昼下がり、珈琲を飲む。 | hyuのそんなこんなな日々

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田舎の書店で働きながら病気やらあれやらこれやらとうまく付き合いたい日々を綴る日記。

吾輩はASD(自閉症スペクトラム)である。

名前はまだ…いやあったわ。hyuです。こんにちは。

 

猫はともかく、俺の場合ASDの特性の一つである聴覚過敏に特に困っています。

勤めている本屋には有線が入っているので、常になにかが流れています。これに非常に困っています。

曲調が合わないとか歌詞が合わないとか歌い手が破滅的音痴とかそういうことではなく、ただそこにある「音」が雑音にしか聞こえないのです。

 

うるさいうるさいと思って、追い詰められて、学生時代には倒れたこともある。

でも学生時代にはまだASDの診断がついてなかったから、ヒトに酔って倒れたんだろうということにされていました。あとは、血圧が低いせいだろうと。

されてたというか、自分でもそう思っていた。

昔は今以上に低血圧で、起立性低血圧で入院していたくらいだから、これは仕方が無かった。

誰のことも責められないし、責める気もありません。

…まあ、誰かのせいにしたくなる時はあるけれども。だって俺、そんな出来た人間じゃないし。

 

一応学校生活を送れていたし、俺自身を含め誰もASDなんて疑ってもなかったからね。

ただ、今になって思う。

もし、幼いころにASDの診断がついていたら。

もし、もっと自分自身と周囲の人間が障がいの特性を理解していたら。

診断がついて、障がい者たちのコミュニティになにかしら参加出来ていたら。

俺は死ぬほど苦しむことは無かったのかもしれない。

希死念慮に取り憑かれてふらふらと行ったり来たりしなくて済んだかもしれない。

自分で自分の手首を掻き切って精神科に二ヶ月も入院せずにすんだかもしれない。

 

言っても詮無きことですが。

少ないながらも理解者は居てくれるし、いつ診断されてもASDであることに変わりはないし、どうにかこうにか社会で生きているし。

とはいえ、健常者よりはだいぶ生き辛い人生を送っているとは思いますが。

 

で、聴覚過敏の話です。

有線がうるさくて過呼吸を起こした後、俺は本屋では耳栓を使っています。

会話用耳栓って言って、雑音を少し抑えてくれるものです。完全にシャットアウトは出来ませんが(完全にシャットアウトしたら本屋の店員としてもアウトだが)、これを付けているとだいぶマシです。

聴覚過敏を治すものではなく、あくまで一時的に対処しているに過ぎませんが。

あと、一人で外に出る時は必ずウォークマンを携帯しています。これを忘れたり充電が切れていたりするとパニック発作を起こします。誰かと一緒なら比較的平気なんですけどね。

本屋で休憩中も必ずウォークマンでなにか聴いています。もはや精神安定剤としても役割も強い。

 

俺が勤めている本屋は、近隣の県にいくつかの店舗があり、社員はその中で数年ごとに異動があります。うちの店舗は、3月に店長が変わったばかり。

前店長には耳栓のことは伝えていました。ASDということは伏せていましたが、年末調整に必要だったから障碍者手帳を持っていることも伝えざるを得ませんでした。

そして当然、血管奇形を抱えているということも。

 

店長が変わるたびに自分の病気のことを伝えるのは正直面倒なのですが、特に血管奇形のことはこれからも手術をする可能性がある以上、伝えないわけにはいきません。

でも「血管奇形」という言葉を聞いたことが無いヒトも多いし、説明するのはけっこう大変です。説明したところで、自分の身に降りかからないことを他人が完全に理解するのは難しい。

 

…などと考えながら、昨日店長には耳栓のことと血管奇形のことを伝えました。

前の店長は非常に理解があって、「有線の音量、小さくしてもいいよ」とまで言ってくださった。さすがに遠慮しましたが。

別にそこまでの理解は求めていませんでしたが、今回の店長も快く許可してくださり、血管奇形のことも解ってくださったようです。

1月に手術を受けたばかりですと言ったら驚いていましたが。

あまりに痛みが強い時には杖をついてレジに立っていますと言ったらそれも問題ありませんと言ってくれました。

自分の身体を第一に考えてくださいと。

 

ちょっとホッとしました。二つ前の店長は人間として終わっていたので理解もへったくれもなかった。

病気のことは理解してくれなくても良かったけど、伯父が亡くなった俺に「葬儀が15時からならレジ締めには来れますね」と言い放ち、「伯父が亡くなって親戚がみんな集まっているのにレジ締めるためだけに出勤しろということですか」と言ったら「出来ないんですか?」と発言した男です。

店長に怒鳴りつけたのは、後にも先にもあの一回だけでした。

当然出勤はしませんでしたが、俺があの男を赦すことは無い。そういう時のフォローをするためにてめーがいるんだろうよ。なんの為の役職手当だ。

あの時は本気で頭に血が上った。なぜ、お前じゃなく伯父なんだと。伯父じゃなく、お前であればと。もちろん上には言い付けました。

 

とまあ、病気や障がいを抱えて生きるのは中々に大変ですし、面倒です。

どうにかこうにか周囲の理解をもぎ取りつつ、無理をしないようにしていくしかない。

同じASDでも、音が気にならないヒトもいるだろうし、反対に俺が気にならないことを気にする方もいるだろうし。

 

完全に「自分のこととして理解」することが大切なのではなく、「そういうヒトもいるんだ」ということだけでも理解してもらいたいし、理解しようと思うことが大切なんだよな……などとちょっと良い感じで締めよう。

なんか長くなってしまったし。てへ☆