プロジェクトオーナーの責務と意思 -3- | キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

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PMの世界からビジネスアナリストへ、キットPM2.0を目指して奮闘中です。BAを超上流とか言いますが、当たり前のようで難しいビジネス要件をどうやればちゃんとまとめられるのか、皆さんとご一緒に考えていきます。

私、キットPMはこの度の地震と津波に被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。また、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りいたします。

 少しでも被災された皆様のお役に立ちたい、それにはどうしたらよいかキットPMなりに考えましたが、やはり本職のノウハウのご提供が一番だと思い立ちました。被災された中小企業の皆様のために、緊急のプロジェクトの立上げやプロジェクトのリカバリを行う場合の計画立案のために、キットPMの方ハウを無償でご提供いたします。

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▼今日も昨日からの雨が続いています。まぁ、梅雨らしいといったら”らしい”天候ですがやはり鬱陶しいですね。今年の梅雨明けはいつ頃になるのでしょうか。明けたら明けたで暑くなりそうですが。

▼さて、前回オーナーがオーナーの役割を果たせていない事例について考えました。何れにしてもいろいろな事情のため、オーナーが積極的にプロジェクトに関わることができないということは、プロジェクトの成功確率を低くすることは間違いありません。オーナーは何もしないでいる方が良いというのは、明らかに間違いだとキットPMは考えます。

 オーナーはオーナーの果たすべき役割があり、PMと力を合わせてプロジェクトの目的達成に力を注ぐことが必要です。

▼では、オーナーがオーナーの役割を”正しく”果たすためにはどのようにしたら良いのでしょうか。まずは、社内でオーナーとなる可能性がある人つまりオーナー候補に正しくプロジェクトオーナーの役割を認識できるような、教育を行うことが必要です。まぁ、”教育”などと言うと角がたつのであれば”説明会”でもいいのですが。

 実際のプロジェクトオーナーになる前に、自社で行うプロジェクトとは経営戦略を通してどのような意味を持つのかということともに、プロジェクトを成功させる要因<すなはち>プロジェクトマネジメントのあり方と、その一部であるプロジェクトオーナーの役割を認識することです。

 これが言うほど簡単なことではないのはお判りになるでしょうか。つまり、社長を初めとする経営陣が、あるべきプロジェクトマネジメントについて合意していることが前提になるからです。まず、このハードルを超えるのがなかなか大変です。
 あるべきプロジェクトマネジメントに合意するということは、会社の理念や戦略を明確に示して、合意することが前提となるのは、このブログの以前からの読者の方であれば容易に理解できることだと思います。


 ただ、最近ではモダンプロジェクトマネジメントの必要性も随分企業に認知されてきているようなので、以前に比べるとまだましになったほうかもしれません。

▼さて、必要性を理解しちゃんと役割も勉強した後、準備の甲斐があっていよいよプロジェクトを立ち上げることになります。そのとき、どのような基準でプロジェクトオーナーを決定するのでしょうか。

 オーナーの選定については合理性が重要となります。社内の多くの人が納得できる”理由”が必要です。でないと、万一プロジェクトが他者の協力が必要になり、要請しても簡単に協力を得ることが難しくなるかもしれません。

 もう一つ、合理的な人選であっても会社(経営陣)の総意であることを明確にすべきです。そうすることによってプロジェクトに対する会社の姿勢もより明確に現すことができます。できれば、オーナーやPMに関しては辞令交付などオフィシャルな形をとることがよりベターであると考えます。

▼次に、オーナーが自分の役割を果たすためにすべきことは、経営戦略や方針とプロジェクトの目的の関係を明確にすることです。明確にし、それをプロジェクトの内外に説明できることが最低の条件です。

 この作業はオーナー一人ではなく、PMと一緒に進めることで効率化できます。つまり、協力してプロジェクト憲章を作成するということですね。

 気を付けないといけないのは、オーナー自身の思い込みでプロジェクトの目的を決めるのではなく、本当にそれでいいのかを経営陣と確認するということです。プロジェクト(PM)と経営者の橋渡しはプロジェクトオーナーの重要な役割です。

 あとは、プロジェクト憲章やスコープ定義書を元に概算予算の見積もりを行い、予算を確保することもオーナーの役割です。

 ここまで来るとオーナーの仕事の殆どが終わったことになります。あとは、プロジェクトが順調に進むのを祈るのみです。まぁ、そうは問屋が卸さないのがプロジェクトの常なわけですが。

▼もう一つのオーナーの重要な役割は”判断”を下すことです。プロジェクトを実施していると大なり小なりトラブルは発生します。そのトラブルを回避したり対策を取るのはまずはPMの仕事です。ただ、PMの権限を超えたり、手に余るときなどPMと話しあってどうすべきを判断します。
 つまり結果責任を取るのはオーナーとなります。この責任から逃れることはできませんから、如何にプロジェクトと関わるかを真剣に考えないといけません。PMに責任を押し付けることはできないのです。

▼さて、最後にもう一つオーナーの仕事があります。それはプロジェクトの評価に参加することです。プロジェクトの終結プロセスから得られる資料をレビューし、プロジェクトの結果を確認し、プロジェクト運営経過を最終評価します。

 繰り返しになりますが、プロジェクトを実施したことにより得られる全ての結果は会社の財産となります。財産を再活用できるように整理するのはPMの仕事ですが、その結果を最終的に承認するのはオーナーとなます。

▼いかがでしょうか。プロジェクトオーナーも結構大変な役割を荷なっているはご理解いただけたでしょうか。なかなか理想的に物事が進まないということはキットPMも理解していますが、そもそもやるべき役割を正しく認識していないと何ができていて、何ができていないのかすら判りませんので、オーナーが正しく自己の役割を認識するのは大切なことです。

▼次回は、テーマの最後の部分にあるオーナーの”意思”について考えたいと思います。