PMの現実と実際 -10- | キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

PMの世界からビジネスアナリストへ、キットPM2.0を目指して奮闘中です。BAを超上流とか言いますが、当たり前のようで難しいビジネス要件をどうやればちゃんとまとめられるのか、皆さんとご一緒に考えていきます。


▼昨日から東京

 へ来ています。朝6時ホテルの外へ出ると爽やかな早朝の空気が清々しく、心も軽くなります。でも日中は今日も暑くなりそうな気配です。(今日の最高気温は32度らしいですNHKのニュースで今言ってます)





▼前回は「タスク抽出」作業を

 実施することで、問題は解決するとお話しました。また「タスク抽出」作業は、キットPMが行うモダンプロジェクトマネジメントでは最も重要な部分を占める作業となっています。

その作業の流れを確認してみましょう。

 ①目的の明確化
 ②目的を達成するための具体的な目標(複数)の明確化 
 ③目標に到達するための方法論(作業方針)の明確化
 ④作業方針に従った作業単位(タスク)の明確化
 ⑤作業単位同士のつながりの明確化
 ⑥作業単位の担当者の明確化
 ⑦作業単位の期間見積りの明確化
 ⑧実施予算の明確化





▼プロジェクトは

 目的と目標の実現に向かって一連の作業ストーリーを組み立てます。プロジェクトから見ると外部協力会社に発注するということは、プロジェクト全体の作業の”一部”をお任せるということになります。決して全部ではありません。

 そのために、協力会社が見積を提供する場合、発注条件(RFP)から演繹して出てくる”自己”の作業のみを検討して見積を組み立てます。なぜなら、請負以外の範囲は当然考慮外となるからです。

 しかかしながら、これは一見もっともなようで実は大きな矛盾をはらんでいることになります。




▼協力会社が請け負うのは

 あくまでプロジェクト全体の一部です。ということは協力会社のタスクに対するプロジェクトからのインプットと、協力会社が提供するアウトプットにより、発注側のプロジェクトそのものと繋がっているということになります。当たり前ですね。協力会社の作業自体がプロジェクトの一部なんですから。

 でも問題はこの事実を共有できない、パートナーシップのあり方にあるのです。ちょっとややこしいですが、大事なところですのでもう暫くお付き合いください。





▼具体的に考えてみます

 協力会社が最終的なテストを行うのに必要なテストデータ(多くは本番データに近いもの)が必要になりますが、この準備作業でプロジェクト側には相当な時間が必要になります。

 この作業のアウトプットのタイミングも協力会社のタスクへのインプット情報として予め予定していないと、満足なテストが実施できないということになっていまします。



 逆に、協力会社から操作マニュアルなど運用に関わるアウトプットのタイミング次第では、操作研修に必要な時間が充分とれず、運用開始が遅れるかもしれません。

 協力会社側の作業日程が発注者側の作業に影響されるわけです。当然、逆の場合もあります。



 また、重要なタスクであるにもかかわらず、双方とも相手のタスクだと思い込みタスクそのものが実施されないこともあるのです。

 
 


▼つまり

 RFPを元に提出された見積内容を正しく理解しようとすると、発注側と受注側が同じ情報(目的、目標、方針を共有すること)の元、お互いの作業の流れと関係を共有することが必要になります。

 そのためには、「タスク抽出」作業を行うことが遠回りのように見えて最も低コストで確実に実現できる方法になるわけです。




 

▼では「タスク抽出」作業の実際は

 どうなるのでしょうか。

 作業開始の前に、まずプロジェクトの目的と目標が明確になっていることが必要です。通常1つか数個の目的と複数の目標が設定されるはずです。

 ここでいう目標は目的を実現するための具体的なアウトプットの塊となります。通常1つの目的に複数の目標設定という構成となります。





▼イメージし易くするために

 再び例を上げて具体的に考えてみましょう。

目的:

①現行の製品戦略を見直し、②新技術でテコ入れしたこれまでにない機能を持つ製品を市場に投入し、③ライバル製品との差別化を図り、④市場占有率を上げ寡占状態を実現するとともに、⑤この分野での売上を大きく向上する。


 分解すると目的は5つありますね。

目的を補強する視点(プロジェクトの背景):

・経営の視点
 「◯◯の分野で当社のマーケットシェアを現在の15%から25%に引き上げる商品力を持つ新製品を発売し、本年度下期の売上見込みを10%上方修正する」

・マーケットの視点
 「製品供給が一巡し更に購買意欲に訴求できる新機能をもつ製品が求められている」

・現場の視点
 「従来の延長線上にはない新機軸のアイデアによる機能強化を可能とする、複数の研究を製品化に繋げるタイミングにきている」


 3つの視点とは、企業をとりまくビジネス環境の全てを現してします。


目標:

・新製品を企画し量産を可能にする。
・新規にパッケージを開発する。
・発売開始前から発売3ヶ月までのプロモーション活動を計画する。
・顧客サポート体制を構築する。
・販売ルートを確立する。




 こんな感じです。なんとなくイメージできるでしょうか。
 
 それぞれの目標を達成すると最終的な目的にたどり着くことができるはずです。





▼次に

 それぞれの目標にたどり着く一歩手前のなすべき作業をイメージします。

 まず、用紙の右側に目的と目標があり、そのすぐ左に直前作業が矢印で繋がっていると思い描いてください。

 「新製品を企画し量産を可能にする」その一歩手前に線でつながった、「生産ラインの調整が完了していること」を置きます。

 では「生産ラインの調整が完了していること」の一歩前は何が必要なのか?と考えていきます。「量産試作の結果を評価し、問題を解決すること」と続きます。以下同様に右から左に向けてプロジェクトスタート地点まで遡ります。


 こうやって、目標にたどり着くための作業を結果から遡って組み立てることにより、必要な作業を網羅することができるのです。

 いかがでしょう。「タスク抽出」作業の感じはつかめましたか。

 ※作業の詳細についてはこちら連載して行きますので、ぜひ一度ご訪問ください。 





▼この作業

 タスクを明らかにする作業は協力会社と一緒に実施することが前提となります。では、そうすることによって、先に上げた協力会社とのコミュニケーション不良を解消するための6つの条件をクリアできるでしょうか。ちょっと確認してみましょう。

【見積もり、契約フェーズで必要な6つの条件】

①プロジェクトの目的目標を共有する
   ・目的目標は明確になりますね
②プロジェクトの方針を共有する
   ・どういうタスクを積み上げるか考えることは方針を確定することですね
③双方の役割を明確にする
   ・必要とする全体作業の中で役割分担が明確になります
④相手が行うべき作業を双方が理解する
   ・一つの資料に表現されるので、一目瞭然となります
⑤見積もりの妥当性を双方で検証する
   ・タスクに対する共通理解ができて、その作業がイメージできれば見積もり精度は高くなります
⑥共通の言葉で話ができるようになる
   ・作業を通してお互いの考えや言葉のすり合わせができます


 おー、こうしてみるとちゃんとクリアできそうですね。ポイントはプロジェクトの主だったメンバーが一緒にこの作業を行うことです。

 まぁ面倒くさいといったら確かに手間も頭脳もかかるので、決して簡単な作業ではありません。でも、プロジェクトの後半で問題が噴出することを考えたら、充分手間をかける価値はあるというものです。保証します




▼いささか

 長くなりました。次回からは気分を一新して新しいテーマに取り組みます。