プロジェクトオーナーの責務と意思 -2- | キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

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PMの世界からビジネスアナリストへ、キットPM2.0を目指して奮闘中です。BAを超上流とか言いますが、当たり前のようで難しいビジネス要件をどうやればちゃんとまとめられるのか、皆さんとご一緒に考えていきます。

私、キットPMはこの度の地震と津波に被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。また、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りいたします。

 少しでも被災された皆様のお役に立ちたい、それにはどうしたらよいかキットPMなりに考えましたが、やはり本職のノウハウのご提供が一番だと思い立ちました。被災された中小企業の皆様のために、緊急のプロジェクトの立上げやプロジェクトのリカバリを行う場合の計画立案のために、キットPMの方ハウを無償でご提供いたします。

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▼今日はここ高松では朝から雨です。午後からは大雨になるらしくて帰りが大丈夫かちょっと気になっています。
 高速バスを使って神戸まで行くのですが、明石海峡大橋を無事渡れるのでしょうか。まぁ、大丈夫なんですが。多分。


▼前回はプロジェクトオーナーの4つの役割について考えました。これらの役割をオーナーがちゃんと理解して、プロジェクトの成功のために協力を惜しまないという姿勢を示すことが、プロジェクトやPMにとってどれほど心強い味方になるのか、それは計り知れないものがあります。

 でも、オーナーがオーナーの役割をちゃんと果たすことが以外と少ないのも事実です。ではなぜこれらが正しく認識され、機能しないのでしょうか。ちょっと分析してみましょう。

 もちろんちゃんとオーナーが責任を果たしているプロジェクトも沢山あると思いますし、幸いなことにキットPMもそのようなお客様に出会っています。
 でも、やはりまだまだ名前だけの、形だけの、プロジェクトオーナーも沢山存在するのも事実です。

▼プロジェクト発足のキッカケには色々なパターンがあります。現場から要望が上がる、経営者がその経営戦略実現の必要性から要求する、法改正などの外的な要因で必要となるなど多岐に渡るのは容易に想像できると思います。

 どのような理由で立ち上げるかは別として、プロジェクトには必ずオーナーが存在します。つまり、オーナーが自らの意思で立ち上げたプロジェクトとそうでないプロジェクトがあるということになります。まず、そのどちらかでオーナー自身のモチベーションも違ってきます。

 あっ、そもそもオーナーがオーナーとしての意識を持たないまま、オーナーとして位置づけられている場合もあります。まるで、何かの名義貸しのような状態ですがこれは論外ですね。

▼ちょっと整理してみましょう。オーナーに指名された人(多くは経営に携わる役員クラスであるはずです)がプロジェクトにマイナスの影響を与える場合を考えてみましょう。

 まず、オーナーがプロジェクトの目的を理解していないため、指示や判断が正しく行えない場合です。これを防ぐためにはプロジェクト憲章の作成やレビューを通して、PMが充分にオーナーと議論することで解消できるはずです。プロジェクト憲章の作成作業にはそんな意味もあります。

 厄介なのは、そもそもオーナーがプロジェクトの実施について反対している場合です。フツーに考えるとありえないと思いますが、いろいろな事情があってそうなることがあります。

 例えば、プロジェクトの目的とオーナーやオーナーが管轄する部署の利害が一致しないということがあります。日本の会社文化ではまだまだ縦割り所属部門の利益重視部分最適な考え方が支配しています。当の本人にしてみれば、そんなややこしいことを意識してやっているわけではなく、条件反射的な思考なのかもしれませんが... ようは、経営陣の一角でありながら会社の全体最適とはなにかを考えていないということになります。

 また、プロジェクトには賛成だけれども実施大勢に明らかな問題があってその成功に疑問をもっているが、問題点を他の役員と共有できないために積極的になれないなどもあります。

 よくあるのが、オーナー社長の鶴の一声でプロジェクトがスタートし、それに反対する余地もなく、しかたなくどうやったらうまく失敗できるかを考えるのが、プロジェクトオーナーの役目だったりすることです。

 このように上げて行けばキリがありません。ようするに、経営戦略の実現とか会社の理念とかというレベルではなく、なんとも低次元(でも本人にとっては最重要事項)な感情で発生するものです。根本が感情であるだけになんとも始末に負えません。

 もう一つ、もっともよく見るのがオーナーがオーナー自身の仕事が忙しすぎて、プロジェクトの状況に気が回らなくて、ある意味ほったらかしになることがあります。これは消極的ではありますがPMの足を引っ張ることになります。状況が状況だけに周りも遠慮して注意することができません。本来ならオーナーの交代が必要になりますが、そんなことができるほど日本の企業には柔軟性はありません。

▼さて、あまり楽しくない話ばかりをあげつらいましたが、多かれ少なかれ皆さんも似たような状況に遭遇したことがあると思います。心あたりはありませんか?

 次回は、じゃぁどうしたらいいのかを考えていきます。んー、やっぱり禁断のページを開いてしまった感バリバリのキットPMです。