オートロック式の、共用入り口。
数日前から、手持ちの合鍵で解錠しにくくなっていました。ガチャガチャ5分くらいやり続けて、はずみで開くことがある、という感じでした。
とうとう、開かなくなったのでしょう。ある日の夜、帰宅すると入り口のガラスドアに貼り紙がありました。
手書きのイタリア語で。
字が汚くて読みづらかったのですが、つたない知識でも、「鍵を替えた」ということはわかりました。
試しに以前の鍵を差し込んでみても、まったく回せない。

さて、アパートに入れません。夜だし。

どうしよう? そうしよう!
幸い、我が家はガレージ付きの物件。ガレージのシャッターを開ければ、道路からガレージを通ってキッチンに入ることができます。
初めて、ガレージドア・オープナーを使いました。
キリキリとシャッターが上昇する間、頭の中には「サンダーバード」のテーマ曲が鳴り響いていましたが。
ほこり臭いガレージを抜けて、真っ暗なキッチンへ。
普段は土足禁止の生活をしているので、キッチンで靴を脱ぎ、片手に下げて玄関まで移動。
室内用のサンダルを履いて、ようやく落ち着きました。
「新しい鍵は、どうやって届けてくれるのかなあ?」
部屋の中を見回しても、届いている様子はありません。
結局次の日も状況は変わらず。

夜、10時過ぎに会食から帰宅すると、何やらホールに設置された郵便ポストに張り紙がしてあるのが、入り口のガラス戸越しに見えました。
ははーん。新しい鍵をポストに投函したのね。
そういえば、入り口の張り紙にも「cassetta postale(郵便箱)」的なことが書いてある。
とにかく、前日同様、ガレージから室内へ侵入。ぱっぱらぱー、ぱらぱっぱっ、ぱっぱらぱっぱっぱー……。
今回は自室玄関で靴を履きなおし、一階上がった玄関ホールへ、ポストを開けると、鍵がありました。
「何なんだ、この対応!?」
相当、頭に来ていたのは、不動産屋から何の連絡もなかったから。

たまたま、ガレージ付きの物件だから部屋に入れましたが、そうでなければロックアウトされていました。
家族持ちなら、インターホンで呼び出して開けてもらうことができますが、当方は一人住まいなのでなすすべなし。知らないイタリア人を呼び出して、英語でドアを開けてくれと頼まなければならないところでした。
翌日、会社から不動産屋に、「こういうことがあった。事前に通告してもらわないと困る!」と、メールでクレームしたところ、
「鍵は、突然壊れたので、事前に通告はできません。契約書に書いておけと言うんでしょうか?」という、ふざけた返事。
管理人は、鍵屋を呼ぶときに不動産屋に連絡を取ることができたはず。そういう対応を、事前に指示しておけという意味じゃい!

最後には、「新しい鍵は、部屋のオーナーも、不動産会社でも持っていない。あなたしか持っていないので、合鍵を作らせてほしい
」と言ってきた。


「知るか! アパートの住人全員と建物のオーナー、そして管理人は合鍵を持っているはず。俺だけじゃない。管理人から借りればいいだろう! 俺は、平日昼間は会社に出ている。週末はイタリア語教室。日曜日は鍵屋が休みのはず? 鍵を貸したら、俺が外出できなくなる。本件でこれ以上迷惑をこうむるのは、たくさんだ。他から合鍵を調達しろ!」
と、蹴とばしました。


