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『僕は何の為に産まれたんですか?
 あっ、あと。
外の世界はここより広いって本当なんですか?』


月曜20時は日テレで。
『世界まる見え!テレビ特捜部』は俺が毎週欠かさず見ている唯一の番組なんだ。
ライフワークの一つみたいな物かな。

現地のオンタイムとはなかなかのラグがあるけれど、『世界は実に興味深い』といった話が取り上げられると嬉しくて翌日は誰かに話たくなって仕方ないんだ。


俺は対話に関して広く浅くだけど、大体対応できる位全ジャンルの摘みは持っていると自負してるよ。
主な収集先は小説や雑誌、映画にドラマにバラエティー、対局で言えば漫画と新聞なんかもそうだね。
見聞を広げれば広げるほど世の中にはネタが転がってると最近気付いたわけで、忘却も暫しあれど大半は頭の端っこあたりに引っかかってたりするんだ。
それを地蜘蛛の巣を取る様に優しく且つ素早く引き出すわけ。

で、何で初めに丸見えの話をしたかっていうと、今回のザ・ベストが中国養熊所の話だったわけ。

物凄くショックだった。
知識として埋め込むには些かインパクトが強すぎるってくらいに。

別に熊が超好きって訳じゃないし、自然愛護・動物愛護に長けてる訳でもない。
ましてやプーさんなんか気持ち悪いくらいだ。
ただ、余りに養熊所の現状が酷過ぎて苦しくなっちゃったよ。


東洋医学はかつてから人体の自然治癒力向上や病を未然に防ぐ事を良しとしてきた節があると思う。
体質改善の健康法やツボ、気功なんかもその一貫だろ?
で、東洋医学というか中国医学で最も大切なポジションを担っているのはやはり漢方じゃないかな?
100gウン万円とかの薬だって存在してる位だから。

それで、やっと本題に戻るけど、どうやらその中の一つが熊の胆汁酸を胆嚢から抽出して精製するみたいなんだ。
漢方の本場中国でも希少価値が高くて値段も張るみたい。

そもそも胆嚢って肝臓の裏にあるわけだから取り出すとなると切開くらいしか無いと思うでしょ?
俺も死んだ熊から取るか、まぁ人間の事だから殺して取るかどちらかかな?なんて思ったんだけど、実際はもっとエグくて残酷だよ。そして、余りにも簡単で無機質で温度がない。


熊の胆嚢にチューブぶっ挿してそこから自動的に流れ出るシステム。
腹から出たチューブは熊が入れられている檻の外にある容器に溜まるんだ。
寝返りすら打てない様な小さな檻の外のね。

檻があるって事は生きているわけ、生まれてからずっと体にチューブを入れたまま何年もね。


成長段階で消化不良を起こす熊たちは、もちろん五体満足なわけもない。
全部が全部ってことでもないみたいだけど、成長不良やストレス性からの脱毛、人間で言えば人格崩壊みたいなことも珍しくないんだって。


気に食わないだろ?



1997年に動物愛護団体が養熊所の是非を問題提議して中国政府も非を認めたんだ、現在これ以上厩舎が増える事は法律上有り得ない話で既存の養熊所は減る一方。しかも中国内にそういった熊たちのリハビリ養護施設もあるとの話だったけど、まだまだ何百頭ものツキノワグマやヒグマが檻の中で暮らしている。
悲哀の声も本国で上がり出している為と、胆汁酸から取れる漢方の代わりになるハーブも50種類以上見つかってるんだって。

『良かった~』なんて簡単な事言ってたら正直切りがないよね。
牛も豚も鶏もミンクも魚も全部そういう話になってきちゃうからさ。


人間が生きて行く上で大きく括れば弱肉強食。
見方を変えれば残酷って少し都合が良いかな?

蝶の羽ばたきが竜巻になるなんて今の世の中余程の事がないと無理でしょ?

無意味だと思って止めるも良し、それでも可能性を信じて続けるも良し。


君基準で動く世界だってこの広い中に必ず存在するはずなんだ。
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台風のせいだ。


大荒れだ。


最近新しい自転車を組み始めた。
まぁ、厳密に言えば『組んでもらいだした。』が正解だけど、26過ぎでもいくらかは格好つけたいからくだらない嘘なんか言ってしまうんだな。
俺が政治家で、しかも民主党代表なんてオマケ付きだったら小さな嘘も、弱い外交姿勢も、お釣り貰わないのもかなりヤバいんだけど、現状ギリギリ社会の枠組みに入ってるくらいだから多目に見てくださいね。

現状維持とか言って余裕こいてられんのも今のうちだからさ。


朝から憂鬱な雨ってのも久しぶりだ。
昨日買ったリュックが背負えないから。
背負うもんがリュックくらいだから鏡の自分が薄っぺらく見えちゃうのかな?


とにかく、『同じ月を見てる』じゃないけど、今日は雨で東京タワーが見えないな。


台風のせいで?

心も大荒れだ。
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心地よい季節になってきた。

風に乗って漂う鼻につく香り。
壁つたいにに湧き出る水。
本当に生きてく上で衣食住に困らない季節になったもんだ。

といっても、服は狭い所を通る時に邪魔だからってのと、褐色の弾丸なんてあだ名が気に入ってるっていう理由で先祖代々着てないけどな。

まぁ爽やかな前置きはこんなとこにして、先日俺の28番目の兄弟の101番目の息子が死んだんだ。
死因は何者かが仕掛けた高度なトラップにかかり、長時間の拘束による衰弱死だ。

俺の甥にあたるアイツはここいらじゃ知らない奴はいないくらいの切れ者だった。。。

なのにどうして。。。


奴は『屋外は何かと超危ないんだ、おちおち歩いてるなんて丸腰で戦渦の中に踏み込む様なもんだね。だから僕は民家に忍び込むんだ。暗がりから暗がりへ、死角から死角へと、気付かれずに共生するのは僕にとっては容易いからね。今の家主は頭がいいけど、度胸がないから僕を見るとだいたいキャーキャー言って助けを求めるんだ、僕たちを見てキャーキャー言えば可愛いとか勘違いしてるんじゃないかな?(笑)だからそのパニックに陥っている間にサーッとまた暗がりに戻っちゃえば余裕なんだよ!まぁ見つかる事は万に一つだけど。ただ目が合うとドキッとして一回立ち止まっちゃうんだけどなんでだろう?遺伝的なものなのかな?そういえば爺ちゃんもそんな事言ってたしな~…』なぁんて抜かすんだ。

昔気質の年輩者たちは何たる愚行と言い、彼らの手前俺はなんて呑気な奴だと怒ってはみせたものの、心の中では賢い奴だなと呟いたんだ。

基本的には状況状況その場しのぎの俺たちだから、民家に忍び込んでしまえば雨風凌げてたまには美味い飯にもありつける。
一昔前は警戒心の低い人間なんて沢山いたんだ。


そんな折、あの兵器は突如現れた。
まるでかの大戦に舞い戻ったかのように次から次へと新兵器が開発、流通し始めたんだ。
その次から次へと湧いて出るように様は皮肉にも俺たちの様だった。


次々に伝えられる訃報の数々。

今まで政府開帳の死因No.1だった『撲殺』がなんとみるみる下がっていったのだ。

近年、鰻登り(不謹慎だが)の死因が毒ガスによるものだ。
その毒ガスは今や世界規模で普及し、一般家庭や飲食店、商業オフィスにほぼ常備されている。
呼吸困難及び神経系に作用する毒の猛威は浴びたら最後、瞬時に六肢の自由がきかなくなり、目眩、吐き気、そしてものの数分で絶命すると言われている。
その絶望的な殺戮ガスは暗闇から一片の光すら望めない。
血も涙も無い。

それ以外にも慎ましく生きている仲間達をその居住区ごと消し去る毒霧も聞いただけで身震いする。
瞬間的に広がる魔の手からは逃げるだけ無駄。
最愛の者に寄り添って死ねたら不幸中の幸いだ。

そして甥が殺されたトラップは実に良く出来ている。
『人はやはり賢い…』それが甥の最期の言葉だったと今にも零れ落ちそうな涙を溜めた弟から聞いた。


最期の時、一緒にいた友人の話だとそのトラップは見た目は少し小さいが、完全に西洋風の小屋であり、中から実に魅力的な食べ物の匂いが漂っていたらしい。
今思えば何だか違和感があったんだと友人は拳を壁に叩きつけながら、嗚咽混じりに呟いたらしい。

少し落ち着いてから彼はポツポツと話出したという。
『あんたの息子と俺は普段通りの忍び足でそのビルを制圧しかけていた。いつも大体あいつが先発で侵入し、俺が後方支援をするツーマンセルでの行動を原則としていたんだ。あの日も二人で人目を盗み何かしらの備蓄品を物色するために排気ダクトを這い、天井裏と床下からそれぞれ攻め込んだんだ。いつもと何も変わらないハズだったんだ…』
彼は唇を一度噛み締め、更に続けたという。

『上から見ててもあいつの様子がおかしいのは解ったんだ、ただ何かしら考えがあっての行動だと思い、当初の予定通り俺は降下ポイントまで細心の注意を払い移動した。するとあいつは何かに導かれるように小さな小屋に近づいていったんだ、吸い込まれるように実に無駄のない動きでな。俺は何かとてつもない胸騒ぎがして「近づいては駄目だっ!」と叫んだんだか、アイツは聞く耳なんか持たず、何かに取り付かれた様にその小屋に入り込んでいった。まさかあんな事になろうとは…。』
弟は気付いたら涙を流していたという、その弟に軽く視線を流しつつも彼は続けた。
『嫌な予感は的中した。俺はいてもたってもいられなくなりアイツの元へ駆け寄ったんだ。するとアイツはただ黙ってその小屋の中で一点を見つめてじっとしていたんだ。良く目を凝らせばその視線の先には無造作に食べ物がおいてあったんだ。俺は「どうした?」と声をかけた、「確かに食い意地が張ってないお前でも吟味したくなるような匂いだな。」と言った。もったいぶる様な仕草でもあり何を戴くか迷っている風でもあったからな。「お前が迷っている間に俺がお先に」なんて言って歩き出した瞬間だった、アイツが「来るなっ!あの食い物は罠だ。」なんて言ったんだ。俺は半ば呆れて「そんな嘘ついてまで食いたいなら先に取れよ」とアイツに言った。するとアイツは「動けないんだ。。。足が動かないんだ。」なんてまたもやふざけた事を言ったもんだから俺は笑いながら近付いて小突くつもりだった。長い間付き合ってきたが、アイツあんな怒声は初めてだった。「来るな!お前まで帰らぬ者になるぞ!良く見ろ!俺の足を。運が良くて衰弱死、最悪奴らに見つかってなぶり殺されるのがオチだ。風の噂では聞いていたが、まさかこの俺が…俺が…」最期には涙混じり振り
絞るように話てた。俺は何とか帰ろうと言ったが奴は首を振り続けた。「産まれたばかりのガキにどの面下げて会えるってんだ。こんな失敗かましてあの元気一杯な200つ子に。もう一度だけでいいから1人1人を抱き締めててやりたかったがそれは無理みたいだな。頼むカミサンとガキ達を宜しく頼む。そして仲間にはここには来るなと伝えてくれ。最後の頼みだ。それとお前と動けた事、誇りに思うぞ。」俺は涙をこらえるのに必死で、ロクに返事も出来なかった。』友人は後悔の念にかられ、甥の妻と子供達に伝えるためにその場を離れたと言う。弟はその後も幾つかのエピソードを彼から聞いたというが、本当に自慢の息子だと胸を張る事にしたらしい。


俺は思う。
遥か昔、俺たちは人間と一定の距離を保っていた。
野を駆けずり、大空を飛び、森から森へとたまに民間へと自由気ままに生きていたんだ。

お互いの都合など良い意味でお構いなしの生活をしていた。
俺たちだけじゃない。
他の種族も皆口を揃えて言うんだから間違いない。

それが今じゃどうだ?

土は無くなり、川は淀み、木々は低くなった。
夜は明るく、静けさはなく、昼は蒸せ返る程に人、人、人。

俺たちは生きていてはいけないのか?
俺たちは一体何の目的で産まれてきたんだ?

人は俺たちを平気で殺す。
人は人を意味も無く殺す。

この世界は汚れている。
人が住み良い街を求める毎に何者かが犠牲になっている現実はもう目を瞑ることは出来ない。

もう戻れない。
昔の様には戻れない。

後悔はするな。
それがお前たち人間の責任だ。





なんてこないだ殺したゴキブリは思っているだろうな。


その人に歴史あり。

否。

全てのモノに歴史あり。