日本の会社文化とモダンPMの対立 -3- | キットPM奮闘記 改め キットビジネスアナリスト奮闘記

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■前回、マネジメントのポイントをどう設定するか、プロジェクト毎に考えないといけないとお話しました。PMには、仔細なところに捕われるのではなく必要なものとそうでないもの(同じような内容のプロジェクトであっても、プロジェクト規模や特性、期間などで異なってくる)を峻別する能力が必要になります。これはある程度の経験が必要ですが、普段から自分の所属する会社の文化や、パワーバランス、矛盾点などを把握しておくことも重要ですね。

■今回は、予告通りにプロジェクトとラインの管理系統の違いによる混乱について、少し考えて行こうと思います。
 一部の特殊な業態を除いて、プロジェクト活動というのは恒常的でなくテンポラリなものとなります。ということは、プロジェクトメンバは様々な部署から選抜する形で集められ、組織化されることになります。専任か兼任かの違いはあるかもしれませんが、いづれにしても程度の差こそあれ通常の管理から外れるわけですね。あともう一つのパターンとして、複数のプロジェクトに参加する要員がいることもあります。これは、汎用的ではあるけど特殊な能力を持つ(例えば、ITインフラの管理者やセキュリティ管理者など)人たちは、ある範囲でプロジェクトにどうしても能力の提供が必要になる場合です。
 これらの場合(つまりプロジェクトメンバ全てに当てはまる)通常の管理形態による評価と(ラインと呼ぶことが多い)とプロジェクト内での評価と二重の評価体制が発生してしまうのは、お解りいただけますね。いやいや、うちの会社せはちゃんと評価基準があって一本化されているというところはいいのですが、そうでないところも多いと思います。私の経験からもそうですね。

■会社がしっかりとした方針を持っていない場合、プロジェクトマネージャはラインの長とプロジェクト開始前にちゃんと調整しておくことが必須となります。なぜなら、労働は正当な評価がされるという期待があって初めて働く意欲が出てくるからですね。これ、重要です。

 専任の場合だとまだ話は簡単ですが、兼任だとややこしくなりますし、複数プロジェクトにかかわっているともっとややこしくなります。本来、PMはプロジェクト内での評価のことだけ考えればいいのですが、メンバのことを考えるとそうもいかないのです。

 よくあるのは、PMの評価をラインの上司に提出して、上司の考えを加味して評価するというやり方です。この方法でもいいのですが、問題が2つあります。一つは、専らプロジェクトルームなどで作業をしている場合、直接の上司からは姿も見えないことが多くなり(コミュニケーションが希薄となる)どうしても評価が厳しくなってしまうということ。2つ目は、そもそもプロジェクトメンバに対する評価基準と、ラインの業務での評価基準がことなるということです。もちろん、双方擦り合わせして同一基準を設けられればいいのですが。ましてや、複数プロジェクトのPMからの評価を取りまとめて、一本の評価にするというのは大変なことです。

 別のやり方としては、評価の割合をプロジェクトに関係した割合で分割するというやり方です。このやり方だと、プロジェクト専任の場合、ラインの業務はゼロ評価となります。プロジェクト終了後、このゼロ評価が悪く影響しないような仕組みが必要となります。また、異なる評価基準をどう合体するかという問題も残ります。50%兼任のとき、100点満点で50点づつに分割したとき、一方の50点ともう一方の50点が等しい価値を持つように(相対的に)評価しないといけません。至難の技です

■本来、人事や総務関係の部署で評価方法を決定すると思いますので、プロジェクトに参加した場合の評価方針をきちんと会社の然るべき部署が立てることが望ましいですが、もしそうなっていない場合、ライン長とうまく調整するのも、PMの仕事となります

かように、プロジェクトの重要性が増してきて、その運営を真剣に考える必要性が出てきているわけです。従来の会社文化ではこの新しい要素が吸収出来なくなっているということですね。いかがでしたか、まだまだ企業内でプロジェクトに対する考えが定まっていない場合が多いようです。プロジェクトの成功の重要性が増すに従って徐々に整備されて行くのでしょうが、過渡期の今、プロジェクトマネージャが考慮しないといけないことは沢山あるというのが実情です。

■いかがでしたか。企業がモダンPMに対する理解とサポートを深めていくことがどれだけ必要かと感じていただけたでしょうか。ある意味、従来の企業文化を変革する必要があるので、なかなか大変で一朝一夕にできることではないと思いますが、時代が要請していると思います。
 さて、次回は「なぜ今モダンPMが必要なのか」について、考えていきます。後先になった感は否めませんが、改めて振り返るのもいいかもしれません。