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第12話(1)はこちらからどうぞ。

 

■ 第12話(2)

死神たちの会食が、サニーの店で行われれることになったみたいで、ぞろぞろと入ってきました。
※もちろん、死神はいません。


もともと、サニーを知ってる後輩死神以外、サニーの美しさにみとれる皆さん(笑)


「人間には驚かされるばかりだ」
「私もですよ」
「でも、どうして、我々は、ここでチキンを食べることに?」
「ここのオーナーが、僕の階下に住んでるんですよ。ご近所同士、助け合わないとね。」
「さっさと食べて、出かけよう。1月初旬は1年のうちでも最も忙しいんだからな。」
死亡率の高い月だからってことですよね?


そこへ、チキンを運んでくるサニー。
「ごゆっくり・・・」
「これは、注文してませんけど・・・」
「うちの店の新しいメニューで、サービスなんです。皆さん、大変なお仕事なので・・・」
「おお、お気遣い、ありがとうございます。」
サニーが行ってしまってから、よくよく考えて、もしかして、正体ばれてるのか?とひやっとする一同の中、「これ、うまいっす」と食べてる、ふくよか系の死神くんを、みんなで、白い目で見る。
「ん? どうかしたんですか?」
「いいから、食え」
「ディップつけてから食べてみますよ」

帰途についた女死神の目の前に、姿を見せたパク・チュンホン。

「幽霊が、直符使者の前に表れるなんてどういうつもりだ?」

常にクールビューティーな女死神。
「ひさしぶりだな。直符使者になっていたとはな。」
「何言ってる? 私を知ってるのか?」
「ああ」
「だまされないぞ。」
「私が何者か知りたくないかね?それに、私がお前の前に恐れもなく現れた理由も・・・。しかし、もっと重要なことだが、お前が何者であったのか知りたくはないか?戻って、あの女の手を取ってみるがいい。お前がたった今、出てきた店の女主人のことだ。大罪を犯した者が直符使者に生まれ変わるという。あの者が、お前が一体何をしたのか見せてくれるだろう。そして、また、その中で、私がどんな役割を担ったのか・・・。」
そういうと、煙のように消えるパク・チュンホン。

******

後輩死神と待ち合わせた死神。

神《私は、決して、お前の記憶を消したりはしていない。お前の記憶を消すかどうかの選択をお前がしたのに、お前は、神の計画もしくは、失策だと思っているのか?》

神の言葉の意味をじっと考えこんでいる死神のもとに、やってくる後輩死神。
「なにを考えていたんですか?」
「考えるべきことを考えていただけだ」
「なぜ、すべきかそうじゃないかについて知ってるんですか?」
「今日やらなかったとしたら、明日、やるまでのことだ」
「やめておいたほうがいいですよ。時期が悪い。チャンハン洞事件のせいで、天から注意を受けたじゃないですか」
「なんのことだ?」
「“罪人だったことを思い出せ” 混乱と憂慮ですよ。はい、今月の名簿です」
「答えを与えられたのか、それとも問いかけなのか?」
「名簿を渡しただけですよ」

ユ会長のカードを見ている死神。
心筋梗塞だって・・・。ショボーンショボーン

「ただいま~」
帰宅したウンタク、死神とシンが明らかに様子が変なのに気づく。
「あと、3時間だ。死因は、心筋梗塞。別れを言わなくていいのか?」
「我々の人生の間に言いたかったことはすべて伝えてある。私にすまなく思わせたり、謝罪させるくらいなら、会わない方がいいだろう。俺の代わりに、見送ってやってくれ」
「わかった」
「また、生まれてきてくれと伝えてくれ。次の人生では、誰かに仕えることなく、自由に生きろと言ってやってくれ。俺がそういっていたと。感謝していたと。」
黙って、頷く死神。

ショボーンショボーンショボーンショボーン

ウンタク「なにかあったの?」

死神「喪服を用意しておけ。もうすぐ、ユ会長の死の知らせが届く。それから・・・あいつのことも見ていてやってくれ」
頷くウンタク。
黙って出かけていく死神。

一人部屋で俯き、嗚咽をあげるシン。

家じゅうのキャンドルがともっている。

いつしか雨が降り出した頃、能天気に『TT』(TWICE)を歌いながら、店のモップ掛けをしているトクファ。
「俺が社長になるまで待ってろよ。毎日ここにきて、夕食まで残業させて、仕事ぶりをチェックしてやる!その最悪な服のセンスを褒めて、永遠に着させてやる」
(小声で)店長に悪態をついているトクファの元に、キム秘書が現れる。
「トクファ君・・・」
「なんだよ、おじいちゃんが閉店まで見張ってろって言ったの?」
「一緒にいきましょう。いますぐです」
「1時間だって、さぼれないんだよ」
「スーツは持ってきました。車の中で着替えてください」
「何のスーツ?」


キム秘書の黒いネクタイに気づき、不安そうに揺れるトクファの瞳。

ユ会長の墓碑銘を毛筆で記すシン。

この世においていかなる瞬間も
善良であった者
ここに永眠す
劉 信宇 (ユ シヌ)

ケベックの丘に、また、新しく、墓標がたちました。

 

葬儀から戻ってきたウンタクが、黙って座ったままのシンを優しく抱きかかえる。

「これが、不滅ということなのね。ユ会長は、いつも旦那様のことを心配していたから、また戻ってきてしまうかも。だから、人は、いかなる時も必死に生きなければならないのね。ときおりは、泣いたりしても、たくさん笑って、その分もがんばって生きていくのよね。あなたが受けた愛を返しながら、感謝して生きていく・・・なにか温かいものでも食べましょうか」

すでに、ちゃんと、トッケビの奥さんしてるウンタクです。
首をふるシン。
「トクファが戻ってきたら一緒に食べるよ」

トッケビハウスに戻ってきたトクファ。
ショックで、力なく階段に腰をおろす。
「これから、どうしよう・・・ハラボジに何もしてあげられなかった。なんで、こんなふうに申し訳なく思うオレを残して旅立てたの?もう、ハラボジに謝ることもできないのに。どうすればいいんだよ!ひとりでどうしたらいいんだよ?」
ちゃっかりしてはいるものの、善良で純粋な血筋のトクファの肩を抱きしめるシン。
「お前はひとりなんかじゃない」
「・・・おじさん」
「そうだ、俺がいる。俺とお前は一緒だから、なにも心配するな」
シンにもたれて、泣き崩れるトクファ。


浮上できず、ベッドでぼ~っと横たわったままのトクファを、皆で心配する、シン、ウンタク、死神。
シン「なにか食べないと、体に悪いぞ」
首を横にふるトクファ。
死神「リンゴウサギだぞ」
シン「金が欲しいなら、やろうか?」
死神「壁抜けさせてやろうか?」
ウンタク「オッパ、このカメラ、あげようか?ほしがってたでしょ?」
トクファ「いいよ、ハラボジがおまえにやったものじゃないか」
死神「あらかじめ、お前に言わなくて、すまなかったよ。お前がちゃんと気持ちを整理する時間を与えるべきだったよな。後悔してるよ。でもな、それがこの世界のルールなんだ」
トクファ「わかってるよ。これでも、代々、トッケビを世話してきた一族なんだから」
起き上がるトクファ。
「みんな、ありがとう。ちょっとやらなきゃならないことがあるんだ」
部屋を出ていくトクファを、心配そうにみる三人。

ダイニングで銀食器を磨いているトクファに、近づいていくシン。


「ハラボジ、これをやるつもりだったにちがいないんだ。これ、絶対、気になってると思うんだ、わかるでしょ」
「ああ」
「会社は、キム秘書がCEOに就任することになったよ。ハラボジは逝く前に全部準備してたんだ。よかったよ。どっちにしても、まだ、僕には準備が足りない。」
「そうか・・・」
「一番基礎から仕事を学びなおすつもりだよ。ハラボジもそれを望んでると思うから」
「そうか・・・」
「それから、順々に、おじさんの兄であり、父であり、祖父になろうと思う。ハラボジがそうだったように・・・」
「そうか・・・」
ああ、時は変わっても、あのソバ畑で築いた主従関係はこうして続いてきたのね。

「ユ・トクファ」と書かれた封筒を手にとるキム秘書、いえ、キム社長。
クレジットカードが入っているのをみて、ふっと力がぬける。
ハラボジ、ちゃんとトクファに遺していったのね。

笑い泣き笑い泣き笑い泣き
もうひとつ「キム・ドヨン」と書かれた封筒もあけてみると、ユ会長からの手紙が入っている。
「いつの日か、キム・シンというものが、自分のものを取りに受け取りに来たと君を訪ねてきたら、すべてを渡しなさい。私が残したものは、すべて、彼のものなのだ。彼は雨とともに現れ、晴天のもとに帰っていく。そのときがくれば、君は彼だとわかるだろう」
すでに、キム秘書時代に、ユ会長はシンの正体をそれとなく告げているし、ドヨンもシンとも直接話をしているので、この手紙は、だいぶ前から、用意されていたって意味なんでしょう。

それだけじゃなく、わざわざ手紙にして、文字に遺した意味がもう少し先の回で判明します。ホント、考えられた脚本よ。


三神ハルモニ(赤い服バージョン)とすれ違っても、顔色ひとつ変えず、通り過ぎるトクファ。
段ボール箱を抱えてるけど、なにかな?
もう、全能神は憑依していないのね。
「行っちゃうの?」
急に呼び止められて、驚いて振り向くトクファ。
「どなた・・・僕を知ってるんですか?」
「ええ、子供の頃からね、でも、かっこよくなったわ。この世はあなたが輝かせているのね。覚えておきなさい、あなたの善良な心根は、あなたに幸運をもたらしてくれるから」
「はぁ・・・もう子供じゃありませんけどね。酒でも一緒にどうですか?」
「もっときれいな人と一緒に飲みなさい」
「あなただって美しいです」
「人間と飲みなさいってことよ」
「?」
「じゃあね」
背をむけて、歩いていく三神ハルモニ。
「・・・なんだ?」

~トッケビハウス~
料理中のシンと死神。
「なにをそんなにたくさん作ってるんだ?」
「トクファがくる。コショウ、取ってくれ」
「トクファが羨ましいよ。こんなおじさんがいてさ。心配するな。みんなに嫉妬してるだけだ、最近、むなしくて」
「おじさんって呼んでもいいんだぞ。俺みたいなおじさんが欲しいんだろ。超かっこいいおじさんが・・・。」
その時突然、死神の顔と、ワンヨの顔が一瞬ダブってみえるシン。
「どうした?」
「お前が直符使者になったのはいつだと言った?」
「300年くらい前だ。なぜ?あ、俺の顔になにかついてるのか?」
「いや、ただ、一瞬だけ、今まで見なかった顔が見えたんだ」
「誰の? どんな顔だ?」
「俺が見てはならない顔だ」
シンの硬い表情が気になる死神。

リビングで、真剣な顔つきで書類をみているトクファを、微笑ましくみているシン。
背後で行ったり来たりされて、落ち着かないトクファ。
「おじさん、頼むから、部屋に行っててよ。なんで、うろうろしてんの?」
「お前が使える人間になったのが誇らしいんだよ」
「大財閥企業の相続人としての見習い期間中なんだから、オフィス以外でも仕事くらいするよ。」
そのとき、一枚の書類を手にとり、顔色をかえるシン。
「おじさん、どうしたの?」

キム・ウシクと書かれた履歴書をじっと見つめるシン。

~ウンタク自室~
出かける準備をしているウンタク。

ああ、大学初日ね。

ミニスカート一目見るなり、シンの表情が変わる(笑)

「今日は、大学登校初日なの。もう大学生なのよ。新入生の歓迎パーティがあるから、こういう恰好なのよ」
「だめだ」
「いってきま~す」
無視するウンタク(笑)
「トクファが送っていく。今日は、先約があるんだ。もし、なにかあったら・・・」
「わかってる。」
バッグの中身をみせるウンタク。
「ね、完璧でしょ?」
ライターだらけ。
「忘れてるものがある」
「ああ・・・わかってるってば」
いってきますのチューをねだるウンタク。
目を閉じたウンタクの首元に、ネックレスをつけるシン
「目なんか閉じて、どうした?」
ヘッドを触ってたしかめるウンタク。
「あ!」
「これで、完璧だろう」
「これって、カナダで見たやつね?うわ~、感動した。ところで、これって、どういう意味があるの?」
「フランス語で、“天に決められた運命”。人類の領域をはるかに超えた絶対的な運命ってところかな」
「私の好きな言葉よ。“運命”って。どうやって、わかったの?」
「会食も、恋愛も、テヒもだめだ。このネックレスの30M以内に男を近づけるな。お前の運命は俺だと決まってるんだ」
「なんのために大学にいくのよむかっむかっ

「理由なんかない。神の意志だ。遅れるぞ、もう行け」
「いってきます」

大学についたウンタク。
早速、写真を撮る。

会社にやってきたシンのもとに、ウンタクから、メッセージが届く。
「無事に学校につきましたよ~。心配しないように、これを送りますね。用事、うまくいくといいね」

「ネックレスも似合ってるし、周囲に男もいないように、撮った写真もいい。かわいいな」
べたぼれです。

【チョヌグループ 中途採用者面接会場】

緊張した面持ちで、順番を待っているキム・ウシクの前に、腰をおろすシン。
ああ、キム・ウシクさんは、シンの胸に剣を突き刺した家臣の生まれ変わりだったのね。
じっと、シンに見つめられて、ばつがわるく、なんども視線をそらす(笑)

《ご命令に従います。お許しください。すぐに私もあとを追いますので》

「こうして、まだ私が生きているせいで、お互い、求めあっていたのだな。寂しい想いをさせたな。どうか許してほしい」

涙目で、ウシクを見つめ続けるシン。
面接に呼ばれていくウシク。

「採用ですか?ありがとうございます。本当にありがとうございます」
屋上部屋に家族と住んでたのね。
苦労した奥さんが涙ぐみ、女の子も嬉しそう。

「こちらを社宅として、ご用意しました」
ぽか~んと、高層マンションを見上げるキム・ウシク氏。
キム社長(秘書から昇格)自ら案内してる。
「私にですか?」
「ええ、面接の結果が良かったので・・・。あと、この車も会社のものですが」
「私が使ってもいいんですか?」
「ええ、面接の結果がよかったので・・・。それから、5月の初めに生まれるあなたの息子さんのお名前です。代々この世を明るく照らしつづけてくれるでしょう」
「うちの子が?」
「ええ」
「ところで、あなた様はどなたでしょうか?」
「ああ、ご挨拶が遅れましたね。チョヌグループの社長、キム・ドヨンです」
「社長さんですか?なにも知らず、大変失礼しました。ですが、なぜ、こんなに過分にもよくしていただけるのでしょうか?」
「あなたは、前世で、国を救ったのです」
「私がですか?」
「ええ」
そんな二人の様子を離れたビルの屋上から、見守っているシン。

記憶はなくても、なにかを感じたような表情を浮かべながら、周囲を見回すキム・ウシク。

******
「もしもし」
「今、どこだ?なぜ、家に戻っていないんだ? 外にいるのがどれだけ危険なのかわかってないのか?」
「まだ、5時よ。太陽だって、まだ沈んでないわ。心配しすぎよ。」
「何言ってるんだ? とにかく、今、どこにいるんだ?」
「私? もし言ったら、きっとびっくりするわよ」
マッチを吹き消すウンタク。
召喚された先は、証明写真のブース。
首をすくめて立ってるのが可愛い(笑)

「ここにいたのよ」
「なにかの冗談なのか?」
「ああ、もうほら、はやく」
さすが地味子なウンタク、流行りの派手なプリクラじゃない(笑)

「いつ、ここを出るんだ?」
「さぁ、5分後くらい?」
「そのあとはどうする?」
「こういう閉じ込められた狭い空間にいるって、ちょっと、シムクン(胸キュン)じゃない?」
「なにもおこらないだろう」
「こんなに可愛く撮れたのに?」
バッグの中から、封筒を取り出し、家賃を渡すウンタク。
「どう? シムクンじゃない?」
「こんな狭くて閉塞的な空間で、金を払うののどこが、シムクンなんだよ」
「このお金で、うちの社長に、焼き芋代払ってよね」
「怒ってたか?」
首をふるウンタク。
「いくら、アジョシが妹さんに会いたくても、社長は現代を生きてる。なかなか、彼女に会いに行きづらいけど、会いたいんでしょ? 違う?だから、これを口実に会いにいけばいいのよ。私、アルバイトに行くから、一緒に行ってあげる」
「たしかに会いたいが、彼女は俺を恐れているだろう。また今度でいいよ」
いつになく弱気なシンに笑ってしまうウンタク。

口では強気なことを言うわりに、裏では躊躇っちゃうとことか、そのまんま、サニー(笑)
「うわ~、すごい。二人とも本当に兄妹なのね。じゃ、私は行くわ」
慌ててひきとめるシン。
「なんで? もう? なぜ?外は寒いだろう?学校はどうだった?気に入ったか?」
「ところで、テヒオッパが・・・」
「あいつ・・・俺があいつのことなんか聞いたか? 俺は学校について聞いたんだぞ」
「いや、ただね、テヒオッパ、アメリカに行くんだって。メジャーリーガーになったの。トッケビって、本当の才能をちゃんとわかってるんだなぁって感心したの。すごくかっこいいって言おうとしただけなのに」
「自慢したくはないが、真の才能に気づけるんだ。ファンヒ(李氏朝鮮初期の政治家)はもっとも才能あふれた人間だった。孟思誠(メン・サソン)もまた、そうだった」
「はいはい」
「おい、年上が話してるというのに・・・」
「私は忙しいのよ」
ポッポをしかけるウンタク。
「アルバイトに遅れるわ。ここがどこだと?ぶらぶら散歩してていいの?行ってきます」
「わかったよ。なにかあったら、電話しろよ」
見送るシン。
「こんな狭くて閉鎖的な空間っていうのも、やっかいだな。ちょっと待てよ。これには2つの意味がある。オレ、毎日、ここに来てもいいな」

単純なやつ(笑)


★12話(3)に続く★