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ホテル・デルーナ호텔 델루나
【Episode15】(2)
月の木の花を摘むチャンソン。
そこへ、ひょっこり現れる麻姑神(貧乏神)
麻姑神「もし、お前さんが戻ったら、時間を遡ってやってきた人間に関するすべての記憶は消えてしまうんだよ」
この言い方がとっても、戦略的というか、ちょっとだけ、トリッキーです(笑)
そう、これは伏線で、楽しい回収が待ってます。
チャンソン「私がここを去らないかもと心配になって、確認しにいらしたんですか?」
麻姑神「戻るも戻らないも、お前さんの選択さ。もし、お前さんがここにとどまれば、おそらく、死ぬまで、チャン・マノルの85番目の人間の行首になるだろうよ。彼女を送り出す人間として戻るか、それとも、通り過ぎる人としてここに残るかい?お前さんが決めることだよ」
またまた、ひょこひょこと、去っていく麻姑神。
紙につつまれた月の木の花を見つめるチャンソン。
もう、チャンソンの心は決まってます。
最後に、もう一度だけ、振り向くチャンソン。
ここに残していく、と決めた、朝鮮時代のチャン・マンウォルが、一人きりで酒を飲み続けている。
俯瞰で見れば、別れのシーンではないのだけれど、なぜか私には、この時のマンウォルの、取り残された孤独が、胸に迫ります。(記憶をなくすと言われているのが、救いですが)
チャンソンが扉を開け、巨木の庭に戻ってきた頃、1台のリムジンタクシーが、三途の川駅に到着する。
麻姑神(長女)に、月の木の花を手渡すチャンソン。
麻姑神「取ってきてくれて、感謝するよ」
チャンソン「なぜ、あなたが、私をあの場所に遣わしたのか、わかりました。あなたは、私があの人を待っている間、どういう気持ちでいればいいのかわからせようとしたんですね」
麻姑神「ようやく、いい知らせがきたようだよ。マノリが戻ったよ」
弾かれたように、走り出すチャンソン。
リムジンタクシーから、ゆっくりと降りるマンウォル。
ロビーを全力で走り抜けていくチャンソンを見て、マンウォルが戻ったことに気づく3人組。
ソフィ「戻られたんだわ」
一斉に駆け出すソンビ、ヒョンジュン、ソフィ。
トンネルまで、駆けつけてきたチャンソン、ただ、息を荒くしたまま、マンウォルを抱きしめる。
マンウォル「遅くなってごめん。あの場所では、ほんの短い間だったけど、あんたは長い間待たなければならなかったでしょ」
何も言わずに、ただ、抱きしめ続けるチャンソン。
その時、背後から、口々にマンウォルの名を呼ぶ3人の声が・・・。
もうちょっと遠慮しろい(笑)
ソンビたちのことなど一向に構わず、抱きしめたまま、マンウォルを離さないチャンソンに、周囲の視線に照れるマンウォル(笑)
更に、さすがに、どうしたものか、と躊躇うソンビ。(笑)
かまわず、ヒョンジュンが抱き着き、結局、固く抱き合う5人。
~フロント~
ユナ「社長様が戻ってこれられて、本当に良かった。新しいオーナーのことを話し始めていたから、腹立たしかったの」
ヒョンジュン「社長様は、来世への橋で、その人を見送らなければならなかったから、時間がかかったんだよ」
頷くユナ。
ヒョンジュン「でも、橋に足を踏み入れたから、社長様は、記憶の多くを失ってしまったらしい」
~スカイバー~
ソンビ「彼女が送り出した人の記憶は、ほとんど消えてしまったらしいな。一番古い記憶がまず最初に消えたのだろうか?」
ソフィ「長い間、私たちを悩ませた記憶は最初に消えるでしょう。気休めかもしれませんけど、ほっとする思いもあります」
~マンウォルの部屋~
マンウォル「心配しなくていいわよ。あんたのことは何一つ忘れてないから」
ちょっとにやつくチャンソン。
チャンソン「そうですか? それなら、試してみましょうか?」
マンウォル「げっ、ほんと、めんどくさい。。」
チャンソン「赤い車と僕では?」
マンウォル「あんたよ、満足?」
チャンソン「最も重要なことは、無事だったみたいですね。じゃ、何台を残して、あとは手放したか、覚えてますか?」
マンウォル「3台・・・あ、あんた! 私がいなくなってる間に、売り払ってないでしょうね?」
チャンソン「車は売ってませんよ、ただ、馬は売るように言いましたけどね。トンヨンのオ氏のこと、覚えてますか?」
はっと目を見開くマンウォル。
マンウォル「あんた、どうやって、オ・チュンファンのこと知ったの?」
チャンソン「200年前の記憶ですら、無事のようですね。それならいいです」
マンウォル「キムソンビが話したんでしょ?わかってるんだからね。あんたたち、私のこと、根掘り葉掘り噂してたに違いないわ。他になんだって?」
チャンソン「いいから、飲んでください。僕は、ほんの少し前に、ある女性からの飲み物の誘いを拒否して、本当に不本意だったんですから。」
マンウォル「“女性”? なんで、そんなウソつくのよ?あんたに、他の女性なんているわけないじゃない。。私が待たせたから、怒ってるんでしょ?」
チャンソン「でも、本当ですよ。すごくきれいな人でしたよ」
ピキッ!
マンウォル「ク・チャンソン、私を甘く見ないでね。私はそんな嫉妬深いタイプじゃないわよ。ただ、殺すだけよ。死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ!」
チャンソンの胸を何度も叩くマンウォル。
チャンソン「あ・・・・(痛)」
マンウォルの腕を掴むと、「手首が無事なところを見ると、約束を守ったようですね」
何を言い出したのか、と訝しがるマンウォル。
チャンソン「僕は、あなたに会いに、満月堂に行ってきたんですよ」
マンウォル「私に?」
チャンソン「麻姑神が僕を送ったんです。そして、僕は、賭け事で全てを失うところだったあなたを助けたんですよ」
マンウォル「そんな記憶ないけど・・・」
チャンソン「覚えてないでしょうね。月の木の花を取りに行っただけなんです」
マンウォル「“月の木の花”? 麻姑神が必要だって?」
チャンソン「酒を造るんだって言ってました。そのこと、知ってますか?」
マンウォル「・・うん。随分昔に飲んだことがあるからね。おっそろしく、まずかった。麻姑神がまた、あの酒の準備をはじめたのか・・・。」
その意味が分かりすぎるくらい分かるマンウォル。
~麻姑神シスターズの薬局~
甕の中に、チャンソンが持ち帰った月の木の花を入れ、また覆いをかける麻姑神(薬師)。
~ヒョンミの病室~
眠っているヒョンミを見ている老人。
先日、病院の廊下で会ったユナの言葉を思い返している。
ユナ≪でも、お兄さんのチ・ヒョンジュンは、もう随分前に亡くなったのに・・・≫
老人が手にした黄色く変色した昔の写真。
~回想~
自転車を押しているヒョンジュンのあとを追ってきた男子学生テソク。
テソク「自転車、乗せてくれよ」
ヒョンジュン「自分のはどうしたんだよ」
テソク「家に置いてきた」
ヒョンジュン「飛び乗れ・・・やだね!」
仲の良い親友といった雰囲気の二人。
~カフェ~
ユナ「あなたは、あのハラボジと一緒に学校に通ってたの?だから、あなたの人生を盗んだ悪い人には見えなかったのね。あなたに代わって、あなたの妹さんの面倒を見て来た親友だったのね」
それを聞くと、だまって、飲み物を飲むヒョンジュン。
ユナ「私、チ・ヒョンジュン博士のことをちょっと調べてみたの」
スマホの場面を見せるユナ。
ユナ「ほらね。医師としてもすごい功績を残したのよ。彼のことを尊敬している人もいっぱいるんだって。あなたの名前で、本当にいい人生を送ったのね」
頷くヒョンジュン。
ヒョンジュン「うん、あいつは、とても充実した人生を生きて来たよ」
ユナ「自分が建てた病院で、ヒョンミの面倒をみたから、10年以上も生き延びることができたのよね」
それには、答えないヒョンジュン。
ユナ「あ、あなたの妹さんの介護をしているヘルパーさんからのメールだわ。あ、あの日、彼女に番号を聞いたの。」
読みながら、顔色を変え、正面のヒョンジュンをみつめるユナ。
P.Oも頑張ってはいるのですが、いかんせん、このヒョンジュン役は早すぎたかな!
~ヒョンミの病室~
危篤状態のヒョンミに、心臓マッサージを施している医師たち。
見守っている老人の側に、立っているヒョンジュン。
なんとか、持ち直すヒョンミ。
ヒョンジュン「ヒョンミはまた、生き延びたな。お前はがっかりしただろうな」
部屋の外で、様子を見ているユナに気づいた老人。
慌てて、立ち去ろうとするユナに、「学生さん。君は、私の写真を手に入れたのか?」と訊ねる。
ユナ「なんの写真ですか?」
老人「君は、先日、ヒョンジュンについて話をしただろう。君は、私とヒョンジュンの写真を盗ったんだろう?」
ユナ「ヒョンジュンの写真を持ってるんですか?本当に友達だったんですね」
ユナの答えに、ちょっと考え込む老人。
ユナ「友人だから、長い間、ヒョンミの側で過ごしてこられたんですよね。ヒョンジュンはあなたをずっと見守ってます。今も、おじいさんを見ているんです」
それだけ告げると、立ち去ろうとするユナ。
老人「ちょっと待ちなさい。ヒョンジュンは生きているのか?まさか、再び戻った(生き返った)のに、彼は妹を私と一緒に残し、私にこのように生きさせたのか?ヒョンジュンはどこだ? どこにいる?」
~スカイバー~
友人テソクと一緒に写った写真を持ち帰ったのは、ヒョンジュンだったのね。
ソンビ「いやぁ、驚いた、ヒョンジュンが、本当に、優秀な学校の学生だったとはなぁ」
ヒョンジュン「人気もあったんですよ」
ソフィ「そりゃそうよ。ここの幽霊たちでさえ、ヒョンジュンが微笑むたびに、心が躍るって言うんですもの。きっと人気者だったと思うわ」
中の人は、一応、現役アイドル ブロビ(Block B)のマンネ、P.Oです。
ソンビ「私も、若い頃に科挙に合格し、天才として知られていた頃、近所の若い女性たちはみんな私の家の壁の下に集まって、大声で騒いだものだったよ。」
ソフィ「ただ、顔を見られなくて、あなたの声を聞いただけだったと思いますけど・・・。キム・ソンビ様は、いい声をしてらっしゃるから」
ソンビ「男たるもの、よい声を持たなければ、そうですよね?ク支配人?」
微笑むチャンソン。
ソフィ「ク支配人様は、いい声だっていうだけでなく、顔もイケメンですけどね」
ソンビ「・・・・・」
こんなふうに、4人で冗談を言い合えるようになったのね。。。しみじみ。。。
ソンビ「隣にいるのは、学生時代の友人か?」
ヒョンジュン「ええ、彼は、今、妹のヒョンミの面倒をみてくれてます」
その言葉に、固まるソンビたち。
ヒョンジュン「彼のおかげで、ヒョンミは今日も生き延びることができたんです・・・」
(無理して)微笑むヒョンジュン。
~デルーナ 会議室~
優雅にお茶を飲んでいるマンウォル。
ソンビ「ヒョンジュンも、もうすぐ出発することになるようですな。それに関して、少し考えていることがあるんですよ。妹がここにきて、一緒に旅立つ前に、ヒョンジュンのためのスペシャルイベントをやったらどうでしょうか?」
ソフィ「ヒョンジュンは、ほとんど妹さんと一緒に過ごしてないんです。それで、遊園地を開いて、短い時間だけでも一緒に遊べるようにしたらどうでしょうか。」
マンウォル「遊園地?」
なぜか、ものすごく、わざとらしい笑みを浮かべるマンウォル。
ソンビ「バーの中に、キッズカフェを作るっていうのも、悪い考えだとは思わんが・・・」
ははは、ソンビは、キッズカフェを推してたのね(笑)
対する、このマンウォルの無表情(笑)
ソフィ「彼は、70年も妹さんを待っていたんですからね。少なくとも、短い時間でも妹さんと一緒に時間を過ごすべきです」
マンウォル「ヒョンジュンが、本当に妹を待つためだけに、ここで過ごしてきたと思ってるの? あの子が、ただ妹のことを心配して、70年間もここで待っていた、純粋で親切な若者なんだと、本当に思ってるわけ?」
黙ってしまうソンビとソフィ。
マンウォル「あんたたち、忘れちゃったの?あの子は、撃たれたあとにここに来たのよ」
~回想~
朝鮮戦争中、ランプに火を灯すマンウォルの元に、撃たれて呆然として状態のヒョンジュンが訪れる。
~マンウォルの執務室~
ライフルを磨いているマンウォル。
チャンソン「もし、ヒョンジュンと妹さんのイベントをするのが嫌なら、気分を台無しにする代わりに、ただ、静かにしてることもできたじゃないですか?」
マンウォル「私はかつて、この銃で誰かを撃ったことがあるわ」
後頭部を撃たれた女刑事さんの恨みを晴らしたんだよね。。。
マンウォル「永遠に苦しみながら生きるよう、恨みのこもった弾丸で、その幽霊の敵を撃ったの。」
チャンソン「それで、ヒョンジュンを殺した男に、同じことをするつもりだと言ってるんですか?」
マンウォル「ヒョンジュンは、すでに、彼自身の恨みの弾丸で、敵を撃ってるわ。どんな弾だと思う? ヒョンミよ、チ・ヒョンジュンの妹、チ・ヒョンミ。」
少し意外そうに、マンウォルを見つめるチャンソン。
マンウォル≪彼の妹は、きちんと見ることすらできず、精神病だった。そして、ヒョンジュンは、そんな妹を友人のそばに置くことで、彼を永遠に苦しめ続けてきたのよ。それこそが、ヒョンジュンが妹が来るまで、ここで70年も待ち続けた真実よ。それに、あの子もまた、自分を殺した男に嫌がらせをするために、70年もの間、妹を利用したのよ≫
チャンソン「ヒョンジュンを殺した人間とは、ヒョンミの面倒を見ている友人なんですね」
~デルーナ フロント~
テソクと一緒に撮った写真を見ているヒョンジュン。
そこに、ユナが入ってくる。
ヒョンジュン「ああ、ユナ。」
ユナ「ヒョンジュン、私、本当にあなたに会いたがってる人を連れてきたの」
ヒョンジュン「僕に?」
頷くユナの後ろから、入ってくる老人・・・テソク。
テソク「チ・ヒョンジュン・・・」
ヒョンジュンは当時のままだもんね。
見間違うはずはないよね。
顔色を変えるヒョンジュン。
~マンウォルの執務室~
ソフィが入ってくる。
ソフィ「チャン社長様、いわゆるヒョンジュンの友人がやってきました。ユナが連れてきたようです」
マンウォル「許しを乞うためにきたのね」
フロントのソファに座っているテソク。
フロントに降りてきたチャンソン。
ユナ「ヒョンジュンは、あの老人を見るなり、逃げ出したんです」
チャンソン「会いたくないんだろう・・・」
ユナ「私は、ハラボジの気を楽にさせるために、ここに連れて来たわけじゃないんです。ヒョンジュンが盗まれた生活を取り戻すことができるのは、あの人が生きている間だけです。だから、ここに連れてきたんです」
チャンソン「決めるのは、ヒョンジュン次第だ」
今回ばかりは、チャンソンも、単純に賛成できかねるのね。
~巨木の庭~
月の木の下に座り込んでいるヒョンジュン。
~スカイバー~
ヒョンジュンの事情を、チャンソンに語るソンビとソフィ。
ソンビ「チ・ヒョンジュンは、両親を爆撃で亡くしたんだが、かろうじて、妹だけは助け出すことが出来たらしい」
釜山の伯父の家に身を寄せようと、目を負傷した幼い妹の世話をしながら、山道を越えようとしているヒョンジュン。
ソフィ≪妹が、大怪我を負っていたので、ヒョンジュンはとても急いでいたんです。難民として(他の人たちと共に)行く代わりに、彼は山を通って近道をすることにしたそうです。≫
川で飲み水を汲んでいる時、背後から銃を突きつけられる。
ゆっくりと振り返ると、友人のテソクだった。
ソンビ≪そこで、出会った逃亡兵が友人だとわかったんだ。≫
茹でたじゃがいもをむさぼるように食べるテソクに、山抜けの近道を訊ね、釜山の伯父のところに一緒に行こうと誘うヒョンジュン。
その時、再び、ヒョンジュンに銃を突きつけるテソク。
テソク「制服を脱げ!早く脱げ!こんな軍服を着てたら、撃たれて死んでしまう、早く脱げよ」
あまりの友人の変わりように、言葉を失うヒョンジュン。
着替え終わると、ヒョンジュンのカバンを持って逃げようとするテソク。
ヒョンジュン「これはダメだ。この中には、ヒョンミの薬が入ってるし、これがないと死んでしまう」
容赦なく、銃口を向け、カバンを奪い返そうとするテソクにすがるヒョンジュン。
テソク「撃たれる前に放せよ」
激しくもみ合いになっているうちに、胸を撃たれてしまうヒョンジュン。
銃声を聞き、眠っていたヒョンミが目を覚ます。
ヒョンミ「オラボニ(お兄さま)・・・、オラボニ・・・」
必死になって、ヒョンジュンを呼ぶヒョンミ。
倒れたヒョンジュンに駆け寄るテソク。
テソク「わざとじゃないんだ、わかるよな?」
必死で謝りながらも、その場を立ち去ろうとするテソクの腕を掴むヒョンジュン。
ヒョンジュン「俺の妹を・・・妹を連れてってくれ」
最後の力を振り絞り、懇願するヒョンジュン。
テソクがヒョンミを抱き上げ、荷物や銃と共に逃げていくのを見ながら、息絶える。。
ソンビ≪その友人はヒョンミを連れて、ヒョンジュンの伯父の家に行ったそうだ。彼らは、ヒョンミのことはわかったから、当然、彼女を連れてきたのはヒョンジュンだと思いこんだ。≫
チ・ヒョンジュンと縫い付けられた学生服も着ていたからね。
ソンビ≪その時から、その友人は、ヒョンジュンとして生きてきたんだ≫
チャンソン「チャン・マンウォルさんは、ヒョンミが、彼が撃った弾丸(そのもの)なのだと言ってました」
ソフィ「ヒョンジュンは、妹のことをいつも、笑顔を浮かべながら話してました。おそらく、妹の世話をしている友人のことを非常に嫌悪し続けてきたんでしょう。」
~巨木の庭~
座り込んでいるヒョンジュンのもとに、やってくるマンウォル。
マンウォル「チ・ヒョンジュン、あんた、なんでこんなところで、さぼってるの?」
答えないヒョンジュン。
月の木を見上げるマンウォル。
マンウォル「あ~あ、葉っぱも花も全部散っちゃって、ずいぶん、みすぼらしくなったわね。しかも、雨に打たれた犬みたいな男が座ってると、更に、最悪ね・・・。」
むかつき、睨むヒョンジュン。
ヒョンジュンの隣に腰を降ろすマンウォル。
ヒョンジュン「こんなの、不公平です。僕がずっと夢見て来たことを、あいつが実現していくのを見続けるのは本当に辛かった。。。絶対に許さない」
マンウォル「あんたの胸に風穴を開けた相手を、どうやって許せるっていうのよ。ただ、行って、話しくらい聞いてやれば? あの男だって、あんたを殺したあと、いい生活が出来たことを自慢しにきたわけじゃないと思うよ。たぶん、彼の人生も、どれほど、大変で苦しかったか、言い訳しにきたんじゃないの?
でもね、人の言い訳を聞くのも、そんなに悪くはないのよ。少しは、あんたの気も晴れるかも。」
ヒョンジュン「社長さまもそうだったんですか?」
マンウォル「ええ。だから、彼が生まれ変わるために、ここを去るとき、最後に見送ることができた。」
ヒョンジュン「社長様は、ホタル騒動のことを覚えてないって言ってたのに・・・」
マンウォル「あんた、私の記憶をどうこういってる場合じゃないでしょ。あんたがこうして、ここに座り込んで、さぼってたら、私があんたを来世に送ってやるからね」
拗ねるヒョンジュン。
お姉ちゃんに諭されてる弟みたい。。。
マンウォル「あ~あ、ユナは、あんなに頑張ったのにねぇ」
立ち上がったマンウォルのロングスカートの裾を掴むヒョンジュン。
身体は大きいけど、捨てられた子犬みたいな目で、うるうると、マンウォルを見上げるヒョンジュン。
マンウォル「このことは、彼の残りの人生を安らかにさせるかもしれないけれど、ユナが連れて来たんだから、会って、話をしてきなさい。あんたの好きな女の子が、あんたのために、必死で何かをしようとしたんでしょ。」
~フロント~
ソファに座り、テソクに向き合うユナ。
ユナ「私が、ここに、おじいさんを連れてきたことで、もっとヒョンジュンを苦しめることになってしまったみたいです。すみませんが、お帰りください」
テソク「では、これを返してくれるかな?」
あの時、山で奪いとった制服を渡すテソク。
ユナ「チ・ヒョンジュンは、学校に行くのが大好きだったんです」
胸の名前の縫い取りを指で触りながら、呟くユナ。
その時、チャンソンが降りてくる。
チャンソン「オ・テソクさん、チ・ヒョンジュンさんがあなたにお会いすると言っています」
戸惑うテソク。
ユナが心配そうに、チャンソンを見上げると、大丈夫だよ、と頷くチャンソン。
どうみても、30代の貫禄(笑)
~デルーナの部屋~
テソクを案内してきたソフィ。
ソフィ「この部屋でお会いするそうです。どうぞ、中に御入りください」
部屋番号は、502です。。。
部屋の内部は、学校の教室です。
テソクが中に入っていくと、そこには、学生服をきたチャンソンが待っている。
テソク「あのころのままだな、チ・ヒョンジュン」
ヒョンジュン「お前が年をとっていくのを、俺はずっと見続けてきたよ、テソク」
お互いに、それぞれ、自分の制服を着た姿で、向き合う二人。
~スカイバー~
マンウォル「ヒョンジュンを敵と同じ部屋で会わせるのが心配じゃないの?」
チャンソン「ヒョンジュンはいい青年ですからね。それに、彼は、ずっと彼のことを見続けてきた。オ・テソク氏が最後まで、ヒョンミの面倒を見ているのを見て、彼はすでに穏やかな気分でいると思ってます」
マンウォル「いい青年のヒョンジュンが穏やかに気分でいるようだから、この意地悪な社長が、慰謝料を払わせないとね」
チャンソン「まさか、彼から金を取るつもりですか?」
マンウォル「ヒョンジュンの友人は、大富豪よ。彼が去るまえに、うちの子たちのために、イベントを開くべきよね」
なにか、おもうところがあるマンウォル。
★『ホテルデルーナ』15話(2)雑感★
時代をさかのぼった“満月堂”でのエピソードが好きだと書きましたが、ついつい、説明過多なくらい、盛っちゃいました。
マノルが戻ってきてから、というもの、チャンソンとマンウォルが、すごく、かわいらしい“大人カップル”になっていて、特に、マノルの表情が、ダントツに柔らかくなりました。
ここに来て、ユナが動きますね。。。
ヒョンジュンの件で、いろいろ画策するかな、と思っていましたが、まさか、酒まで盗みだすとは・・・。
ただただ、まっすぐに、ヒョンジュンのことを思うユナの気持ちを、実は誰よりも、マノルが理解を示しているところなどは、女心が刺激されます。