私、キットPMはこの度の地震と津波に被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。また、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りいたします。
少しでも被災された皆様のお役に立ちたい、それにはどうしたらよいかキットPMなりに考えましたが、やはり本職のノウハウのご提供が一番だと思い立ちました。被災された中小企業の皆様のために、緊急のプロジェクトの立上げやプロジェクトのリカバリを行う場合の計画立案のために、キットPMの方ハウを無償でご提供いたします。
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▼今日も梅雨らしい天気のようです。ベランダのゴーヤは順調に成長していて、先日は花が1輪咲きました。庭の紫陽花はまだつぼみが固いようで、いつもの年に比べて開花が大分遅れているようです。スカっとはしませんがこの状況を楽しむ方法を探すのも、またPMに取っては重要な思考訓練かもしれません。と、格好をつけて言ってみたりします。
▼さて、前回まで5回に渡ってリスク対応のあり方について考えてきました。皆さんはいかがお感じになったでしょうか。どんなプロジェクトも多かれ少なかれ、遅かれ早かれトラブルは”必ず”発生します。
トラブルが必ず発生するものならば、それに備える努力をするのはPMとしては当たり前ですね。なぜなら、プロジェクトマネジメントの本質の一つは「不確実性のコントロール」だからです。なんとかするのは当たり前です
。不確実なプロジェクトで確実なことが前もってわかっているわけですから。えっ?なんだか変な理屈ですか。(笑)
▼では、今回から新シリーズ「プロジェクトオーナーの責務と意思」を開始します。予告通り禁断の領域に踏み込みます。
えー何が禁断かというと、プロジェクトが成功できない理由の一つとしてプロジェクトオーナーの不在があります。不在というと変な感じですが、オーナーとしての自覚のないお飾りとしてのオーナーである場合があるということです。オーナー即ち経営者レベルの問題となりますから、”禁断”なわけです。
PMを請け負っているキットPMとしては、お客様の経営層に注文を付けることになりますから、やはり若干のタメライを感じてしまいます。
でも、プロジェクトの成功のためにどうしても必要なことであれば、避けて通るわけにはいきませんっ、と言ってみます。
▼冗談はさておき、冗談ではないのはオーナーがオーナーの役割を果たしていないために、PMを始めとするプロジェクトメンバーが神経をすり減らしてしまう場合が少なくないということです。本来、共通の目的実現のために全力をあげて協力しないといけないのに、なんとも非生産的な話です。
それでは、オーナーの役割とはなんでしょうか。簡単にいうと、プロジェクト運営に必要でPMが持たない権限を代替することです。
以前このブログの「プロジェクトと組織」でPMの権限について考えました。その時、以外とPMの権限が少なかったのを覚えているでしょうか。
(一般的に)PMには決められた予算の執行権限とプロジェクト内の人事権があり、プロジェクト計画書に従ってプロジェクトを運営する義務があります。逆に言うとそれだけしかないことになります。
では、複雑なステークホルダー関係をうまく調整しつつ目的に向かうための武器としてはいささか心もとない権利と義務ですが、そんなPMの強い味方がオーナーとプロジェクトの目的という錦の御旗ということでした。
▼さて、オーナーの役割とはまず第一に、最高経営者と充分に話をしてプロジェクトの目的について明確な合意を形成することです。そしてその経営的な目的を、PMが理解できるように正しく伝えるということになります。えー、簡単な話のようで実は難しいのはなんとなくご理解できますか?
二つ目は社内の経営層にプロジェクト実施の意義を説明し、協力を取り付けることです。もちろんこの作業は本来的にPMの仕事ですが、それをうまくバックアップするのはオーナーの役割です。
三つ目にPMが判断できないことを判断する役割があります。例えば、予算の追加が必要になるとか、期間延長が必要になるなど予算に関わること、メンバーの入れ替えなどプロジェクト外の人事にかかわることなどです。
最後に、プロジェクトに問題が生じた場合など、緊急にプロジェクト外の協力が必要になるときにその根回しをすることです。特に、他部門の役員など上層部への協力要請などPMでは敷居が高い交渉はオーナーの役割となります。
▼このようにオーナーの役割のほとんどはプロジェクトと経営者の橋渡しをすることです。つまり、ネゴシエーターですね。タフでハードな役割です。 まさしく、プロジェクトという組織の経営者としての役割を担っていることになります。これを理解してプロジェクトオーナーを務める人は一体どれほどいらっしゃるのでしょうか。
▼今回は以上です。次回も続きます。