都営新宿線に急行は必要です。 | WALKING SHADOW

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今回の投稿はITmedia ビジネスオンラインさんの以下の記事を受けたものです。

 

 

当記事は移動時間について書かれたもので、筆者の賛同できる内容も多いです。

しかし都営新宿線を例に「地下鉄の急行運転は不要だ」という意見には少し無理があると思いました。

 

①「自分の駅を通過されるから」は一般論ではない

 

そもそも矛先が都営新宿線に向けられたのはなぜでしょうか。

お世話になった社長さんが最寄り駅が急行に通過されることを不満に思っていた、という実に個人的な理由です。

もし会社の最寄りが急行停車駅だったとしたら果たして同じ意見を持つのでしょうか。

 

 

②都営新宿線という路線の特色を理解していない

 

日本で通過運転をしている地下鉄路線は東京メトロの東西線と副都心線、都営地下鉄の浅草線と新宿線、横浜市営地下鉄のブルーラインがあります。

(臨時列車や追加料金が必要なものは目的がはっきりしているので除きました)

それぞれ異なる理由で優等種別を設けているので分析しましょう。

 

東西線は日本の地下鉄で一番の混雑率を誇る東京の基幹路線のひとつです。しかし東側は高架区間が大半で地下鉄というより郊外鉄道といってよいでしょう。なのでこの郊外区間に相当する東陽町~西船橋間のみで最高速度100キロの快速・通勤快速を運行し、残りの区間は全て各駅停車となっています。今回の記事でいう「地下鉄の急行運転」にはある意味あてはまらないともいえます。もともと東西線はJR総武線のバイパス路線として計画されたため始発の西船橋から客を吸引する付加価値として当初から高速運転を想定して建設されています。

 

副都心線は名前の通り渋谷・新宿・池袋の副都心を結ぶ路線ですが、実態は東武・西武・東急などの大手私鉄の乗り入れ用線路です。不動産物件にとって死活問題である所要時間の短縮という課題がそのまま速達化に反映されたのでしょう。JR埼京線・湘南新宿ラインという強力な競合路線の存在も大きかったはずです。競合がある以上サービスの低下は致命傷になります。

 

都営浅草線は羽田空港と成田空港に乗り入れる唯一の地下鉄で、エアポート快特を運転しています。

両空港を結ぶ列車もありますが、メインはより近い羽田空港へのアクセスを意識した列車です。浅草線は東京の地下鉄の中では古く、沿線が少し地味なので、品川や大門(浜松町)などでの乗客流出を防ぎ、できる限り浅草線を利用してもらおうという意図がくみ取れます。

 

ブルーラインは横浜の中心部のみ通過運転をする快速を運行しています。こちらも横浜線、根岸線、京急線、相鉄線などのライバルを意識した設定になっており、旅客流出の心配のない末端区間は各駅に停まる余裕を見せています。地下鉄の中ではかなり異色の存在なので快速運転も特殊になったといえるでしょう。

 

そして都営新宿線。「全区間乗り通す人は少ないかもしれない」という勝手な意見もありましたが、新宿線もまた郊外路線の側面があり、「千葉県から座って29分で新宿に行ける」の価値は絶大なものです。本来ならば都心までひたすら立ちっぱなしだったはずが都内に入る前に着席のチャンスを1つもらうため、始発駅の本八幡では総武線・京成線から乗り換える人が多いです。とはいえ乗り換えのハードルは高く、新宿線の沿線も東西線、千代田線、半蔵門線などに比べれば少々寂しいので日中の急行運転という付加価値をつけるのは自然なのではないでしょうか。またライバルでもある東西線との差別化も兼ねて全線で急行運転を行い、本八幡~住吉の「郊外区間」を除けば都営やJRと接続しない駅はことごとく通過するのも戦略としてなかなかのものに見受けられます。

「急行を直通先の私鉄である京王に合わせている」というのも間違いです。確かに他社線では速い種別でも原則として地下鉄線内は各駅停車であることが多いですが、都営・京王通しで急行運転する列車に殊更に矛先を向ける理由が分かりません。今ではほとんど笹塚で乗り換えが発生するので更に不毛な議論となりました。

 

余談ですが元々本八幡から先の千葉ニュータウンに路線が伸びる(ただし別会社)計画があったことも東西線同様郊外路線の色が濃くなる要因だったのかもしれません。追い抜き駅の瑞江が終点の本八幡に近いのはこの計画の名残です。東西線の場合は東葉高速線という形でこれが実現しており、実際に優等列車も運転されていたことがあります。

 

 

③筆者は長らく都営新宿線の沿線に住んでいた

 

ちょうど縄張りをいじられた気分だったので今回の投稿に至りました。

 

 

 

 

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