ドラマ「青雀成凰」 第2集 | 江湖笑 II

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ドラマ「青雀成凰」

 

第2集

 

 

 

 

 

 

 

<2> 似是故人来

 

 

 青雀扮する鵲児が慕王に差し出した酒杯に、白い粉が浮いていた。それを毒だと決めつけた慕王は、床に倒れた青雀に剣を向けた。

 それを雲煥が止める。

「調べを終えてからでも遅くはありません」

 雲煥とふたりきりで会った時とうって変わって、青雀は弱々しい表情を浮かべて見せる。そんな彼女に慕王は酒杯を突き出した。飲んでみろというのだ。

 青雀は慕王と雲煥の顔色を窺いながら一気に飲み干し、毒酒でないことを証明した。酒の上に浮いた粉状のものは、温めた時にあらわれた成分だったのだ。

 やっと警戒を解いた慕王は、青雀の手を取って立たせた。

 

 

 夜の慕王府に戻った雲煥は、青雀に与えられた居室で尋問を始めた。

 青雀は可憐さをかなぐり捨て、ふてぶてしく妖艶な笑みを浮かべる。

「どうしてそんな目で私を見るの?

「おまえの顔は慕王の禁忌に触れるのだ。なぜ夫となる慕王に毒を盛ろうとした?

「あなたをひと目見て、心変わりしたのよ。私の後ろ盾となるのはあなたがいいって、ね」

 青雀は雲煥の唇を指でなぞった。その手を雲煥は掴む。彼女の右手の虎口、つまり親指と人差し指のあいだに赤いほくろは無い。

 虎口に赤いほくろがある人は、一生安泰だそうよ。

 かつて雲煥の恋人だった青雀は、戦場に向かう彼の虎口を鍼で突き、小さな赤いほくろの入れ墨を施した。青雀の虎口には雲煥が施す。

 やはり違ったのか。

「…早くここを出て行ったほうがいい。地獄がまっているぞ」

「それじゃあ、私と組んでこの慕王府を乗っ取ってみない?

 青雀はなまめかしい仕草で雲煥の手を握った。

 その時、勢いよく扉が開いて女性が闖入した。彼女は慕王の娘で、雲煥の妻となった青澄だ。

 ふたりが手を取り合っているところを見て、青澄は甲高い声で青雀を罵倒した。

 しかし青雀の容貌を見て、まるで亡霊に出会ったがごとく顔色を失くす。

 やけどの痕は無いけれど、この女は。

「この顔は見たくないわ! 将軍、あなたは私の夫でしょ! 早く追い出して!

「夫婦の名を借りて私に強要するな!

 雲煥は冷たく言い放つ。婚礼は挙げたものの、彼は青澄に触れたことが無かった。

 

 

 雲煥の右手の虎口には、青雀が入れた赤いほくろがまだ残っていた。

 鵲児は青雀なのか、別人なのか。

 とにかく、青雀はあの時死んだのだ。死人ほど安全な存在は無い。

 

 

 青雀が演じる鵲児は、南方の南疆育ちという触れ込みだった。しかし彼女は食事で出された香菜の名を間違え、揚げ菓子の味ももっと淡白だったと慕王に話す。

 慕王はまたもや青雀を疑う。そこで鵲夫人は南疆でも北部出身だったから、と助け舟を出したのは雲煥だった。

 青雀は、実はわざと間違いを言って雲煥を試したのである。青雀を庇った雲煥は、すでに彼女の投げた釣り針に引っかかったも同然だった。

 

 

 雲煥は軍師に指示を出して鵲児を細かく調べ上げた。青楼に残っていた身体売買の契約書を取り寄せる。

 契約書には彼女の原籍が南疆で、両親が健在であることが明記されている。このふたつは雲煥の軍師の部下が実際に確認したので信用に足る。

 雲煥がそれらを慕王に報告しているところへ、青雀が書斎に入ってきた。手には自ら煮たというスープを持っている。

 また疑念に駆られた慕王が、雲煥に毒見をしろと迫った。毒が仕込まれているかもしれないが、慕王の信用を得るには飲まざるを得ない。覚悟を決めた雲煥はスープの器に手を伸ばした。

 わざと手を滑らせて、青雀が器を落とした。スープが台無しになる。

 激昂した慕王が青雀に手を上げた。その腕を雲煥が掴む。

「鵲夫人のかんばせに傷がついてしまいます」

 そうだった。今夜は床入りだった。

 

 

 慕王の前では青楼の女性らしく鼻にかかった声を出す青雀だったが、内心では憎しみが渦巻いている。父の淮王を殺したのは慕王なのだ。彼は青雀のすべてを奪い取ったのだ。

 地獄で亡き父に謝罪しろ!

 居室で初夜を待つ青雀は短剣を握りしめた。

「さぁ、今夜は私が可愛がってやるぞ!

 廊下から酒に酔った慕王の声が聞こえてくる。

 その声が不意に途切れた。青雀は扉に近づき、短剣を構える。

 扉が開いた。慕王ではなく、雲煥が居室に入ってきた。

 青雀は慌てて短剣を後ろに隠した。

 

 

 

 

 

 

<3集に続く>