ドラマ「青雀成凰」
第7集
<第7集> 唯一認出我的是你
青澄は事あるごとに青雀に嫌味を言い、咬みついてくる。
媚薬事件があった翌朝もまたわざわざ大廰までやってきて、今朝は雲煥のせいで腰が痛いだの、青雀に向かって独り寝は寂しいだろうだののたまう。
実のところ、昨夜の青雀は湯殿の奥に身を隠していたので、青澄に姿は見られていない。
「母として、娘が婿殿と仲睦まじいのは喜ばしいことだわ」
青雀も負けじと上から目線で応戦する。怒った青澄は言いたいだけ言い放って大廰を出て行った。
入れ替わるようにして雲煥が入ってくる。彼は昨夜の青澄とのやりとりを暴露した。
寝台に連れて行かれた雲煥はしなだれかかる青澄を拒絶し、突き飛ばした。その際に青澄は腰を強くぶつけ、痛めだのだ。
青雀はほっとしている自分に気づく。
青雀は、青澄と侍女を大廰に呼び戻した。家庭内の不祥事だとして、雲煥ではなく青雀が媚薬事件を裁く。
青雀に詰問された侍女はしらを切ったものの、部屋から媚薬が発見されて青澄に泣きついた。だが、青澄から張り倒される。
「羞恥心の欠片もない! 外へ引きずり出して罰してやる!」
「待って!」
外へ引きずり出したあと、青澄はうやむやにするつもりだ。察した青雀は、侍女の主人も同罪だと糾弾した。
青澄が雲煥に助けを求める。
「私はあなたの妻よね。あなたが私に触れてくれないから、こんな下品な策に出たのよ!」
「婚姻は慕王の意向だろう? 無理に私を愛そうとしなくていい」
「なによ! 将軍がこの女をかばうのは、青雀と顔がそっくりだからでしょ!」
青雀の名が青澄の口から飛び出して、雲煥は気色ばんだ。青澄が口にしていい名ではないと彼女に凄む。
「将軍はどうしてそんなに青澄を嫌うの?」
大廰を出て行く雲煥を追いかけ、青雀は訊いてみた。
「鵲夫人は私の閨房に興味がおありのようだ」
雲煥は青雀の腰を抱いた。
「何も学ばないなら、愛玩されるカナリヤでいることだ」
「カナリヤだって、白鳥の助けがあれば空高く飛べるわ」
「では、きみがどれだけ我慢できるか見てみよう」
雲煥は青雀の腰から手を離し、背を向けた。その背中に青雀が話しかける。
「青雀…」
雲煥がはっとふり返る。
「あなたと青雀はどういう関係なの?」
「その名を王府内で呼ぶな!」
しかし青雀は重ねて訊ねる。
「どういう関係か聞かせて」
「彼女は私が唯一愛した女性だ」
雲煥はきっぱりと言い切る。
愛していた。それなら、どうして私を殺そうとしたの? あなたの言う愛が分からない。
青雀は、不吉だという小鳥を侍女から取り上げた。
鳥かごに入ったこの小鳥は、雲煥が可愛がっていた小鳥だ。かつて青雀は、慕王の西征に従って留守をする彼の代わりに面倒を見たことがある。
人間の言葉を真似る小鳥は今でも、雲煥は青雀が大好きだとしゃべる。それが今や不吉な鳥だと忌避されていた。
こんなに近くにいるのに、あなたの心が分からない。
あずま屋で小鳥の相手をする青雀を、廊下から青澄が睨んでいた。
<第8集に続く>