HYROX(ハイロックス)のレース映像を見ると、
「これ、かなりキツそう……」
「初心者でも本当にできる?」
「筋トレをやり込んでいないと無理?」
と感じる人も多いはずです。
結論から言うと、HYROXは決して楽な競技ではありません。
ただし、難しい技を次々に成功させなければならない競技というより、比較的シンプルな動作を、疲れた状態でも最後まで続けることが難しい競技です。
「疲れてから動き続ける」のがキツい
この記事では、HYROX初心者向けに「どこがキツいのか」「何が難しいのか」を分解して解説します。
HYROXは初心者でも挑戦できるが、準備なしではかなりキツい
HYROXは、トップアスリートだけを対象にした競技ではありません。
一般のフィットネス愛好者も参加するレースとして設計されており、初心者でも挑戦できます。
一方で、「初心者でも参加できる」=「簡単に完走できる」ではありません。
初心者でも挑戦できる
≠
準備なしでも楽にできる
HYROXではランニングと複数のワークアウトを繰り返すため、持久力・筋力・筋持久力・ペース配分などを同時に使います。
つまり、何か1つだけ得意なら簡単という競技ではありません。
HYROXがキツい最大の理由は「疲労がリセットされない」こと
HYROXの難しさを一言で表すなら、疲労したまま次へ進まなければならないことです。
例えばSled Pushを終えたからといって、そこで十分に休憩できるわけではありません。
次は再び1km走ります。
そして、その1kmが終われば次のワークアウトです。
RUN
↓
WORKOUT
↓
疲れた状態でRUN
↓
さらにWORKOUT
この繰り返しによって、序盤では普通にできていた動きが、後半になると一気に重く感じることがあります。
1種目ずつ見るとできそうなのに、全部つなげるとキツい。
これがHYROXの特徴です。
キツさ① 合計8kmのランニングがある
HYROXはワークアウトの印象が強い競技ですが、ランニングの比重も大きいです。
1kmのランニングを8回行うため、合計では8km走ります。
しかも普通の8kmランとは違います。
各1kmの間にワークアウトが入るため、脚や心肺が疲れた状態でも走らなければなりません。
普段から筋トレはしていても、ランニング習慣がほとんどない人は、この部分を特にキツく感じやすいでしょう。
8kmをどのタイミングで走るのか、DoublesやRelayでは距離がどう変わるのかはこちらで解説しています。
▶ HYROXは何キロ走る?ランニング距離と競技全体の流れを解説
キツさ② ワークアウト後にまた走らなければならない
HYROXでは「走って疲れてから筋トレする」だけではありません。
筋力系のワークアウトで疲れた後にも、再び走ります。
ここが通常のランニングや一般的な筋力トレーニングとの大きな違いです。
例えば、Sled PushやSandbag Lungesでは下半身を使います。
その直後のランニングでは、普段より脚が重く感じることがあります。
HYROXの難易度は、各種目を単体でできるかどうかだけでは判断できません。「その種目をやった後でも走れるか」がポイントです。
キツさ③ 同じ筋肉だけではなく全身が疲れていく
HYROXでは、8つのワークアウトで使う身体の部位や動きが変わります。
引く、押す、持つ、しゃがむ、跳ぶ、運ぶ。
さまざまな動きを繰り返すため、特定の筋肉だけではなく全身に疲労が蓄積していきます。
+
背中
+
肩・腕
+
体幹
+
心肺
普段からランニングをしている人なら心肺には余裕があっても、Sled系やWall Ballsで苦戦することがあります。
逆に筋力トレーニングが得意でも、8回のランニングで苦しくなることがあります。
キツさ④ 後半になるほど簡単な動作も難しくなる
HYROXの8種目には、見ただけではそれほど難しく感じないものもあります。
例えば、重りを持って歩くFarmers Carryや、サンドバッグを担いで行うLungesなどです。
しかし、問題はいつ行うかです。
Farmers Carryは6種目目、Sandbag Lungesは7種目目。
すでに複数回走り、複数のワークアウトを終えた後に行います。
そして最後にはWall Ballsが待っています。
動作そのものの難しさ
より
疲労した状態で正確に続ける難しさ
HYROXでは、疲労によってフォームやペースが崩れやすくなる後半が大きな勝負になります。
HYROXは技術的にはどれくらい難しい?
HYROXの難易度を考えるとき、体力面と技術面は分けて考えると分かりやすくなります。
HYROXのワークアウトは、非常に高度な体操技や複雑な重量挙げの技術を次々に要求する形式ではありません。
その意味では、「動作を理解する難易度」は比較的取り組みやすい競技です。
ただし、競技では正しい動作基準を満たす必要があります。
疲れてフォームが崩れてしまえば、思うように進めないこともあります。
「技が難しすぎてできない」というより、できる動作を疲れた状態でも繰り返し続けることがHYROXの難しさです。
HYROX DIG的に難易度を5項目で見ると?
HYROXの難易度を初心者向けに分解すると、次のように考えられます。
以下は公式評価ではなく、競技特性を理解するためのHYROX DIG独自の目安です。
★★★★★
STRENGTH|筋力
★★★★☆
TECHNIQUE|技術難度
★★★☆☆
MUSCULAR ENDURANCE|筋持久力
★★★★★
PACING|ペース管理
★★★★★
HYROXでは「一発の最大筋力」だけで勝負するわけではありません。
長時間にわたって走り、動き続ける能力と、最後までペースを崩さない力が大きく影響します。
ランナーと筋トレ経験者では「キツい場所」が違う
HYROXの面白いところは、人によって難しく感じる部分がかなり違うことです。
ランニングが得意な人
普段から5km・10kmなどを走っている人なら、8回のランニングには比較的対応しやすいでしょう。
一方で、Sled Push・Sled Pull・Farmers Carryなど、重さを扱うワークアウトで時間を使う可能性があります。
筋トレが得意な人
スクワットやデッドリフトなどを継続している人なら、筋力系のワークアウトには対応しやすいかもしれません。
しかしランニング習慣が少ない場合、1km×8回が大きな壁になります。
どちらも少しずつやっている人
ランニングと筋トレをバランスよく行っている人は、HYROXとの相性が比較的良いと考えられます。
そこからHYROX特有の「RUN+WORKOUT」に身体を慣らしていく流れです。
初心者でもHYROXを完走できる?
初心者でも完走を目指すことはできます。
ただし、その人の現在の体力によって必要な準備は変わります。
初心者だから無理というより、
- 普段どのくらい運動しているか
- どの程度走れるか
- 基本的な筋力があるか
- 8種目を経験したことがあるか
- ランニングとワークアウトを組み合わせた経験があるか
によって難易度が変わると考えた方が正確です。
「今どのくらい動けるか」
初出場なら、平均タイムをいきなり狙うより、まず最後まで大きく崩れず動き続けることを目標にする方法もあります。
「完走する難易度」と「速く走る難易度」は別
HYROXでは、ここを分けて考えることも大切です。
完走を目指すことと、速いタイムを狙うことでは難易度が大きく違います。
初出場なら、自分のペースで最後まで進むことを第一目標にできます。
しかしタイムを縮めようとすると、
- 8本のランニングペースを上げる
- ワークアウトの休憩を減らす
- 種目間の移動を速くする
- 後半の失速を抑える
といった要素が必要になります。
完走を目指す
↓
次にタイムを縮める
同じHYROXでも難易度は別物。
「HYROXがキツい」と聞いて不安になった初心者は、トップ選手のスピードを基準に考えないことも大切です。
初心者が「自分にはキツすぎるか」を判断する方法
実際に出場できそうか判断したいなら、動画を見るだけより、一度HYROXに近い運動を試してみる方が分かりやすいです。
例えば、
- 30〜45分程度のランニングをしてみる
- SkiErgやRowingを体験する
- ランジやFarmers Carryをやってみる
- 1kmラン+1種目を組み合わせてみる
といった方法があります。
重要なのは、いきなりフルHYROXを再現することではありません。
まず部分的に体験して、自分はランニングとワークアウトのどちらで苦しくなるのかを確認します。
HYROXの難易度は、見るだけでは判断しにくい競技です。短い「RUN+WORKOUT」を一度試すだけでも、自分にとっての難しさがかなり見えてきます。
最初からSinglesが不安ならDoublesやRelayという選択肢もある
「1人で全部やるのはまだ不安」という場合、HYROXにはDoublesやTeam Relayもあります。
Doublesでは2人でワークアウトを分担できます。
Team Relayでは4人でレースを分担します。
そのため、最初からSinglesだけに絞らず、別の参加形式からHYROXを経験する考え方もあります。
ただしDoublesでもランニングにはしっかり負荷があるため、「2人なら簡単」とは考えない方がいいでしょう。
HYROXの難易度についてよくある質問
Q.HYROXは初心者には難しすぎますか?
初心者でも挑戦できます。
ただし8kmのランニングと8つのワークアウトを組み合わせるため、事前にランニング・筋力・各種目を少しずつ経験しておく方が取り組みやすくなります。
Q.HYROXで一番キツいのは何ですか?
人によって異なります。
ランニングが苦手なら8回の1km、筋力に自信がなければSled系などが大きな負荷になる可能性があります。
また、多くの種目をこなした後に迎える終盤の疲労もHYROX特有の難しさです。
Q.筋トレ初心者でもHYROXに出られますか?
参加自体は可能ですが、いきなり本番に挑むより、基本的な筋力と各ワークアウトの動きを練習しておく方が安心です。
Q.ランニングが苦手でもHYROXはできますか?
できますが、HYROXでは合計8kmを走るため、ランニングを完全に避けることはできません。
初出場までに少しずつ走る習慣を作ることをおすすめします。
Q.HYROXはマラソンよりキツいですか?
単純には比較できません。
マラソンは長時間走り続ける持久力が中心ですが、HYROXはランニングに加えて筋力・筋持久力を使うワークアウトが入ります。
ランナーと筋力トレーニング経験者でも、どちらをキツく感じるかは変わります。
まとめ|HYROXは「難しい」より「最後まで続けるのがキツい」競技
HYROXの難易度を初心者向けに整理すると、次のようになります。
- 初心者でも挑戦できる
- ただし準備なしではかなりキツい
- 合計8kmのランニングがある
- ワークアウト後も走るため疲労が蓄積する
- 高度な技より、疲労下で動き続ける能力が重要
HYROXの難しさは、
「1つ1つの種目」ではなく「全部をつなげること」。
だからこそ、段階的に準備すれば初心者でも挑戦できる。
「自分も挑戦してみたい」と思ったら、次は初出場までのトレーニング方法を確認してみましょう。