘がいた。出会った時、彼女は清々しい光のようだった。私はあれほど美しい日々を送ったことが無かったよ」

雲煥はふたりで過ごした日々をそう表現し、青雀を空高く上がる凧になぞらえて一緒に天まで上りたかったと言う。

「そのあとは?

「そのあと…彼女を失ってしまった」

「失った? 嫌って捨てたのでしょう? しかもその手で殺そうとしたくせに」

「まさか! 私は嫌ってなど…!

「世の中に永遠など無いわ」

 青雀は雲煥の束縛から逃れる。

 刺殺したあとすぐに青澄と婚礼を挙げたくせに、勝手すぎる。

「…もしもきみが青雀ならば、どうすれば許してくれる?

「将軍、あなたの目の前にいるのはかつての青雀ではないわ。現実を見て」

「現実などどうでもいい! 私は青雀から離れない! 疲れ果てたら、彼女はきっと私のもとに戻ってくる!

「そこまで言うなら、試してみましょう」

 

 

 青雀は凧の糸を切った。凧は城壁をつなぐ橋の欄干に引っかかる。

 青雀は、雲煥に目隠しをさせた。目隠ししたまま凧を取ってみろというのだ。

 深淵に突き落される感覚を味わうといい。

 しかし一方の雲煥は、凧を取ってくれば彼女がそばにいてくれるのではないか、と期待を寄せる。

 雲煥は欄干を飛び越えて橋の縁に立った。するっと目隠しを取る。

「きみの気分が晴れるなら、何でもしよう」

 躊躇なく欄干から手を離した雲煥は、空を見上げながら落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

<13集に続く>